騙されてる奴可哀想
『騙されてるんじゃねぇの……?』
ということを窓口から言えるのなら良いだろう。
「ATMのご利用中は、スマホのご利用はお控えください」
「で、でもぉ。孫がぁ、会社に損害を与えたとかで、今すぐ3億円を払えって」
「それは振込詐欺の可能性が……」
悲しくも詐欺の手口が巧妙化。
善良な人に、振り込め詐欺を仕掛けるなんて事はよくあるものだ。
そーいう悪さをするから、便利の中に不自由有り、労力有り……。
トゥルントゥルン
「ちょっとーーー!!!説明しなさーーいい!!」
主語をつけろ、主語をつけろ。
「どうなされました?順番に列にお並びください」
「トロトロしないで!事態は深刻なのよ!!」
◇ ◇
「「はぁ?」」
色々あり過ぎて、もうちょっと書きたいものだが……。
「すみませんが、知らないんですけど」
「2重の意味で知らんっつーの」
配達員をやっている、実と木下は、そのようにコールセンターからの相談を受けたわけだが。
「知らねぇーよ……」
お客様……もとい、とんでもねぇ奴なんだが。
ホントに知らないし、なんの相談をしに来たんだこいつは……。そして、こいつなんかと話なんかしたくねぇって思っているのは、昔にもそーいうクレームを入れて来ているからだ。
何度も言うが、知らねぇって。そもそもだ
「会社として、個人情報を教える事はできませんよ。それも元奥さんなんでしょ?他人じゃないですか」
……個人情報とか五月蠅い時代に、住所を教えろって言いに来たのはよく分からんという話だ。
離婚して別居してるんだが、元奥様は今、元旦那を必死に捜しているらしい。もちろん、会いたくはないんだ。それはお互い様のお話なのだ。離婚は面倒だねぇ。
「つーか、元旦那が今、どこに住んでるのか知らねぇよ……」
一緒に住んでたのは、3年前ぐらいだからね。仮に引っ越し先を知っていたとしても、絶対にまた、引っ越ししてるのは容易に想像つく。
離婚したのに、なんで元奥様が元旦那を必死に捜しているかは……ここでは少し割愛しよう。なんとなくは伝えるつもりではあるが……。
「はい、ジャンケンしましょ」
「うわぁ、嫌だよぉぉ。こいつと話したくねぇ。実が電話してよ」
木下はこいつと一度話をしているから、正直、電話をしたくない。
作者も一度しましたけど、凄い嫌だ。
ジャンケーン ポン
「おっしゃああああぁぁっ!!実が電話ー!」
「ちょっと、木下さん。後出ししたでしょ」
「してないしてない!!勝てばなんでも良かろうなのだーー!!」
「クソが」
色々答える話ではあったんだが。
その1つに
『元旦那の住所を教えなさい』という項目がある。
これは、コールセンターの担当者さんの時点で、当たり前のように弾かれる。
『そんなことはできませんよ』って、ちゃんと伝えているんだ。
そして、向こうからの返事が
【コールセンターの方じゃ話にならない!!担当を出しなさい!!】
「ですから、担当が代わっても変わりないですよ……」
”テンプレの返答が通用しない”……なのはまだ良いのだ。知らない事を知らないで、答えることにキレてくる奴は凄く面倒で、そのさらに上位互換だから話すのが嫌なんだよ
プルルルルル
「くそ~」
「だはははははは」
この手のクレームを受けている時は、周りの仲間達は、ホッとしている人も多いけれど、嗤っている連中が多いです。それがホントにムカつく……。けど、こいつに一番腹を立てること。
ガチャッ
「もしもし、私、〇〇の実なんですけれど。ご申告された事でお電話したんですが……」
出てくんじゃねぇよって、内心思っていた。こっち関係のねぇ話なんだもん……。
「というわけなんでー、……こちらに問い合わせされてもですねぇ。お答えすることはできませんし、そもそも、私達も知りませんから」
また暇があった時、この問答については書こうと思うが……。
1mmもウチには関係がないことだ。
本当ならこっちが逆ギレをしたいレベルであるし、……なんだったら、逆ギレをした方もいるレベルだ。
「自分で捜してくださいとしか、お答えできないんですけれど」
何度も書いてしまうが、元旦那の居所なんて知らないし、そもそも会社として教えることはできませんって回答をすると……
『この担当はダメじゃない!!』
激高するのである。しかも、今回は捻ってきた
『そもそも男が!!男が喋るなああ!!電話をするなーー!!回答は女がしろーーー!!女性差別だ女性を差別するなーーー!!』
「担当地域に女性の方がいないって言ってるでしょうが……」
『それは女性差別という罪になります!!死ね!!そんなことも男はできないから!!クズゥゥ!!』
電話口からその女性の声が響いて、事情を知らない人達はビックリするが、知っている木下達は爆笑している。俺達にどうしろってんだよ……。
「なんか変えてきた(笑)」
色々とやり合っているせいで、男が電話をするなって言うことを言ってきたし
『話にならない!!上司を出せ!』
「上司は全員男ですよ」
『それが女性差別だーー!!お前の会社は女性差別を推奨してるんだろおお!!!』
「落ち着いてくれませんかねぇ?」
『お前は元旦那を隠してるんだろ!!早く見つけろ!!こっちには弁護士がいるのよ!!訴えてやるから、あんた達!!弁護士はあんた達に訊けば、教えてくれるって言ってたのよ!!弁護士費用も馬鹿にならないのよ!!借金をさらにしたんだから!!』
「弁護士がそーいう事を言う場合、なくはないですけど、我々が教えてくれないのは知ってると思いますよ?……あなた、騙されてませんか?」
実際に弁護士がそーいう口を言ったりもするんだが、弁護士も弁護士で、個人情報を教えてくれる会社がまずないのは100も承知してるはずです。こっちにミスがあるならともかく、お客様の私的利用である場合は、まず教える事はありません。
っていうか、知らねぇーから……。
『弁護士は嘘をつかない!!慰謝料をとるために、多額借金をしたのよ!!』
「そりゃあ、あなたを弁護するのは大変だと思いますよ」
なんで、元旦那を捜しているか……。借金に関するお話ではあるのだが、それはどう考えても元旦那が悪くねぇんだよなぁ。っていう気持ちになってしまう。
金の切れ目が縁の切れ目……っていうだろう。ホントに縁が切れればいいのにな。
画面がリニューアルしたので、お試しで投稿しました。