1.招かれた先で。
ここから第一章(*'▽')
※外出から帰宅→風呂→ねむい(現在:18時09分)
「えっと、ここって……?」
『人の言葉を使えば、俗にいうダンジョンという場所ですよ』
「……あはは、だよね」
助けた魔獣――ランヌに招かれて、アタシがやってきたのは明かりのほとんどない洞窟の中。彼の力でどうにか安全に進むことはできていたけど、どうにも場違いな気がしてならなかった。
というのも、自分は冒険者ではないから。
そこに加えて魔獣であるランヌと行動を共にしていると、嫌でもこんな心の声が聞こえてくるのだった。
『ランヌ様が連れておられるのは、人間ではないのか……?』
『いったい、どういうことなのだ?』
『捕虜、というわけではないな』
そもそもとして、現在の場所に人間が足を踏み入れることすら珍しいのかもしれない。アタシは完全に、他の魔獣たちから奇異の目で見られていた。
だけど、そういった視線を向けられること自体は慣れている。
問題なのは人間だけでなく、魔獣からもそういった扱いをされることだった。
やっぱり、アタシの居場所はどこにもないのかもしれない。
だから自然と、そんなことを考えかけた。
すると、
『ご安心ください、アニスさん。貴方は私の大切な客人ですから』
「ランヌ……?」
そんなアタシの気持ちを察してか、ランヌが優しい声色でそう言う。
真摯なその態度に、少しだけ心が軽くなった気がした。
「……そっか。ところで、アタシに会わせたい方、って誰なの?」
だから気持ちを切り替えて。
アタシは、すぐ隣の彼にそう訊ねた。
『もうすぐです。……あぁ、見えてきました』
するとすぐに、ランヌが答えて。
アタシたちの視線の先には、なにか大きな山のようなものが見えてきた。
「これは、えっと……?」
だけど、すぐに気付く。
これは決して岩山などではない、ということを。
アタシはしばし硬直してから、隣のランヌの方を見た。すると、
『帰還いたしました。……お父様』
彼は身を屈めて、そう口にするのだ。
そこに至って父と呼ばれた大きな山は、おもむろに動き始める。地響きを鳴らして、あまりにも荘厳な雰囲気を醸し出しながら。
彼はアタシを大きな眼で捉えて、こう口にするのだった。
『あぁ、お帰りランヌ。……そして、いらっしゃい御客人よ』――と。
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