2.一方その頃の宰相たち。
ざまぁ回です(*'▽')b
――一方その頃。
王城では宰相並びに、査問会に出席した貴族たちが国王に謁見していた。自分たちにとって邪魔で目障りな存在を排除できたと、そう考えて内心でほくそ笑みながら。
国王にはもちろん、すべて虚偽の報告をしていた。
それらすべて、誰もが口裏を合わせて完璧なものとなっている。
そのはず、だったのだが――。
「貴様らは、私を馬鹿にしているらしいな」
「え……?」
国王の口から出たのは、信じられない言葉だった。
宰相は思わず目を丸くして面を上げる。
するとそこにあったのは、眉間に皺を寄せて怒りを露わにする国王の姿。
彼は大きなため息をつくと言った。
「まさか、アニスの報告通りになるとは、な……」
「な、なんのことですか……?」
それに宰相以外の者たちも、困惑し始める。
いったい、アニスの報告とは何なのだろうか。そう考えていると国王は重苦しい空気の中、呆れたような声色になって続けるのだった。
「宰相ネド、貴様は公金を不正に着服しているらしいな?」
「……な!?」
宰相――ネドは、それに対して声を詰まらせる。
それは自分以外に誰も知りようがない、そのはずの事実だったのだから。そのため反論より先に、図星を突かれたことが表情に出てしまった。
国王はそのことを見逃さずに、また一つため息をついて言う。
「アニスへの罪状を読んだが、その手口は事前に彼女から報告されていたものに相違なかった。貴様はどのようにして、それを知った? これは他言しない限り、決して明らかにならない手段だ」
「そ、それは……」
宰相の顔が青褪める。
国王の言葉が物語っている内容は、真犯人が誰なのかを如実に示していた。すなわち公金の不正着服を行ったのは、ネドである。彼はそれを自白したに近かった。
査問会の者たちは驚き、息を呑む。
今度はそんな彼らに向かって、国王はこう告げた。
「それ以外の者たちについても、アニスから様々な報告を受けている」――と。
それはつまり、自分たちの罪が暴かれている証左だった。
面々は表情を引きつらせ、各々の顔を見る。
「本当に間抜けな者たちだ。……いや、それ以上にアニスを失ったことが辛いか」
国王は落胆の表情を浮かべ、目の前に並んだ浅はかな者共を見下した。
そして、こう考えるのだ。
「ただちに、捜索隊を出さねばならないな。彼女の力は必須だ」――と。
こうして、彼女を罷免した者たちへの処分は決定した。
もっともアニス自身が、それを知ることはなかったのだが……。
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