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プロローグ 少女、罷免される。

新作です(*'▽')

続きが気になる方は是非、ブクマのなど!


創作の励みとなります!!








「――以上から、アニス・ディスティニアを王宮治癒術師長から罷免とする」

「え、そんな……!?」



 アタシが口を挟む間もなく、罪状を読み上げた宰相様はそう宣告した。

 罷免、ということは職務を解かれるということ。ただし今回の場合は単純な降格処分などではなく、王宮勤めとしての地位をすべて奪われることに他ならなかった。

 もしそうなれば、庶民出身のアタシになんて行く宛てがない。

 さらに言ってしまうと『罷免という前歴のある治癒術師』なんか、野に下ったとしても相手にされるわけがなかった。

 それに、読み上げられた罪にも――。



「まったく身に覚えがありません! アタシは、なにも……!」

「うるさい。貴様はとにかく、目障りなんだよ!」

「その『気味の悪い力』で、陛下すら操るつもりなのだろう!?」



 だけど周囲にいた査問会の人々は、聞く耳を持たない。

 それはまるで、最初からこの罷免という結末が決定付けられていたかのように。彼らは異口同音にアタシのことを弾劾し、冷めた視線を向けてくるのだった。


 射竦めるような眼差しに、アタシの足は震え上がってしまう。

 力で敵うはずがない。だからもう、アタシは……。



「……分かり、ました」



 悪意の塊の中で、失意に沈むしかなかった。

 こうして、アニス・ディスティニアは王宮を追放されたのだ。







 ――ガリア王国、その王都エルタニアの中央に位置する広場で。

 アタシは設置された長椅子に腰かけ、ただただ呆然と青い空を見上げていた。いったい何がどうして、こうなってしまったのだろう。そう考えてみるものの、結論は出なかった。

 それに思い返すほどに、寒気がしてしまう。

 あのように多くの黒い感情に晒された経験なんて、今までになかったから。



「これから、どうしよう……?」



 だから今は心を落ち着けるためにも、別のことを考えることにした。

 とはいうものの、今後以外に思い浮かぶことなんてなくて――。



「――ん、いま誰か……?」



 そこまで思考を巡らせた時だった。




『た、たすけて……』




 ふとアタシの中に、どこか苦しげな声が届いたのは。


 幼い子供のものだろうか。

 居ても立っても居られずに、声のした方へ走った。

 駆けているうち、周囲から人の気配がなくなってくる。そしてたどり着いたのは王都の外れにある森、その茂みの中だった。



「ねぇ、誰かいるの……?」

『こっち、こっちにきて……!』



 声は先ほどよりも鮮明になっている。

 アタシはそれを頼りに進み、ついに声の主を見つけたのだった。





「キミは……!?」






 仄暗い森の中。

 アタシが目にしたのは傷だらけだけど、どこか気高さを感じさせる魔獣だった。身の丈は人間の大人より一回り大きく、四肢には力強さの反面に気品のあった。一見して馬のようでありながら、背には大きな翼が存在する彼の額には二本の角が生えている。


 思わず見惚れてしまうような美しさ。

 アタシは声を失い、少しの間だけ立ち尽くしてしまうのだ。



 

 そしてこれがアタシと、魔獣の王子の出会いだった。




 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!




もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。

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