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第十一週:男と女(土曜日)

〈理由と云うか、それは、この惑星がそろそろ破壊されるからではないのですか?〉


《木曜日。17時09分》


「――は?」


〈はい?〉


「――破壊?」


〈はい。そう聞いております。〉


「――地球が?」


〈はい。跡形もなく破壊されるそうです。〉


「――それはいつ頃?」


〈詳しい日時までは把握されていないようでしたが、遅くとも今から一年以内には――〉


「え?……少々お待ち下さい。ナツ君?」


『はい。デュさん、どうかされましたか?』


「いまの女王陛下のお話聞いてた?」


『はい。オオツタハコバツバメバチの女王の貴重な会話データとなりますので高音高画質8K映像とともに――』


「あ、うん、いや、それは良いんだけどさ…………なんかおかしくない?」


『と言いますと?』


「地球、破壊されないよね?」


『はい。破壊直前に盗まれて無事でしたから』


「だよね?」


『時代もかなり後ですし。先ほどの陛下のご発言は何かの勘違いではないでしょうか?』


「だよな、オッケー。あーびっくりした。――失礼致しました、陛下。ひょっとすると聞こえていたかも知れないのですが……」


〈はい。確かにお二人のお話は聞こえていましたが、しかし、私にそのお話をされた方もことタイムトラベルに関しては信用の置ける方でして、なのでこうして巣作りを――〉


「あ、いえ、陛下のお言葉を疑うわけではないのですが、その辺はかなり事情が込み入ってまして、時間も少々早過ぎるような――」


〈と言いますと?〉


「はい。確かに地球は一度破壊されることになったのですが、それは今よりもかなり後の――ナツくん、アレっていつだったっけ?」


『はい。現時から229年後の西暦2248年、星団歴ですと4253年。大銀河グレーテストオリンピックの開催に合わせた大銀河競技場横外部化粧室設置のため、地球は惑星ごと破壊されることになりました』


〈大銀河グレーテストオリンピック?〉


『はい。“400年に一度の平和の祭典”』


〈あの悪名高い?〉


『たしかに。現在の『大銀河グレーテストオリンピック』には神話や歴史時代の『ギャラクシー・オリンピック』にはあった精神性などはかけらも見られず、それらとの連続性もあやふや、且つ、あまりにも商業主義に特化したその祭典は多くの歴史学者、スポーツ学者から“オリンピック”の名を冠して良いものかとの指摘もされており――』


「あ、うん、ごめん、ナツ君。その辺はオブラートに包んで適当に飛ばそうか」


『あ、これは失礼致しました。と云うことで陛下、その外部化粧室設置のため破壊されることになった地球だったのですが、スッタモンダの紆余曲折、七転八倒、左顧右眄の後、八年後の星団歴4261年には元の場所へ戻ることになりなってなったわけです (注1)』


〈まあ、それは知りませんでしたわ。〉


『はい。詳しくは樫山泰士制作の傑作SFコメディ『夢物語の痕跡と、おとぎ話の物語』をお読み頂ければと想います (注2)』


「あ、うん、ごめん、ナツ君。そう云う宣伝とかも別に入れなくて良いから」


〈しかし困りましたわね。ジャンプの準備もそのための巣作りも順調に進んでおりますし、あの方以外とのお約束もありますし――〉


「ですからそこは、その“あの方”にキチンと説明して差し上げ――“あの方以外”?」


〈はい。地球に来られている異星人の方々で、こちらのポッドに同乗されたいと云う――〉


 コンコン、コンコン。


〈あら?さっそく誰か来られたようですわ。〉



(続く)

(注1)

 このへん時制がかなり混乱しておりますが、このような時制の混乱はタイムトラベルには付き物ですので、いまのうちに慣れるかあんまり気にしないようにして下さい。


(注2)

 これも別に読まなくても本作は楽しめるのですが、気になられた方は、こちらもチェック→

 https://ncode.syosetu.com/n3164gz/ 

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