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第九週:努力と友情と勝利(金曜日)

 承前。


『――あっついキッスをお願いしますわ』


 と、ショワ=ウーが亡母にしてイン=ビト王が亡妻イン=ティド妃 (霊体)は言った。


 言ったのだが、困ったのは言われたヤザスが姫君シ・ジェオである。


「ほ、ほ、ほんな、ほんなこと、きゅ、急に言われても」


 と言いつつ彼女は、目の前に横たわる半裸のイケメンを見、と同時に、先ほど見せられた、そんな彼の大事で大事な (*検閲ガ入リマシタ)を想い出し、


 カーー!!


 とばかりに、未だ高熱を発し続ける大ラト岩のように顔を真っ赤にさせると、


「ほ、ほんでなも、わ、わっち、ほ、ほ、こ、こ、こん人と、せ、せ、せ、せ、せっ――」


 と、きっと“接吻”と言いたいのだろうが、ハッキリ言葉を継げないおかげでなんだかもっとエッチな言葉を連想させる感じになってしまっている。なので――、


「なにアンタ、チューとかしたことないの?」


 と、彼女の母ピェラが作者の代わりに話を動かそうとしてくれたのだが――


「チュ、チューて!ほんなものしたことあれへん!!」と、娘は返し、


「あれまこの子は、そりゃあまりに奥手すぎへんか?」と、母娘の会話は転々として行く。


 で、


「ほんなこと言って、わっちまだ16やよ?」


「はあ?わっちが16の時には、おめえさんのお父さんと (*検閲ガ入リマシタ)しまくりやったよ?」


「お母さんの時とは時代が違うんや!」


「時代が違うことあるんやか、男と女が出会って、恋をして、愛を確かめあって、海とか山とか大空と大地の下でとか (*検閲ガ入リマシタ)とか (*検閲ガ入リマシタ)とか、たまには気分を変えて (*検閲ガ入リマシタ)の格好で (*検閲ガ入リマシタ)したからこそ、いまこうしておめえさんが――」


 と、こちらの検閲が追い付かないレベルの赤裸々トークを繰り広げてくれたりもするので、書いてるこっちも恥ずかしいし、これをずっと書いてても紙数ばかり使っちゃうし…………うん。ちょっとだけ場面を変えますね。


     *


「これはこれは、わざわざ申しわけあれへん」


 と、主人不在のピェラ御所から飛び出して来たのはヤザスが亡王マ・レゼであり、


「あ、いえ、わっちらこそ、ついついやり過ぎてしまいしたが――」


 と、こう応えるのは、色香と巨乳とエッチな太ももでお馴染みのゾンの女王ポリーテであった。


 彼女と、彼女の屈強な女戦士13人 (注1)は、長老ラテルを始めとするヤザスの男衆八百八十人をボッコボコのギッタギタのケッチョンケッチョンにして、ここヤザスの里まで引っ張って来たところであるが――、


「ウーさまの亡母さまから話を聞いて、つい力が入ってしまったんや」と、女王は続け、


「はいはい。わっちも話は聞いておるんやで、どうぞお気になさらず」と、軽い感じで亡王は応えた。「後はわっち方で処理しときます」


「よろしゅうお願いするんや。――ほんでなも、なんでもこちらの姫さまをウーさまの所に嫁がせるとか?」


「ええ、はい。ウーさまは快諾してくれましたが、なにぶん箱入りの孫でして」


「ああ、あの可愛らしいお方やか」


「ええ、はい。しかし、さてさて、きちんとお仕え出来るかどうか……」


     *


 と、云うことで。


「そやから、最初はもっと雰囲気のあるところがええって言ってるではあれへんか」


 と、再び場面戻ってのジェオ姫であるのだが――、


「でな、そんな雰囲気のエエとこで、キレイな星空とか見て、美味しいお食事とか取って、わっちもちびっとお酒とか飲んで、ちょおっと頬を赤らめたりして、そんでちょびっと酔った振りなんかしたりなんかして、ほんでもって彼の肩にもたれかかったりなんかもして、したら彼の緊張しとるんがその肩越しから伝わって来たりもするわけやんか、で、で、そんな感じで半ラオぐらいしたら、どこぞらともなく鳥の声が聞こえて来たりもしてやな、そしたらアンタ、目と目が自然に触れ合うて、手と手が自然に重なり合うて、で、どちらからいうわけでもなく、これまた自然に互いの唇を――って、きゃーー!恥ずかしくってこれ以上は言えんやか!!でなでな――」


 と、揺れる乙女心全開的トークはまだまだ続くようなので…………うん。続きは次回の講釈に廻しますね、はい。



(続く)

(注1)

 ゾン族は強力な母系社会を形成しており、その構成員の九割以上が女性であったと言われる。その為、女性の地位が異常に高く、日々の仕事はもちろん、戦闘・戦争も崇高な女性の仕事であるとされていた。特に、“女王陛下の十三人”と呼ばれる女王直下の戦士たちは、その世代最強の女性たちから選抜組織されており、ゾン族内はもとより他の部族からも圧倒的に畏れ敬われる対象であった。また、この十三人に限らず彼女ら女戦士たちは、敵を七人討ち取るまでは処女であることを義務付けられており、七人目の敵を倒して初めて、自分の気に入った男を強奪――失礼。村に連れ帰ることが出来た。そうしてその後、十四人目、二十一人目、二十八人目……と、討ち取る敵が増えるごとに、自身の気が済むまで、お気に入りの男を劫りゃ――失礼。夫として丁重に迎え入れる権利を得たのだと言われている。ちなみに。色香と巨乳とエッチな太ももでお馴染みの女王ポリーテが奪略して来た夫の数はと言うと、公的な記録として残されているものでは、“新旧合せて計二十九名であった。”そうである。

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