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第五週:紺と金(金曜日)

     *

※編者注:

 昨日、「「臨場感を優先したい」と云う作者の意を汲み、ほぼそのままの形で掲載する。」と書いたばかりで大変恐縮ですが、その後、この連載を読んだ弊社上層部から「“小説家になろう”の品位を著しく毀損する可能性がある」との横や――ご叱声を頂いたこともあり方針を転換、よほど目に余る部分については、本日分より、適宜我々の方で検閲・書換え・削除を行なって行くことと致しましたので、読者諸姉諸兄の方々には、この旨改めてご容赦ご海容頂ければ幸いであります。

     *


「安心して下さい。命までは取りません」そうショワ=ウーは言うと、若者の後ろに立つ他のヤザスたちに向け、「そちらの方々も安心して下さい。惑星までは壊しませんから」そう続けた。「そんなことをすれば私が父王にグァ (*検閲ガ入リマシタ)てしまいます」


 さて。


 この場面における彼のこの言動を見て、『惑星云々とは、また大袈裟な』とか、『そもそも、このショワ=ウーと云う男は一体何者なのだ?』等の疑問を持たれた方々も幾人かは居られるかと想うので、ここで少しばかりの補足を入れておきたいと想う。


 そう。それは先ずは、彼の生い立ちについてからである。


 前にも書いたとおり、彼の父は、北銀河の伝説的な統治者イン=ビト王であり、彼の母は、その妻イン=ティド妃であった。


 が、この母イン=ティドは、ウーと、彼と同時に生まれた二人の息子たち (イル=ミト、シン=ムン)が産まれる数週間前、突然の炎にその身を焼かれて死亡、その魂は、彼らが 《ハドルツ》と呼んでいる“死者の惑星”へと運ばれることになった。


 が、そこで彼女の夫イン=ビトは、未だ息の残るウーらお腹の胎児らまでをも失うわけにはいかぬと、彼ら三人を自身の身体に取り込み、妻の葬礼が終わるのを待ち、無事彼らを出産したと云うことであった。


 無論。この“身体に取り込み”や“彼らを出産”は、王家史書にあった記述をそのまま採用しているだけで、実際には、男である王が子を産むとは考え難いので、何らかの科学的処置が施されたものであろうと推測される。


 が、まあそれでも、彼らの生態を長年研究しているあるグループの研究者に依れば、これら史書の記述も「あながちない話でもない」らしく、「あまりに未知数・桁外れな人々なので予断は禁物」と云うことではあった。


 また、更に彼女は、「我々の銀河で“神々”と呼ばれていたのは、彼らのような種族のことではないのだろうか?」と、およそ科学者らしからぬ発言までしていたが、その言葉に笑いそうになった私に対し、「惑星スレストが無くなったのを知らないの?」と、続けた。


 と云うことで。次に彼らの“桁外れ”な能力について、このスレストなる惑星に何が起きたのかを例に取って見て行きたいと想う。


     *


 惑星スレストは、北銀河南西域に存在した無人・無生物の個体型惑星で、大きさは我が太陽系の水星ほどであったそうだが、星団歴4247年のある日、突然消滅している。


 この惑星消滅の理由については、問題の星系を管理管轄する西銀河帝国守護や銀河警察を自認する星団査察部門などが数度に渡る現地調査を行なっているにも関わらず、結局のところ、明確な結論は出されていない。


 ただ、これらの調査後、例えば前述の守護にやたら若くて美人な恋人が出来たとか、査察部門の責任者がカジノで大金を当てた等の一種不自然にも見える幸運が調査関係者らに多数舞い込んだことなどもあり、もしや何かしらの口止めがあったのでは……と云う噂は今も絶えなかったりする。


「それで我々のグループも独自に調査をしてみたんだけどね」と、前述の研究者は言った。「なんか、兄弟喧嘩が原因ぽいのよね」



(続く)

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