《銀河漂流ウラシマン(ディレクターズカット版)》第四話:無限の、彼方。
承前。
「『しかし……』
って太郎が躊躇してると、突然カンムリが太郎にキスしてくるワケだ」
「なんで?!」
「『今、我々亀族の生命エネルギー「カメハマンネン」を太郎さまに注入致しました』
『……カンムリ?』
『どうか太郎さまの……私たちの……新しい地球を!探し出して下さい!!』
で、小脇に多聞天ボックスを抱えたカンムリがエヴ――ヒラメゲリオンの方に向かって走って行くわけ」
「どっかで見たようなシーンだな」
「“ドドガーン!!”って、大爆発が起きて、粉々になったヒラメゲリオンのパーツと一緒に、彼女の甲羅も太郎の所に飛んで来て――、
『カンムリーー!!!!!』
って太郎が叫んで次週予告だよ」
「続くの?!」
「どう?熱くね?!」
「熱いって言うか暑苦しいけどさ……じゃあなに?地球は結局破壊されたままなの?」
「あ、いやそれ…………あーでも、やっぱそこは最終回まで観て頂かないと」
「……全部で何話?」
「七十八話」
「長いよ!!」
「面白いぞ?」
「いやあ――」
「DVD貸そうか?」
「そこまでじゃないよ」
「そうか?」
「じゃ、じゃあさ、いつか必ず全話見るからさ、取り敢えずオチだけ――って言うか、地球がどうなったかだけでも教えてよ」
「そう?でも、やっぱりそこに至るまでの七十七話があってこそ――」
「いいから教えろ!!」
「分ったよ。えっと……かくして、銀河連邦初代大統領となった太郎であったが――」
「ちょ、ちょっと待った」
「なんだよ?」
「初代大統領?」
「うん。悪の皇帝を倒した功績が認められてね。あ、でもあれだよ?そこに至るまでにもモモマンとかキンマンとかとの――」
「あ、ごめん」
「なに?」
「やっぱ最終回の内容だけでいいや、聞くの」
「そう?……じゃあ、えーっと、で、銀河連邦初代大統領となった太郎であったが、カンムリとのキスの影響で不老不死の身体になってしまっており――」
「たびたびごめん」
「あのさあ!」
「いや、一応。その……“不老不死”ってのは『カメハマンネン』の影響?」
「当たり前だろ?何言ってんだよ」
「だよな。オッケー、続けて」
「えーっと……で、不老不死の身体になってしまった太郎だけど、これでは連邦の皆と共には生きられない――ってことで、大統領の職を辞し、一人宇宙を彷徨うことになるワケ」
「ほお」
「でまあ、何年、何百年、何千年と旅を続けて、銀河連邦の興亡やら新たな帝国の興亡やらが繰り返されるのを横目で見ながら、最後には“宇宙の果て”の探索に乗り出すワケだ」
「“宇宙の果て”?」
「そう。“宇宙の果て”」
「なんで?」
「ああ、それは、第六十四話『さらば愛しき人々よ』でジョーダンと約束した――」
「あ、ごめん」
「なんだよ?」
「それは……DVD借りた時にまた見るよ」
「そうなの?」
「…………うん」
(続く)