《銀河漂流ウラシマン(ディレクターズカット版)》第弐話:見知らぬ、お城。
承前。
「地球、破壊されるの?」
「うん。跡形も無く」
「あるよ?ここに」
「ああ、それは破壊された後に――って、でも、そこはネタバレになっちゃうし、後で説明するんでもいい?」
「ええ……」
「あれ?ネタバレ平気な人?」
「いや、そういうワケでもないんだけど…………ネタバレ?」
「絶対、後で聞いた方がいいって」
「うーん。……じゃあまあ、後で」
「よし。最後まで聞けば、きっと『聞いてなくてよかった』ってなるから」
「はあ」
「で、どこまで話したっけ?――ああ、そうそう。で、亀女が言うワケだよ。『あなたも一緒に宇宙船に乗せて貰うようお父様にお願いしておきました』って。そしたら太郎が――」
「ちょ、ちょっと、やっぱりゴメン」
「なに?」
「なんで破壊されるの?いい所だよ、地球」
「あ、それはね、何だったっけな?……大銀河?グレーテスト?オリンピック?的な?」
「“大銀河・グレーテスト・オリンピック”?」
「そうそう。400年に一度の平和の祭典」
「それで地球が破壊されちゃうの?」
「うん。たしか、その式典用?の?競技場?か何か?を造るのに、邪魔だった?からとかなんとか」
「邪魔って――」
「まあ、銀河の平和のためだし」
「地球の平和は?」
「住民がいるとは言っても、地球はレベル5にも指定されていない辺境惑星だからさ、そんな星の平和とか、あんま関係ないんじゃないかな?銀河的には」
「それは……またなんかショックだな」
「まあ、太郎もショックだったと思うよ。四十二分しか残ってなかったからさ、ご両親や地元の人達とお別れする時間もなかっただろうし――」
「四十二分?」
「レベル5にも指定されていない辺境惑星だからさ、意見も聞かれないし、通達も来ないし、工事の直前になって連絡が入るだけだったらしいよ。ほら、土木関係は旧来のお役所体質が抜け切らないからさ」
「――公共事業的な?」
「そうそう。あ、でも安心して。カメ族の宇宙船に乗って太郎は無事だったから」
「はあ――」
「で、そんな感じに地球は跡形もなく破壊されちゃったからさ、太郎たちは取り急ぎ、ケンタウロスの中にある宇宙ステーション『リューズ・グッド・ジョー』に身を寄せることになるんだよ。ほら、あそこは永世中立エリアだろ?」
「“リューズ・グッド・ジョー”?」
「うん。“リューズ・グッド・ジョー”」
「“リューズ・グッド・ジョー”?」
「あ、なんか“竜宮城”みたいに聞こえるな」
「……ワザとじゃないんだな?」
「なにが?」
「あ、いや、なんでもない――」
「で、そこの総司令官のアシカ型宇宙人オットー・オーガナ姫の助けもあって、太郎は新天地を求めて銀河を旅することになるワケさ」
「地球が無くなっちゃったからね?」
「地球が無くなっちゃったからね!」
「そこは変わらないんだな――」
(続く)