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三度目の正直のはずだったのに、ループしたヒロイン(自称)は墓穴を掘る!  作者: 悠木 源基


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第18章 最大の敵と最大の味方


「○○さんばっかりズルい!

 

 ○○さんばっかり魔力がたくさんあってズルい!

 教会長様ばっかりみんなに愛されてズルい!

 教会長様ばっかりみんなに感謝されてズルい!

 私以外の女が王子さまの恋人になるなんてズルい!

 私以外の女が王妃になるなんてズルい!

 私以外の女がヒロインになるなんてズルい!

 

 ズルい、ズルい、ズルい……」

 

 元々の人生だけでなく最初のやり直しの世界でも、スピア嬢はズルい!が口癖だった。

 今回はまだ彼女には接触していない。しかし、二度目のやり直しである今回も、ゾイさんの話によると彼女は変わってはいないようだ。 

 何度やり直しをしてもスピア嬢は全く変わらないようだ。

 

 もしそれが持って生まれた性格だから矯正ができないというのなら、どこか他人に迷惑がかからない所にでも隔離すべきだ。

 しかしそうではなくて、もし甘やかされたせいでああなったのなら、それこそ教会がなんとかすべきだろう。あんなのを聖女だというのなら尚更……

 

 どちらにせよスピア嬢を放置するなんて、社会の害悪以外なにものでもない。自分の思い通りにならなければ、人を使って殺人まで犯す人なんだから。

 そして彼女が罪を犯したら、やり直しをして全てをチャラにする。一体これまで何度やり直しをしてきたのだろうか…… 

 考えただけでゾッとする。

 

 もうこうなったらバチが当たっても構わない。

 今回()()()()が過去を顧みずに、このまま()()()()()()を放置し続けるのなら、私があの教会をぶち壊してやる。

 

 しかしやはり教会の問題となると、自分達だけでは解決するのは難しいかも知れない。教会を大切にし、心の拠り所にしている人々も多いのだから。

 

 やはりここは聖女ミクティナ様に協力を願うのが一番だと思った。

 彼女は最初に私達が思い描いていた、ただ清らかな清純なだけの聖女様ではないように思えるので。

 

 ミクティナ様は、一般的貴族令嬢や聖職者とは一線を画した、本音で生きている方。つまりこれまで私達がやってきた、目的のためなら毒を以て毒を制すことを厭わないのではないかと。

 

 私は覚悟を決めた。

 本当はカナディーク王子やへラリー達に相談し、アダムズ様にも事前にもっと彼女のことをお聞きしてからの方が良いことはわかっていた。

 しかし、いつまたミクティナ様に会えるのかわからない。

 教会を潰すのなら時間がかかる。早く事を進めなくては、また同じ過ちを繰り返すことになってしまう。

 

 私は徐ろに口を開いてこう懇願した。

 

「ミクティナ様。

 私達はあのスピア嬢をなんとかしたいのです。

 このまま彼女を放置すると、多くの人々に迷惑をかけ、最終的には他人を巻き込んで、人を殺めるという犯罪に手を染めます。

 ですから、そうならないためにも、私達に力添えして頂けないでしょうか」

 

「カーリア!」「お姉様!」

 

 カナディーク王子とへラリーが私の思いもよらない発言に喫驚し、二人同時に声を上げた。

 しかし私の不穏な発言にも、ミクティナ様は全く動じることもなく、従容とした態度を崩さなかった。

 そしてゆっくりとこう口を開いた。

 

「確かにスピア聖女様は、問題の多い方には違いありませんが、現状では犯罪を犯すほど酷いとも思えません。

 それなのに、何故そんな不吉な未来予知のようなことを仰るのですか?

 しかもそれは、ベルギル侯爵家のお二人のご令嬢だけでなく、第三王子殿下もそう確信されておられますよね。それは何故ですか?」

 

「私達三人は、女神様のやり直し魔法のせいで二回ループして、今三度目の人生を生きています。

 しかしその二度のやり直しは、私達がどんなに過去の過ちを悔い改めて正しても、結局問題の根本原因である聖女スピア様と女神様である教会長が一向に変わらなかったことで、最悪の状態から脱することはできませんでした。


 そのせいで私達は、こうして再びやり直す羽目になりました。

 恐らくこのままいけば、今回もそうなってしまう可能性が高いと思います。でもそうなったら、私達は永遠に無限ループから永遠に抜け出せません。

 ですから今回は、バチが当たろうがなんだろうが、あのお二人をどうにかしたいのです……」

 

 ✽

 

 私は元々の人生、最初のやり直しの人生、そして今回のこれまでの人生を余すことなく語った。

 カナディーク王子とへラリーも諦めたのか、ところどころで補足するように口を挟んだ。


 私達の長い話を聞いた後、ただ黙って考え込んでいるミクティナ様に、アダムズ様が近寄って、彼女の手を握りしめた。

 

「驚いたよね! 信じられないよね。僕も最初は信じられなかったんだよ。

 だけど、殿下達の言っていることは本当なんだ。僕らしか知らない秘密を次々と言い当てたんだから。

 ミクティナ、お願いだから彼らに協力してやって欲しい」

 

 思いがけない援護射撃に、私達は驚いた。しかしミクティナ様は少しだけムッとした顔を幼馴染みに向けた。

 

「まあ、失礼ね、アダムズ。私は貴方と違って、個人的な秘密を言い当てられなくても、皆様のお話は信じましたわよ。

 だって、お話に一切無駄がないし、辻褄が合っているんだもの。


 近頃王都だけでなく地方の治安もすっかり良くなったというし、数年前までは、全く興味のなかった高位貴族の方々が、積極的に奉仕活動をなさっているでしょ? 

 何か特別な力が働いているんじゃないかと思っていたの。

 王子殿下の前でこう言ってはなんだけど、国王陛下や王妃殿下は、以前は行政や福祉などに全く関心を持たれていなかったでしょう?」

 

 凄い洞察力……

 私達は改めてミクティナ様に尊敬の念を持って見つめた。

 するとミクティナ様はニッコリと微笑みながら言った。

 

「わかりました。できるだけ協力致しましょう。私もずっと教会の在り方に疑問を持っていましたの。

 

 そんな簡単にやり直しをしていたなんて言語道断ですわ。しかもご自分達だけは相変わらずで、変わる努力や変える努力を何もしないだなんて、許し難いですわね。ご都合主義にもほどがあります。

 

 きっと教会長様は優しいご自分に酔いしれているのでしょう。自分は慈愛に満ちていて全ての罪を許す寛大な心の持ち主なのだと。

 

 その誤った慈愛とやらで、妹を改めさせることもなく増長させて、結局破滅させる。

 そして嫌なことには蓋をして、その過ちに目を伏せて何度も同じ過ちを繰り返す。愚の骨頂だわ」

 

 ミクティナ様はこうおっしゃって、私達の協力者、アドバイザーとなってくださった。そしてその後、積極的に教会の()()に向けて邁進して下さったのだった。

 読んで下さってありがとうございました!

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