27 己がスキルを見てみよう!
スキルの検査結果は、グリフィンから頼んでシャクラと共に確認することになった。
グリフィンがシャクラの同席を求めた理由は簡単、グリフィンはスキルの読み方を知らないからだ。
昨日教えてもらった喫茶店にて、隅にある6人席を2人で占領する。その名の通り閑古鳥の鳴いている店だ、店ごと占領しても文句は出ないだろう。
「グリューネ教会で届出をしとるくせに、そういうとこ初心じゃのう」
「だって、おれは戦うなって言われてたからね。そもそも荷物持ちなんて守ってもらうのも仕事だよ」
「荷物持ちとしてヒトを雇う方がよくわからん。ほれ、結果を見せよ」
「うん」
グリフィンは検査結果の冊子を取り出し、テーブルに置く。表紙に検査日と検査対象者名が書かれた8ページの冊子は、グリフィンの使っているノートより一回り小さい。
これでシャクラが昼食代わりにと注文したティーセットやホットサンドがなければ、テーブルの上には寒々しい風が吹いていただろう。
「どれどれ」
シャクラはグリフィンの前で冊子を開く。さいわいにしてユニバーサルデザイン、文字が大きめに印字されている。
「グリフィンは交渉やら探索に向いておるようじゃな。と言ってもその辺のヒト並というだけで誰かに秀でるようなことはない。それ以外では魔術はまだしも、武術や芸術はやめておく方がよいようじゃな」
「ひどい!」
「あくまでも現在の傾向じゃから、たとえば今後剣の腕を鍛えれば変わる程度の話じゃ。どれ、次は属性のけいこうわエッグ」
属性のページに視線を動かしたシャクラ。しかし、読み上げる前に驚いて冊子をテーブルに落としてしまった。
グリフィンが冊子を手に取ると、『地:2 水:1 火:null 風:8 光:1 闇:1 それ以外:空間の適性を検出』と書かれていた。それ以外にもこまごまとした文字が並んでいるようだが、グリフィンには読み取れなかった。
「シャクラ、これがどうしたの?」
「普通は属性で8なんぞ出んわ! 5段階評価ぞこれ!」
「シャクラが知らないうちに10段階に変わったとかじゃないの?」
「小さいがここに書いとるわ! 4でも魔女魔術師名乗れるレベルなんじゃが?!」
そう言われても、グリフィンには魔術の適性が(今のところ)殆どない。今後魔術を頑張ることもないだろうから、気にしないことにした。
その後も現在習得しているスキルについて、シャクラに説明を受けながら重要そうな部分のみグリフィンは記憶していく。空間魔術は今も頻繁に使っているが、それ以外にも生活魔術、音響調査、絶対音感、隠れる、魅了と使えるのか使えないのかよくわからないスキルがあるようだった。
「最後に血統じゃな。『緑の家系』第2世代又は先祖返り、と」
「チェルシーさんも言っていたけど、その緑の家系って何?」
「魔王の系譜ということじゃな。魔王の血が入っておれば肉体的・精神的に強力な能力を得やすいゆえ、神託勇者と呼ばれるものはそれぞれの家系から選ばれ、先祖の魔王の色を冠して魔王は呼ぶんじゃ」
「ふーん」
グリフィンは緑の家系だから、緑の魔王が先祖にいるらしい。それきり、シャクラはホットサンドに手を付けて黙ってしまった。
揺れる紅茶の水面を眺めて、グリフィンはふとアンワズの討伐した魔王は緑の魔王と言われていたと思い出す。
(おじいがおれを育てたのは、討伐した魔王が生まれ変わったと思ったから、とか?)
グリフィンはふは、と笑ってその考えを脳裏から追い出す。
それがどうした、もう育ってしまったぞ、と口元をゆがめながら。




