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弱小ショタなのでビキニアーマーを嫁にした  作者: ろーくん
第七章:獣者と毛物

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第93話 離宮に物を詰め込みます


 離宮は外見だけじゃなく、中も完璧に仕上がってた。



 貴族の豪邸とかわらない内観、そして部屋数。

 違いがあるとしたら、普通の貴族邸宅が横と奥に広い2~4階建ての館タイプなのに対して、この離宮は横が少し切り詰められた地上6階建てのボックスタイプな建物だということ。


「(もしかすると、元々は王城手前の出城みたいな場所だったのかも……)」

 敷地を囲う壁の一部にその名残りが感じられる。

 大昔はもっと魔物の脅威が酷かったらしいし、そういった時代にこの王都も頻繁に戦場になってたのだとしたら、可能性は高い。


 今の王都はこの国でもっとも安全と言われてる。時代の流れにあわせて、軍事拠点から離宮へ役目を変え、やがて使われなくなって久しかったのを今回、整備しなおした―――


「(―――うん、あくまでも “ 整備 ” してくれだって思う事にしよう)」

 ごく短期間での建て直しとか、一体どれだけの人手とお金を費やしたか……考えただけで頭痛い。

 下手すれば、兄上様(王様)どころか僕まで悪く言われかねない暴挙だ。いくら弟が可愛いたって、まさかそこまで軽率なことはしないと思いたい。

 兄上様はちゃんと考えあってやらせたんだと思わないと、いろいろ怖すぎた。



  ・


  ・


  ・

 

「殿下、あちらのお品は全て “ 下層 ” でよろしいですか?」

「そうですね、大きな品は “ 上層 ” まで上げるのは手間ですし、何かの際に運び出すことも考えますと、その方が良いでしょう。まとめてお願いします、レーデオさん」


 彼は獣人のレーデオ――――――ルクートヴァーリング地方で獣人達が住むカール・ラバイツ村から、先の戦闘に参加した犬頭獣人(コボルト)だ。

 獣人達の中でも中隊長的な雰囲気のある中年男性で、凱旋の列にも加わっている。

 (※「第73話 大がかりな帰り支度です」参照)


 あの後、レーデオさんを中心に100人ほどがこの王都に留まり続けてる。もちろん僕の指示だ。


「(犬……っていうよりちょっと獅子っぽさもあるような気がするなー)」

 犬頭獣人(コボルト)系は、どちらかというとサッパリした感じの犬種な頭の人が多いけど、レーデオさんは珍しく多毛でいかつい、凛々しい顔立ちをしている。

 いわゆるカッコイイ系。例えるなら猪とか熊とか仕留めそうな大型の猟犬とか?




「殿下、こちらの割れ物類はいかがいたしましょう? " 上層 " まで上げてしまいますか?」

「いえ、割れ物は利用頻度の高いモノもあります。“ 最下層 ” の方にしましょう。念のため、倒れて連鎖的に割れてしまわないよう、どっしりとした荷箱を適度に間に挟むように置いてください、コエナさん」

「はい、かしこまりました」


 コエナ――――――カール・ラバイツ村から、先の戦闘に参加した一人で、鳥獣人(ハーピィ)の一種。

 ちょっとイメージしたハーピィと違って、腕は翼と一体じゃなくちゃんとある。でも足はやっぱり鳥足だ。

 とても小柄で可愛らしく、体毛が真っ白くてフワフワした感じで、北国の可愛い小鳥っぽい。


「(既婚者らしいけど、どうして先の戦闘に参加したんだろ?)」

 100%戦いごとには無縁なタイプに見えるし、家族がいるなら危ないことは嫌うはず。

 一家のお父さんとかが、出稼ぎな感じで戦場に出向くならまだわかるけども。

 


「殿下、コエナさんは凄い人ですよ。ご結婚するまで結構な傭兵だったらしいですからね」

「え、そうなんですか? とてもそうとは……」

「傭兵稼業をしていた頃は体毛が全て逆立っていて、魔物の返り血で真っ赤に染まっていた事から、刺血鳥(しけつちょう)なんてあだ名で呼ばれてたとか……」

 つまり結婚してから大人しくなった、と。


「(まぁアイリーンも元傭兵なわけだから、そういう人が他にいたって不思議でもないか。……もしかして昔の血が騒いだとか、そんな感じかな?)」

 アイリーンだってあのアイアンフッドを倒した後、活き活きした笑顔を浮かべてたし、家庭に入っても戦場が恋しくなったりするのかもしれない。




「うーん、頼もしい方がいるものですね。……あ、レーデオさん、その思い出の品々に関しましては “ 居住層 ” の保管室にお願い致します」

「了解しました」

 僕は荷物を運びこむにあたって、まずはこの離宮の構造から上層・下層・居住層・最下層っていう区分けをした。


 5階と6階部分が1つにされていてその分、天井の高いシンプルで広い部屋が多い。たぶん兄上様が荷物を運び入れるのに使いやすいように手配したんだと思う。

 この最上階を、上層と呼んでいる。


 次にその下の4階。一応は居住も可能な感じだったけど、備え付けの調度品がほとんどなくて広々としてたから、ここも荷物を運び入れる場所にして、下層と呼称。


 そして1階~3階が居住層。その名の通り、この離宮で生活できる場所。正直この3フロアだけで完全に豪邸だ。

 確かに他の離宮や貴族邸宅に比べたら多少は規模は小さいけど、十分過ぎる。



 そして最下層は地下のこと。

 基本は居住層で普段から使う物品の倉庫。一部の割れやすい物や、使う頻度の多そうな品などはこちらに入れることにする。



「(改めてみると、本当に十二分過ぎる施設だよね、この離宮……)」

 何か、兄上様のブラコンを発揮した兄バカ以上の意図を感じる。

 正直それが何かはピンと来ないけど、使わせてもらえる事になった以上は思いっきり利用させてもらおう。


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