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弱小ショタなのでビキニアーマーを嫁にした  作者: ろーくん
第五章:初子と初陣
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第71話 戦い終わって日が暮れます




 勝敗は決まった。




 魔物の軍団はまだ1万7000残ってたけれど、エイミーとヘカチェリーナが連れてきてくれた戦力1万2000に強襲されたことで、魔物たちは一気に浮足立った。





「掃討戦に移行した後も周囲を警戒するようにしてください。またどこから魔物の増援が現れないとも限りません」

「ハッ! かしこまりました!」

 魔物の群れに斬り込む際、危険はあったけれど僕は陣頭に立って指揮をとった。(それっぽいポーズしただけで、細やかなことは周囲の近衛兵さんや騎兵さん達に丸投げしてたけれど)

 おかげでバラバラに分断されて各個撃破されるのを待つだけだった、最前線の兵士さん達が息を吹き返した。


 全て出しきって消えかかっていた士気が再点火。僕達と合流した後も、半日以上に渡って戦い続けてくれた。

 おかげでセレナ達を見つけた時には、こちらは1万6000まで戦力が増加。一気に勢いに乗って、今度は僕達が相手を分断しつつ確固撃破していった。




  ・


  ・


  ・


 そして、エイミーたちが駆けつけて来てくれてから丸1日が経った後。


 今度こそ精魂尽き果てた最前線の兵士さん達が泥のように眠っている陣屋から、セレナと数人のお供が僕の陣にやってきた――――――死傷者数の報告のために。



「殿下……このたびの戦い、感謝の念にたえません。御自ら獅子奮迅のご活躍、誠に感謝いたします」

 セレナがそう言うと、お供の兵士さん達も深々と頭を下げ……というか土下座レベルで地面に頭をつけそうなくらいに深い礼をしていた。


「よしてください。僕達は後援として参戦した身、この軍の指揮官はヒルデルト准将、貴女(あなた)です。それに……僕にもっと力があったなら、これほどの被害にはならなかったでしょう。感謝をいただいて勝利を喜ぶより、まずはしかと反省しなければ亡くなった兵士さん達に顔向けできません」

 僕の言葉を聞いて周囲にいた近衛さん達や戦術参謀官、居合わせてる他の兵士さん達も驚いた顔をする。直後に涙ぐんでいる人までいた。


「おお、殿下……」

「なんと謙虚で真面目な御方か」

「我ら殿下と共に戦えたこと、生涯の誇りです」

 あちこちから僕を褒め称える呟き声が聞こえてきてむずがゆい。別に恰好つけてるわけじゃなく、本当にそう思ってる。



 ――― もし、ルクートヴァーリング地方の軍事面を数日早く今よりマシな状態にできていれば、エミリーとヘカチェリーナが軍を編成して持ってきてくれるにしたって、もっと早かったはずだ。


 ――― もし、僕が社交界でコネクション作りを意識した交流を、もっと早く始めていれば、保身から渋る貴族達に働きかけて、王都の防衛戦力をより多く引き出してくることができたかもしれない。


 ――― もし、アイリーンと赤ちゃんを作るのをもう少し遅らせていたら、この戦いにアイリーンという戦力を期待できたかもしれない。



 ……後悔は何の役にも立たない。


 けど戦場で死んでしまった兵士さん達はもう戻ってはこないんだ。いくら反省しても悔やんでも、散った命は帰らない。彼らの家族や恋人は悲しみに沈む運命を強いられる。

 僕はそれが悲しくて、悔しかった。




「―――ヒルデルト准将。疲労困憊でしょうが報告をお願い致します」


「ハッ、かしこまりました殿下。……今回の戦いに参陣した私の傘下、8000名……内、半数の4000名が死亡または行方不明、3000名が瀕死の際にあり、残りの1000名も重傷の床にあります」

 僕達が駆けつける1ヵ月以上前から、たったの8000人で倍以上の敵を食い止めていた。本当にセレナが指揮官として有能だって思わされる事実だ。


 しかも、僕達が最初に駆け付けた時、彼女傘下の兵士さん達は6000人まで減っていた。にも関わらず今の報告を聞く限り瀕死の重傷者ばかりといっても、生きて戦闘を終えることが出来た生還者は4000人もいる。


 つまりセレナは、僕達の後援部隊のサポートやエイミーたちの連れてきた増援があったとはいえ事実上、自分の部隊の死者を半数に抑えながら数倍の敵に勝ったのだ。


「(指揮官として、これと同じ戦果をあげられる将軍は、他にどれだけいるだろう?)」

 前世の記憶や情報と照らし合わせてみても間違いなく名将に連なるレベル。沈痛な面持ちで報告しているセレナだけど、僕は彼女の存在をとても誇らしく思った。







―――――――――――― 戦果報告書 ――――――――――――


当該戦時司令官:セレナーク=フィン=ヒルデルト准将


 ・戦地:大街道を西進、王都より20~30km地点域


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ・参陣総兵力 :2万5000人

  内訳:

   ヒルデルト准将旗下主力部隊   :8000人

   △△△△△第三王子旗下後援部隊 :5000人

     (戦闘開始より38日後、現着)

   エイミー王弟第二妃旗下増援部隊 :1万2000人

     (ルクートヴァーリング地方より参陣)

     (戦闘開始より50日後、現着)


 ・総戦死者数  :9247名


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ・敵性魔物の総数:約3万2000体

  内訳:

   ゴブリン型亜人   :10000余

   ウォルフ(二足歩行狼)      :8000余

   アンデモ(偽小悪魔)      :6000余

   ボアラ()()ガス(実気体)    :3000余

   オーク(豚頭魔人)       :2000余

   トーロル(肉塊巨人)      :1000余

   トーラヴァイパー(大丈毒蛇)  :500余

   クローラウンド(斬爪這魔)   :300余

   ストーンスキン(岩肌巨人)   :200余

   ゴーストギャロップ(幽騎馬) :150

   アーマオーガ(鎧鬼亜人)    :少数


 ・敵総撃破数    :約3万2000体(殲滅)

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ・総戦闘日数:56日

 ・結果:当方勝利


         著および報告者:△△△△△第三王子。

――――――――――――――――――――――――――――――




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