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弱小ショタなのでビキニアーマーを嫁にした  作者: ろーくん
第一章:ショタっこ王子様の生存戦略
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第05話 サーカスの女の子です



 この日、兄上がわざわざ僕のためにとサーカスの一団をお城に招いてくれた。



 そのサーカスは、僕の前世の知識とは少し違っていた。


 一団総出で色々な諸国に渡り歩いて営業するようなものではなく、決まった場所に定住している。

 内容も、身体や動物を使った芸を披露するだけでなく、音楽堂を経営して楽団の演奏イベントなんかを仕切ったり飲食物を売ったりしているんだって。


「エンターテインメント総合プロデュース業……みたいな感じかなぁ?」

 今日は、そんなサーカスの人たちがお城の中庭や兵士訓練所の広場とかで色々な出し物を展開してる。さながらお城がお祭り会場になったみたいだ。


 僕は付いて来ようとする従者たちを振り切って、ここぞとばかりにサーカスの出し物を自由に堪能して回っていた。



「場所がお城の中だけに、一人で行動できるのが嬉しいなー…」

 暮らし慣れたお城の中で自由な感覚を味わえる日が来るなんて思ってなかった僕は、心から兄上に感謝しつつ歩く。


 そんな中、ふと出し物のテントと城の壁の一部の隙間の方を見る――――と、そこには誰かいた。


「? ……サーカスのひとかな?」

 奥まったところ、少し暗がりになっている中に明るい服装をしている誰かがいた。


 何か壁の中? を伺ってるような体勢をしている。僕は気になって足を止めると、足音を立てないように、近づいてみることにした。






「ふんふん、ふっふ~ん♪ さー…早く誰か被らないっかなぁ~♪」

「何を被るの?」

「! わわっ!? い、いつの間にっ??」

 近づいてみて分かった暗がりの中の誰かは、僕と同じくらいの年頃の女の子だった。

 驚いて彼女が退いたところ――――壁に横長な四角穴があいてる。どうやらそこから何かを覗き込んでたみたいだ。


 偶然あいてたような穴じゃなく、壁には一定間隔で同じ穴が並んでいる。その中の一つ、女の子が覗いていた穴の先には………


「? …兵士さんたちの、休憩所?」

 今日のサーカス団の催し事にあわせて、警備の兵士さん達が休憩する場所があった。

 簡単に机とか椅子とか、ちょっとしたものが置かれてるだけの仮設スペースだ。


「誰?? もしかしてお城の子? …あっ、ちょっと私にも見せて見せてっ、もうすぐいいところだからっ」

 そういって女の子が僕を身体ごと押して、長方形の穴の半分を覗き込んできた。身体が密着して、僕は思わずドキッとしてしまう――――忘れてた、子供の頃は同い年くらいの女の子にドキドキしてしまうものだってこと。


「(コレが青春…なのかなぁ)」

 そんな事を考えていると、穴の先で兵士さんが一人、机の上に置いてある兜を手にとった。


「きたっ。にしし……さー、そのまま気付かずに被っちゃえ~…」

「?」

 兵士さんが、兜を頭に――――ベチャリッ!


『んん?? な、なんだこりゃっ!? おい誰だっ、兜の中に…この、くのっ、頭にくっつい…って、うわ取れないっ、ベタベタだっ!!』

 それはオモチと、山芋をすったモノの中間のようなネバネバした子供向けのお菓子だった。

 ついさっき、僕も出し物のお店の一つでいただいたばかりだけれど、本当は木の棒の先に、指先くらいの大きさで丸く絡めてまとめてある程度。

 ところが兵士さんの兜の中には、両手で持つボールと同じくらいの量が詰めてあった。


「あはっ、大成功~☆ ホラ、見つかる前に早く逃げよっ」

「え? あ、…う、うん」

 どうやらアレはこの娘のイタズラだったみたいだ。


 手を引かれて走る――――明るい赤味のある茶髪に、サイドのポニーテールが僕の目の前で揺れてる。

 身体はとても華奢だけど、活発ですごく機敏な動きが出来そうな感じがする。


 纏ってる衣装は天使の羽をモチーフにしたような大き目の白い襟が肩まで覆って、その下にピチッとフィットした明るいピンクのレオタードが見えている。

 白いスカートは短くて、走っている最中はずっとフワフワ浮かんでてお尻が見えそう。


 脚には薄茶色のタイツに、白いガーターとそれに繋がってる白いハイソックスが重ねられている――――空中ブランコやダンスをしそうな恰好だ。



「はぁ、はぁ、…へっへ~ん、悪戯大成功だねっ」

「僕は何もしてないけどね」

 ようやく止まったのは、人気がなくてどこからも死角になるようなお城の建物の片隅。あらかじめ逃げて隠れやすい場所を先に見つけておいたらしい。



 そして僕にとっても、この場所はとても好都合だと思った。


「じゃ~あ、次はキミが何かしてみる? 私も手伝うから! ねっ、どんな事しよっか?」

 彼女はイタズラが大好きみたいだ。さっき会ったばかりなのに、名前も聞かずにもう僕をイタズラ仲間として認識してる。子供の順応性ってスゴイ。


 なので僕は、ありがたくそれに乗っかることにした。


「ん? なになに? どんな悪戯するか決めた?」

 手招きした僕に女の子は無防備に身体を寄せてくる、そんな彼女に僕は――――


 チュッ



 キスをした。


「……ふぇ? ………え、ええええ??」

「うん、決めた。キミに大人なイタズラしようって、今決めたよ」


 チュッ、チュッ…


「え、え、…ちが、そ、そーゆーんじゃ、んむっ――――――――」

 

 チュチュッ、チュパッ、チュパッ…


 唇へ触れるだけのキスから、口を捉えて舌で舌を捕まえるキスへ。僕は女の子を思いっきり抱き寄せた。逃げないようにしっかりと。

 これでもかってくらいしつこく絡み合わせるベロチューの嵐をプレゼント。


 女の子は最初、顔が真っ赤になった。

 次に恥ずかしすぎて目を回しそうになってたけれど、1時間も続けてると表情がポヤンとしてきた。


 そして2時間…目の中にハートの輝きが宿ったような気がする。ヨダレの糸を引きながら唇が離れても、女の子は舌を外に出したまま完全にトロけた表情のままだった。


 ・


 ・


 ・



 そして、残りの自由な時間もすべてその女の子に使った。


 僕はこの日、サーカス一団に所属してる女の子っていう、お城の外で情報収集してもらえる人材を、図らずもゲットすることができたんだ。






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