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弱小ショタなのでビキニアーマーを嫁にした  作者: ろーくん
第三章:迷惑な人たち

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第38話 お茶でかえりみるのです




 マードリィアドム(自然の泥人)との遭遇で、セレナは本当によく頑張ってくれた。



 重傷者こそ多数出たけれど、戦力的に死者が出るのは避けられない戦いで1名の欠員もださずに兵士さん達を生還させたことは、お城でもとても話題になった。



「(これで指揮官としてのセレナの評価は一気に上がったわけだけど……)」

 それ以上に騒ぎとなったことがあった。

 それは、王都に比較的近いところにある森でマードリィアドム(自然の泥人)の出現が確認されたことだ。


 僕たちが帰ってきてからすぐに、他の部隊が調査に派遣されたらしいけれど、マードリィアドム(自然の泥人)ほどでないにしろ、森である程度の魔物の存在が確認されたとか。


 その報告を受けて一番動揺してたのは、他でもない無能で欲深な大臣たちだった。



「今まで安全だと思っていらしゃったので、余計に慌てるのでしょうね」

 エイミーが僕とアイリーンにお茶を注ぎながらそう話してくれた。彼女はメイドとして働いているだけあって、他のメイド――貴族家の次女三女など――との雑談でそういった話をよく聞かされるらしい。


「彼らはいっつも嫌味を言ってくるのでキライでしたから、いい気味です! でも旦那さま……本当にご無事でよかった、マードリィアドム(自然の泥人)は準備不足では危険な相手ですから。セレナーク准将どのの奮戦には感謝しかありません」

 アイリーンからすれば十分に一人で倒せる魔物。だからといって、その脅威度を誤認しない。


「(その辺やっぱり元プロだよね、僕のお嫁さんは)」

 エイミーが差し出してくれたお茶を笑顔で受け取りながら、僕は次にヘッケイロフのことを思い出していた。




「そうそう、ヘッケイロフっていう僕たちに同行した町長さんですが―――」

 あの調査から生還後、ことの次第を聞いた兄上様(現王)母上様(皇太后)が、それはもう激しい怒気を笑顔の下に燃え上がらせてた。

 ヘッケイロフはヘッケイロフで、自分のツテを頼って罰せられないように色々と画策してたみたいだけど、あまりにも相手が悪すぎる。


「(何せ、兄上様と母上様が僕のために動けば、それだけで宰相の兄上様をはじめとして国の頂点に近い人達全員が動くわけで……絶対にかなわないよね)」

 特に母上様が動いたと伝わると、ヘッケイロフに味方しようとしてた貴族たちは一斉に手を引いて無関係を貫く態度に豹変したらしい。


 それどころか逆に、寝返ってヘッケイロフの汚い根回しのあれこれを告げ口する貴族まで出たと、宰相の兄上様に後日聞かされた。



「……す、すごい。さすがお義母(かあ)さまは格が違いますね!」

「皇太后様は昔から変わらず、素晴らしい御方ですね」

 アイリーンは、自分じゃとても無理な世界だと口をあけっぱなしにして惚け半分に驚いてる。

 それと比べると普段からそういう貴族の権力闘争的な話題を同僚と噂話に花咲かせているエイミーは、免疫がある様だ。

 それでもその絶大な存在感に、多少なりとも引き気味に苦笑しているような表情に見えた。


「うん。それで結局、ヘッケイロフさんは色々と他の悪事も芋づる式にバレたみたいでね、町長どころか爵位も全部はく奪されて投獄されたんだ」

 ちなみに処罰としての投獄は僕の希望だ。


 最初、兄上様達は国外追放を考えてたみたいなんだけど、それはちょっとマズい。その場合、まず間違いなくヘッケイロフは僕やセレナを恨む。

 しかもあのテの人間は、決してロクなことをしでかさない。


「(本当は極刑であの世行きにしてもらった方が安全なんだけど、追放処分を検討してたところから一気に死罪に持ってくなんて難しいし)」

 そんな事を僕の口から希望したらそれこそ角が立ちかねない。


 国外追放と同じくらいの厳しさで、かつ納得いく理由を挙げて、そしてヘッケイロフがどんなに僕やセレナを逆恨みしても何もできない状態にする――――――その最適解が投獄だった。




「自業自得ですね、何より旦那様をガキ呼ばわりした罪は重いです、そんな無礼者はいっそ、魔物に殺されてしまえばよかったんですよ」

 あるいはアイリーンが一番正しいかもしれない。あの森で本当に魔物に殺させてしまうべきだった。

 投獄の身になったってヘッケイロフ自身はまだ生きてるんだから。


「(物語とかでよくあるもんね。慈悲をかけて命は取らないでいたら、その後よりにもよってっていう大事な場面で致命的な邪魔をしてくるパターン)」

 でも、もう刑罰が決まって執行されてる。これ以上ヘッケイロフについてどうこうする事はたぶん難しい。


「ははは、ああいう手合いはちょくちょくいますし、僕は気にしていません」

 にこやかに話しながらも、僕は油断しないようにしようと心の中で自分に言い聞かせた。

 そんな物語の分かりやすい王道パターンを、何も知らないならいざ知らず、前世の記憶ある僕がなぞってなるものか。




「(―――そうだ、今回の件で一つ、大きく進展させられるかもしれない)」

 ヘッケイロフ、というよりは王都近郊で魔物が出現している事実の方に、僕の抱える難問の一つが解決できそうな兆しがある。


 それはセレナと僕の縁談だ。


 かねてより彼女が将官位を失うことなくお嫁さんの一人にする方法を模索していたけれど、この事実はそれを実現する理由になりえるとハタと気付いた。



「……ある意味、ヘッケイロフさんのおかげかな」

 その事に気付けたのは、ヘッケイロフのような類の人間がいるからこそだ。


 王弟に不敬を働く輩がいる―――特に母上様や兄上様などをはじめ、僕を大事に思ってくれてる人達は、そういった不快な連中から、僕が害されたり毒されたりするのを守りたいはず。


 それ自体は昔から気を配ってくれていたとは思うけど、そこに加えて今回の森の調査任務の結果だ。

 以前、やはりセレナ達があたった、国内に出現した魔物の一軍勢の件と合わせれば、国内で魔物が出現するっていう今までにない話、その現実味はもはや揺るぎない。


 僕に過保護な二人だ。話をしっかり練りあげて持っていけば、セレナが一定の軍事的な権力を有したままに僕へのお嫁入りすることができるはず。





「?? 殿下、どうかなされましたか?」

「エイミー、急で申し訳ありませんが、これから手紙を書きます。それを兄上様(国王)にお届けしてください」

 早速、はたらきかけよう。


 思い立ったが吉日という(ことわざ)が今、僕の中で強く流れた。





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