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弱小ショタなのでビキニアーマーを嫁にした  作者: ろーくん
第一章:ショタっこ王子様の生存戦略
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第03話 高飛車だけどデレデレです



―――――――王立初等学校。



「さようならー」

「ごきげんよー、また明日ー」

 初等部は貴族(エリート)御用達の学校でもまだカワイイ感じで、ほのぼのしてる。


 放課後。

 僕も他の生徒が帰るのに混じって歩きながら、いろいろ考えてた。


「(別にアイリーンに赤ちゃんを産んでほしくないわけじゃない・・・)」

 むしろあの身体は、すごくいいお母さんになれる素質満点だと思う。胸もお尻も大きいし、戦士だけれどお腹が割れてたりもしないし、ムキムキマッチョな女性って見た目でもない。

 顔立ちもいいし、着飾ったらきっとどこのご令嬢ですかって言われると思う。


 他の女性兵士の人は、男性の兵士に負けるものかと凄く鍛えてる。見た目には本当に女性なのかも分らないくらい全身ムキムキで、男性兵士のおじさんたちより怖そうな人だっている。

 そんな彼女らは常々、同じ女戦士なのに美貌も強さも兼ね備えててズルイって、アイリーンを羨ましがりながらも、同じ戦う女性として尊敬してる。


 僕のお嫁さん(アイリーン)が戦士らしくない美貌を保ちながら、すごい強さを持っているのは日々の鍛錬じゃなく、生まれ持ったスキルのおかげ。



―――――<剛戦美雌(ごうせんきょうし)

 強くなればなるほど美しくなり、美しくなればなるほど強くなる。

 しかも戦闘を経験することで他の人よりも強くなりやすくて、美しさも磨きがかかりやすいんだって。


「(一緒にお風呂に入った時、いつもすごく念入りに身体を洗ってるのも、スキルの効果を最大にするためなのかなー)」

 才色兼備じゃなくて、戦色兼備って感じがする。戦う女性にとって最高のスキルなんじゃないだろうか?



「(とっても頼もしいけれど、戦闘に強いだけじゃダメだし・・・うーん)」

 お嫁さん一人で僕の将来は安泰、とはいかない。すぐ傍にいられて守ってもらえる強さ……アイリーンをお嫁さんにしたのも、王弟である僕の近くに居させるのに、身分や立場の問題を解消しなくちゃいけなかったから。


 でもアイリーンはお世辞にも頭があんまりよくない。

 学校なんて行った事ないし、本人の性格もちょっと雑で大らかだから、今から教養を得てもらうのは難しそう。もちろん、貴族の付き合いとかそういうのが出来る女性じゃない。


「(戦闘以外の事で、僕を支えてくれるような…)」

 なので次に僕が欲しい人材は、王弟という身分・立場をよく理解してくれていて、上流階級の社交界で支えてくれそうなヒトだ。


「(でも、どうやってそんなヒトを探そう? もしいたとしても、どうやったら僕の味方になってくれるかなぁ?)」

 既に兄上様が即位しているから、王の代替わりという貴族な人々にとっての一大事はしばらくやってこない。

 なのでお偉いさんたちは今、一生懸命 “ 派閥 ” を作ったり、違う派閥に移動したりとかしてるんだ。


「(兄上様の下で、少しでもいい地位や立場を得ようと必死になってる…って言ってたっけ。そういえば兄上様、最近すごく忙しそうにしていらっしゃった)」

 それがどう落ち着くかで兄上を王様とした治世のあり方というのが決まるらしい。聞いた限りだと、今の僕と兄上の悩みはけっこう似てるのかもしれない。





 ―――――と、そんな事を考えていたら、



「……っと、ちょっと! お待ちなさいってば!! いくら王様の弟君だからって、(わたくし)を無視するなんて失礼にもほどがあるのではなくってっ!?」


 横からものすごい剣幕で呼び止められてた。


「んー? あ…うん、ごめんなさい。考え事をしていたので、気付きませんでした」

 悪びれない笑顔を浮かべる。

 スキルはなくても、僕には愛嬌という対人武器があるんだ。こういう時は無垢に笑うのが一番。


「…ぅ。か、…かわぃぃ…――――ハッ?! こ、こほんっ! とにかくっ。この(わたくし)こと、クルリラ(クララ)=フィン=エイルネスト がお声を掛けたのですから、キチンとこたえてくださいな!!」

 なんとなく聞き覚えがある名前――――確か兄上の王位就任式で臣下の代表として挨拶してた片眼鏡の男の人が、確か…エイルネストっていってた気がする。あの人の娘なのかな、と思いかけて僕はハッと気づいた。


「(このコなら、アイリーンじゃできないトコロをケアできるかもっ)」

 怒ってるのに頬を赤らめて照れ隠ししてる―――僕に好意がある事がよくわかる表情だ。

 これは獲得(・・)するのは簡単そう。しかも僕は王弟だから、彼女の親も僕のトコロに嫁へと出すのは喜ぶはず。


「(兄上様も何人もお嫁さんがいるし…そうだよ、僕も別にたくさんお嫁さんを貰ったっていいんだ、この世界にも側室の制度があるんだよね?)」

 光明が見えた。


 立場からどうしても行動が制限されてしまう中、人材獲得の手段として結婚はとてもいい方法―――――女性ばかりになってしまうけれど、僕のスキル(・・・)を考えたらその方が都合もいい。



「(よーし…)…うん、ゴメンねクルリアさ――――クララ、気付かなくって」

「んなぁっ??! …そ、そのようによ、呼び捨ては、…れ、礼儀というものが…ごにょごにょごにょ…」

 耳まで真っ赤になってどんどん縮んでいくクララ。巻いた金髪ツインテールがすごく揺れてるのが、まるでゴハンをあげた時の庭の犬――番犬――たちの尻尾みたいでカワイイ。



 僕は彼女―――クララをお嫁さんの一人にする事を心に決め、そのための方法や行動を考えながら、迎えの馬車に乗ってお城に帰った。





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