5章 運試し
[やぁ、前回の記憶はあまり無いんだ……ごめんね?だから、今回は少し豪華に男の転機をPUした内容をお届けするね。比較してみるのも面白いかもよ。]
〜Aのターン〜
とある男がいた。
その男は大きな目、高い鼻、整った顔立ち。また、顔だけではなく体のスタイルも抜群の男だ。
「最近、金を使い過ぎちゃったなぁ……でも、今日から頑張るぞ!!」
その男はそんなことを呟きながら夜の町を歩いていた。
「明日からは就活もしっかり頑張らないと……」
そう、現在無職である彼の貯金はすでに尽きかけていた。
「母さん、俺ね………
〜Bのターン〜
とある男がいた。
その男はイケメンとは到底言えないような醜い顔立ちをしていた。スタイルもどちらかといえば肥満体型に近い、お世辞にもカッコ良いとはいえない男だ。
そんな彼は今日も日々パチンコに明け暮れていた。
ひたすら玉を撃ち続ける。その作業のような光景を。
彼には、趣味と言える趣味がなかったのだ。
日々仕事をして、稼いだ金は時間を潰すのに丁度良いパチンコに使用していた。
時間を潰すことが目的なので大して金をかけていない故、大負けすることはない。
特別大きな幸せもなければ、特別大きな不幸もない、そんな毎日だった。
「1等5億円!!宝くじいかがですか?」
遠くから可愛らしい声が聞こえてきた。
宝くじ売り場を見ると小柄で顔も小さな可愛らしい女性が売り込みをしていた。
「あなたも、夢を買いませんか?」
胸がズキズキと痛む、それと対照的に何故か幸せな気持ちになる。これは……小学校に通っていた頃以来の恋という感情だろうか?
「では、一枚お願いします。」
「お買い上げありがとうございます!!」
つい、彼女と話がしたくて興味のない宝くじを買ってしまった。
一目惚れとは本当にあるんだなぁ……と思い、俺は帰宅した。
〜Aのターン〜
翌日の朝
就活という話をしていたが、一旦やる気が出ないので別の目的を遂行することにしよう。
俺には好きな人がいる。とても可愛げな彼女だが、前に一度告白をして振られた。
理由は「私には釣り合わない」と言われてはぐらかされたが、今なら行ける気がする。
今日も彼女は店員として接客をしている。
「毎度ありがとうございます。」
「コシさん、今日仕事終わってから少し良いかな?」
「えっ!?あ……はい大丈夫ですけど……」
「では、18時にこの店の裏口で待っていてください。」
「わ、わかりました!?」
流石に突然誘われたので戸惑うのもしょうがないだろう。
だが、確かに約束を取り付けることができた。
「今回こそは………成功させる!!1000万もする高級な指輪も買ったんだ。成功させてみせる。」
そう、俺は決意し、残りの時間を有意義に過ごすことにした。
〜Bのターン〜
「お買い上げありがとうございます。いつも買いにきますけど、よく買われるんですか?宝くじ。」
「あ……はい。当たった試しはあまりありませんけど……」
気づけばあの出会いの日から一年が経過していた。
毎週彼女が出勤している時間を狙って宝くじを買いにきていた。最初の1ヶ月は一枚だけ買っていたが、半年が経つころには一度に12枚ちかく買ってしまっている。
しかし、この思いに対する価値で言えば趣味のない俺の生き方を変えてくれた彼女と話す時間に費やす費用と思えばどうということはなかった。
「いつもの枚数で良いですよね?」
「はい、よろしくお願いします。」
僕は彼女から宝くじを受け取るとそそくさと帰って行った。
変なことを言ってないだろうか……顔がにやけて気持ち悪くはないだろうか……など、様々な気持ちを押さえつけるための方法を、彼は逃げるということでしか解決できないからだ。
いつもの帰宅よりも彼は楽しげな足取りで帰って行った。
〜Aのターン〜
待ち時間丁度にコシさんが現れた、俺が急に約束を取り付けたからだろうか。相手はあまりお洒落などはしていなかった。
申し訳ない……
「タロウくんだよね。」
「あぁ、前にも言いましたが好きです。付き合ってください!!」
「凄いね。タロウくん必死に自分を変えようとしたんだね……」
「コシさんに断られて色々試行錯誤したんだ。俺のこの気持ち受け取ってくれ!!」
そう言い、胸ポケットから指輪を取り出した。
「タロウくん、これって?」
「婚約指輪だ。まだ付き合ってもいないし、少し早いが俺からの気持ちだ。受け取ってください!!」
顔が赤くなり緊張する気持ちを抑えての必死の告白だ。
「タロウくん、この指輪どのくらいしたの?」
「1000万だ。」
「貯金はどのくらい残ってるの?」
「もう10万しか残ってないが、これから一生懸命仕事を見つけて頑張るからお願いします!!」
「ごめんなさい。この指輪はあなたのために使ってください!!」
心が割れるような、ここまで一生懸命やって何が足りなかったのか。仕事に就いてないからか、貯金がないからなのか……クソッ!!クソッ!!悔やまれる心なんて知らず、コシさんはその場を去っていった。
〜Bのターン〜
「あれ……嘘じゃ……ないよな?」
当選番号を確認する。
「0156987432………当たってる!?1等の5億が!?」
右の瞼をつねる。痛む、夢なんかでもないよな。
30回は繰り返し読み続ける。
やっぱり……当たってる!?
1等だと!?
飛び跳ねそうな思いを気持ちのまま、俺は宝くじを金に引き換えに銀行に向かった。
銀行では専門のことや貯金について、この金の重大性や募金について勧められたりしたが面倒くさそうなので全部流して聞いていた。
こんな金があればもう、遊んで暮らせる!!
そう思い、すぐに会社に電話をして「辞めます!!」と一方的に宣言し、会社を辞めることにした。
この金があれば……もしかしたら。
そう思い、彼女の所へ向かった。
「今日も来てくれたんですね。私は今日はもうお仕事終わったのでお買い求めはそちらに……」
「いえ、今日はあなたにお話したいことがありますので。」
「私にですか?」
彼女の仕事のスケジュールはすでに記憶済みで、いつ彼女が仕事が終わるのかもすでにわかっている。そして彼女の帰る道もだ。
なので、偶然彼女と帰り道ですれ違ってしまった風を装い、俺は彼女がいつも出入りしている裏口に向かっていた。
「俺と付き合ってください!!」
「えっ!?あの……その……」
「俺、宝くじで1億円当たったんだ。会社も辞めたから育児も手伝えるし、君を養える程のお金も持ってるよ。」
「ごめんなさい。まず、私はあなたの名前も知りませんし、そんな人と付き合いたくはありません。」
「名前?俺は前田 タロウです。あなたの名前は?」
俺は名乗ったのだから相手の名前も聞いても良いだろうと思い聞いてみる。
「私は……タマノ コシですけど……」
「コシさん?可愛らしい名前だね。これで名前もお互いしれたし、付き合ってください。」
「ごめんなさい!!わたしなんかとあなたは釣り合っていませんので」
そう言い放ち、彼女は走って帰ってしまった。
何がいけなかったんだろう……
そう思い、おれは肩を落とし帰宅した。
帰宅後鏡を見ると汗をかいた見にくげなだるまのような顔の男がそこにいた。
そうか!!これがいけなかったのか!!
そう思い、急いで家を出ていった。
体が重い……すこしひりひりする所がある。
「前田さん、これで手術は全部終了しました。確認してみますか?」
「はい!!」
意気揚々と顔に絡みついた包帯を取り除き鏡を見た。
そこには大きな目、高い鼻、整った顔立ち。また、顔だけではなく体のスタイルも抜群の男がいた。
「しかし、全身整形なんて凄いお金を持っていらっしゃいますね。社長か何かですか?」
「そこら辺はノーコメントでお願いします。」
「わかりました。では、今までお疲れ様です。全20回の整形手術は無事成功です。此方、領収書になります。」
そこには合計、約4億5000万もの費用が書かれていた。
あとは……高級な指輪や服などを買っておかないとな。
ここまで努力したんだ。きっとOKしてくれるはず!!
まだ1500万も残ってるし、色んなものを買うぞ!!
彼はクラクションが鳴り響く夜の交通道路の歩道をスキップしながら帰っていった。彼の背中は嬉々とした様子で駆け出していった。
まぁ、予想のできた展開ですよね。
僕もこういう文章書くのが下手だなぁ……と実感しました。
それでもちょっとぐらい楽しんでいただけたら嬉しいです。