第3章 いつも通りの日常。
[また来たんだね。前回の世界を見てから飽きちゃうんじゃないかと僕は心配になってたんだよ。後1年ぐらい君が来なかったら勝手に別の世界を見に行こうかと思ったけど、その心配は杞憂だったみたいだね。それじゃあ、次の世界は此処だよ!!]
いつものよくある日常、毎日朝早くに起きて、通学のために電車に乗り、学校で授業や友人と他愛のない会話をして帰って夕食を食べ眠る。ただ、それだけを繰り返していた。
今日もそんな平凡な日だった。
5時半 5時半に目覚ましが鳴る。私は起床し、乱雑に本やゴミが散らかった部屋から少しシワのある学生服に着替えるためにクローゼットへと手を伸ばし、着替える。
6時 着替えを終えリビングに行くといつも通りの朝食が出来ている。
「ノーちゃん、おはよう。」
「ノー、今日も朝早くにおはよう。3歳の時みたいに俺におはようのチューでもしてくれないか?」
「あなた、ノーちゃんだってもう年頃の女の子なんだからそれはセクハラよ。」
「えっと……お母さん、お父さん。おはよう。」
リビングでは、お父さんがすでに朝食を食べ終えたようで、いつも通りスーツに着替えている最中だ。
お母さんは、いつも通りに私の朝食を作り終え、今はお父さんの食器を洗っている。
何気ない、いつも通りの光景。
6時半 朝食を食べ終えた私はいつも通り家を出た。私の学校は中高一貫の学校で私ももう高校2年の終わりにさしかかろうとしていた。
5年近く通っていれば嫌でも登校ルートもいつ電車が来て何時頃に着くのかは覚えるのが嫌でも覚えてくる。
7時45分 登校完了。いつも通り教室に入り席に座った。
その直後座って動かなくなったことで今まで感じていなかった微かな揺れを感じた。
地震か何かだろうか?
周囲を見回しても誰も気づいていないようで、女子も男子もペチャクチャとお喋りをしているようだ。
だが、その時唐突に何か腕が引っ張られるような感触がした。
「プチッ」
5分後、いつも通り大きい声がした。
「ノマルン、おはよー!!」
「咲ちゃん、おはよう。」
彼女は渡辺 咲、赤く染められた髪の毛に、右目に青色、左目に薄緑色のコンタクトレンズを入れた、紺色を主色とした制服を綺麗に着こなしている可愛らしい少し幼顔をした女の子だ。
私の幼なじみであり、この学校へ一緒に入ろうと誘ってくれた友人だ。
「あれ?ノマルン元気ないね?何か嫌なことでもあったのかな?もしかして、この呼び方の事かな。」
そう言ってニヤニヤと私の顔を見つめてきた。このやり取りを何度繰り返したことだろうか……
「ノマルンは恥ずかしいから、普通に苗字で呼んでくれないかな?」
「えぇ……鈴木なんて世間にありふれてて苗字呼びなんて出来ないよ。それに、鈴木 普通私は可愛い名前だと思うけどなぁ……」
そう。明るく元気に何不自由なく生活させてくれている両親に1個だけ不満があった。
それが私の名前。鈴木普通。俗に言うキラキラネームだ。
両親は鈴木というありふれた苗字だからということで普通とかいて一般的なという意味を持った英語のノーマルから名前をつけたらしい のだけど、全くもって恥ずかしい。だから極力周りの人には苗字で読んでもらうように頼んでいるのだが、彼女は一向にこの呼び方を続けている。それも小学1年の頃の呼び方を今でもずっとだ。
「おっと、そろそろ授業が始まるよ。じゃあ、私は私のクラスに帰□ね。」
そういうと咲はそそくさと私のクラスから帰っていった。毎日毎日朝と帰りの時間には私のクラスに話に来てくれる。鬱陶しいと思うこともあるが、それでも彼女のポジティブ思考には何度か救われたこともある。
私の数少ない友人だ。
17時 いつも通り学校が終わった。家に帰ろうとした時に、また五月蝿い声が後ろから聞こえてきた。
「元気してるかいノマルン!!」
「まぁ、ぼちぼち元気にやってるよ。どっかの誰かさんよりはよっぽど疲れてるみたいだけどね。」
「おぉ!!それは良かった。ところで今日も私の帰りを待っていてくれるかい!?19時に部活が終わるんだけども。」
「そう言って今日も帰らせてくれないんでしょ。じゃあ、私は教室で待ってるから部活が終わったら教室に来てね。」
「あたぼうよ!!いつもありがとうね。」
「咲って時々よく分からないこと話すよね。じゃあ、部活頑張ってきてね。」
「じゃあ、行ってくる!!」
そう言うと咲は、その場で急いでユニフォームに着替えだし、グラウンドに駆け出して行った。
あれ?咲は美術部だったような?今日は外で題材でも探すのかな?
毎度の事ながら、忙しそうな奴だな。私はそう思って私は教室で自分の席に座って私は本を読み始めた。
17時 中々本を読むのが面白く止められない。特に、今読んで\|\\る。本。英語で書かれているこの文章はとても興味深い。とてもね。箱の中中に何かが浮かんでいる英語の本
41時63分 いつも通り席に座って本を読んでいると、突如本を読んでいるだけなのに、左半身を殴打されたかのような感触を味わった。
「グウェ///」
文字起こし出来ないような嗚咽をあげて直ぐに右半身にも欠かさず強い衝撃が走った。
「……///」
声すら出ない痛み、頭が引っ張られるようかと思ったら、何かが取り外されていくそんな気がした。
すると、自分が見ていた教室から突如黒いモヤのようなものが現れ景色が歪んでいく。そう表現すれば良いだろうか、名状しがたき謎の光景をただ、何も出来ずに見ていて意識を失った。
目が覚めると、そこには大量の液体と、ガラス片、そこに横たわって倒れている全裸の30代のおばさんの姿があった。
訂正しよう。おばさんの姿があった訳ではなく、左手を動かそうとするとプルプル手が震えて重く、なかなか持ち上げることも出来ない。
かといって右手や両足に力を入れても起き上がれない。それ程までに衰退した手足を持った人間のような何かの姿をしていた。
そして、正面には丸く、円柱状の筒のようになっているが、一部が割れてしまっていて、上には何本かのチューブが切断されてしまっている謎の装置と、その装置の足元部分には小さいながらもはっきりとした字で
< 鈴木 普通 >
と書いてあった。まさかと思い周囲を見渡すと、近くに、私が見たものと似た装置何個もあり、それが無限かのように奥に見えない通路に何台も何台も繋がれていた。
その、円柱状の装置の中には液体の中に入っていて、人の形であると判断できても、頭以外の手足や体の部分は衰退して棒のように細くなっていてまだ10代前半くらいの幼い顔立ちを残した幼女の姿があった。
恐る恐るその装置の足元を覗いてみると、そこには
< 渡辺 咲 >
と書かれていた。脳や手足にはチューブが繋がれていて目を瞑り幸せそうな顔をしている幼女、その顔を見て何処か悲しげな思いを浮かべ、誰かに対してではなく、自分に対しても憐れむかのような気持ちになった。
しばらくして、暗く、何処まで続いているかも分からない闇の奥から何か機械音が聞こえてきた。すると、突然上のスピーカーから機械的な例えるならVOCALOIDやゆっくりボイスに近い無機質な棒読みで声が聞こえてきた。
「地震ニヨル、異常発生異常発生、直チニ夢見室二向イマス。」
この放送が終わったあと、暗闇の奥からまるで人間の脳をもしたかのような頭脳にタコのような奇妙な八本の足を持ち、右脳、左脳の間に赤くまるで目のように見える機械が私の元にやってきた。
「tjobozo……」
悲鳴を叫ぼうと思っても上手く声が出ない。足に力を入れようとしても上手く立てずに転んでしまう。そんな私を見て、私の元にやってきた機械はこんなことを言って去っていった。
「45803番ノ、ケースノ、地震ニヨル破損ヲ確認、他ノ人間二支障ハ無シ。人口夢実現プログラム支障無シ。45803番ハ放置シテモ問題ハ無イ。」
そう言い残して姿が見えなくなった機械を見て私は思った。
今まで幸せそうに暮らしていた鈴木 普通は、元々この機械たちによって夢を見せられていただけの実在しない人物だったのか……
それとも、今ここにいる自分自体が実現しないでいて、鈴木 普通や、別の誰かが見ているだけの夢なのか……
もし仮にここが現実なのだとしたら、装置に囚われて幸せそうな顔をして半永久的に夢を見続けて終わる咲ちゃんは、本当に幸せなのか、それとも真実を知れて早めに死ぬ事が出来る私の方が幸せなのか。
そうして、私は、意識が、消えた。
急にアイデアが浮かんで描きました。今回はとある哲学者の「水槽の脳」という題材をモチーフにさせてもらいましたが、ちゃんとできているんですかね?伏線とか全く貼れないレベルの人なんで心配です。
後、2作分ぐらいは構想が頭に浮かんでいるので純粋な量だけでいえば書けるとは思いますが、モチベーションの方が心配です。
今回のテーマは近未来の世界なんですけど伝わっていたら嬉しいです。
中盤以降の誤字などは仕様なのでその辺ご理解をよろしくお願いします。




