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その他いろいろ

チートをゲットしたので現代日本で目についた奴ら全員殺して…いくっ!

作者: たかさば

ド、ズグワッシャーーーーン!!ぶちゅ!!!






「佐々木嵐さん、あなたは死亡しました!チートを差し上げましょう、転生してください!」


「うほぁ!!マジか!!なにくれんの!!!」




俺はどうやら死んでしまったらしい。今はやりの、チートをもらって転生ができるようだ。やったぜ、ろくな人生歩んでこなかった俺に、世界からの祝福がようやく…キタ――(゜∀゜)――!!




「自由に命を奪うことができるチートです。あなたが死ねと思ったら、思った相手が死にます。」


「マジで!!ちょーつええじゃん!!殺しまくろ!!!」




チートがあるなら、どんな世界でものし上がれるな!!


とりあえず悪者ぬっころパーティー、そのうちハーレムで夜通しパーティー、こりゃあ忙しいぞ!!




「で、俺はどの世界に転生すんの!!」


「現代日本です。あなたに転生します。」




・・・は?




「ちょ、何言ってんのかイミフなんだけど!!」


「あなたはあの瞬間死にました、その後転生して、またあなたとして生きて行くことになったという事です。まあ、つまりあの瞬間死んで、チートを得て、生き返るっていうのが一番…分かりやすいかな?」




・・・なんだ、つまり俺はこのクソみてえな世界から抜け出せねえってことか。




「チェ!!そんなの全然チートじゃないじゃん!!」


「何言ってるんです、使いようによっては現代日本の影の支配者にだってなれますよ、どうです、転生しませんか。」




金もねえし友人もいない、毎日クソみてえなバイトに顔出してクソ以下の生き物に媚び諂ってはした金を得て暮らす毎日。


・・・チートを得て、何を俺は得ることができる?




少なくとも、今までの腐りきった死体みてえな生活からは脱却できるはずだ。




「いいぜ!!転生するわ!!なに、チートの制限とかはあるの、禁止事項は?」


「何もないです、チートですから。まあ、寿命の限り、チートをお楽しみください、ええ。死ぬまでチートは使えますから。…死ぬまで生きてくださいね。」




かくして、俺は俺に転生することになった。




トラックにひかれたはずの俺は、傷ひとつなく現場に立っていた。


俺を引いたトラックが壁にぶつかってぐしゃぐしゃになっている。


運転席のおっさんが…うわあ。ミンチになってら、キモ!!!




救急車やら警察やらがわんさかやってきたけど、俺は部外者だな、逃げよう。




さっさと現場を後にした。




一人部屋でいろいろと模索する。




バイトはやめたいな、だが金がない。


金を得るために、チートをどう生かそうか。




金持ちの知り合いなど、いない。


いきなり殺して金を奪う?


チートがあったところで、犯罪者になってしまっては意味がない。




俺には対人スキルはないからな、金持ちと知り合うチャンスも得ることはできないだろう。




クソ、良い案が浮かばないな…。


イライラしながら、汚い部屋の中で…天井を見つめ続けた。




そのうち腹が減ってきたので、飯を買うためにコンビニに向かった。


握り飯とお茶を買うためにレジに並ぶ。…俺の前には、近所の私立に通う、小学生のガキ。




高級な200円越えのおにぎりを二つも買って、デザートにケーキまで買ってやがる。ガキのくせに高いもん食いやがって…親が金持ちだとなんの気苦労も無くていいよな!!!…死ねよリア充は!!!




「・・・ぐふっ。」




「え?!ぼ、ぼくっ?!だ、大丈夫、きゃああああああああ!!救急車、救急車ああああああ!!!」




目の前のレジ袋を受け取ったガキが、死んだ。




・・・しまった、チートって、こんなにも簡単に発動するのか。


俺は大騒ぎのコンビニから、そそくさと逃げ出した。




何の気なしに命を奪ってしまった俺は、意外と罪悪感がないことに驚いていた。




この調子なら、確かに現代日本を楽しめるかもしれない。




へんに遠慮していた俺は、チートの恩恵に与るために、いろいろと行動を開始した。




近所のATMで大金を下ろしているオヤジを見つけたらあとを追い、適当なところで殺して救急車を呼ぶ。


少し遠いATMで大金を下ろしているババアを見つけたらあとを追い、適当なところで殺して誰かを呼ぶ。


遠くのATMで大金を下ろしているにいちゃんを見つけたらあとを追い、適当なところで殺して蘇生を試みる。




案外人ってのはさ、倒れた人物の荷物と助ける人物の荷物って見分けがつかないのな。


面白いように金が貯まっていった。




「ちょっと、それあなたの荷物じゃないんじゃないですか。」




いつだったか、若い女性に目を付けられた。とっさにすぐ殺して難を逃れた。


やばくなったらすぐ殺せばいい。




身バレしないように、服装は一度着たらすぐに捨てて万全を期した。


身バレしないように、毎月きっちり髪の色を変えた。


身バレしないように、スマホを使って警察に連絡するのは別の誰かに押し付けた。




バイトをやめ、奇麗な場所に引っ越し、毎日何不自由なく暮らせるようになった。




働かなくてもいいから、ぼんやりとテレビを見て過ごすことが多くなった。




テレビで芸能人が喜んでいるのを見てうっとおしくなって殺して遊んだ。


チートはターゲットを直接見なくても発動することに気が付いた。




発展途上国の特集をやっていてウザくなった時、国ごと滅んで全員死ねよと思ったら隕石が落ちて地図が変わった。


チートの規模のでかさに驚いた。




殺人アリが発生したというので全滅しろと思ったら、研究所のものまですべて死んでしまったらしい。


チートの範囲の広さにビビり始めた。




うかつにものを考えることができなくなっていった。




ふとしたことでイラついて、すぐに死ねよと思ってしまう。




集団登校中のガキの声がうるさくて、まとめて殺した。


怪奇現象だと騒ぎ始めて、町がうるさくなったので、騒ぐ奴らをまとめて殺した。


自分一人だけが暮らすマンションに不信感を覚えた記者に目を付けられた。


来るやつ来るやつ全員殺した。




警察が来た。


来るやつ来るやつ全員殺した。




怪奇現象を取り上げるテレビ番組の出演者を全員殺した。




たくさん殺したはずだが、テレビ番組は続くものなんだと驚いた。


たくさん殺したはずだが、人の数は減っていかないものなんだと驚いた。


たくさん殺したはずだが、いつまでたってもいつまでたっても俺への追及が止まないことに驚いた。






もう、全員殺すしかないと思った。






人が一人もいなくなった町で、俺は自由気ままに食いものをあさって暮らしていたが。






いつの間にか心を病んでいた俺は。






死にたいな。






死ねよ、俺。








「困りますね、勝手に死んでもらっては。寿命の限り生きてくださいって言ったじゃないですか。」




俺は無事に死ねたようだ。目の前に、俺にチートをくれた神がいる。




「あなたの寿命はあと38年あったんです。それを…放り出した罪は、重いですよ…?」




「ああ、魂でも何でも、持ってってくれ…。」




俺は、もう…生きることに、希望を見出せない。


俺は、もう…生きたいとは、思わない。


俺は、もう…消えてしまいたい。




「こんな魂に価値があるわけないでしょう、あなたには…記憶を付与します。せいぜい、魂を磨いてくださいね…?」




俺の記憶が…消えて…い・・・く・・・・






僕は勉強が大好きだ。


お父さんとお母さんが頑張って働いてくれるから、行きたかった学校に行けるようになった。


毎日晩御飯がコンビニのおにぎりだけど、大丈夫!


日曜日だけは、お母さんの料理が食べられるから!


今日は週に一度のケーキを買っていい日!


ぼくはだいすきな・・・けーき・・・を・・・。




頭の中に、記憶が、よみがえる。


―――ガキのくせに高いもん食いやがって…親が金持ちだとなんの気苦労も無くていいよな!!!…死ねよリア充は!!!






働いても働いても給料が上がらない、しかも残業代は一円も出ない。


ブラック企業を相手に裁判を起こして半年。


ようやく未払い金が支払われたぞ。


新しい就職先も見つかった、これからは嫁とのんびりくらすんだ。




頭の中に、記憶が、よみがえる。


―――近所のATMで大金を下ろしているオヤジを見つけたらあとを追い、適当なところで殺して救急車を呼ぶ。






まさかあんな元気な息子が大病するなんて。


でも、このへそくりがあれば新薬が買えるから!!!


早くこのお金をもって大学病院に行かなきゃ!




頭の中に、記憶が、よみがえる。


―――少し遠いATMで大金を下ろしているババアを見つけたらあとを追い、適当なところで殺して誰かを呼ぶ。




身代金?!


おろせるだけ全部出せ。


彼女には、手を…出すな!




頭の中に、記憶が、よみがえる。


―――遠くのATMで大金を下ろしているにいちゃんを見つけたらあとを追い、適当なところで殺して蘇生を試みる。




普通に生きて、死ぬ二分前に・・・チート無双していた時の記憶が、よみがえる。


俺が、自分を、殺した時の記憶が・・・ありありと、蘇るのだ。




苦労して生きてきた人生が、いきなり俺によって摘み取られる。


誰かを生かすために下ろした自分の財産が、俺によってかすめ取られて、一銭も生かしたい人に渡らない。


自分が生かしたいと思った誰かは、俺が金を奪ってしまったことで…おそらく、生きることが、困難になった、はず。




一生懸命生きてきた自分の人生が、俺の愚かな行動で、一瞬でパアになっていく。




夢をつかんだばかりの若者も。


やる気に満ち溢れた大人も。


小さな幸せに喜ぶ芸能人も。


野望を抱く無能な存在も。


才能が認めてもらえない器の小さな奴も。


偉大な研究者も。


神の手と称される医者も。


1000人を超す弟子を持つ人間国宝も。


やっと歩けるようになった回復者も。


やっと生まれることができた赤ん坊も。


快楽に身を染める頭の悪い奴も。


正義感に燃える一途な奴も。


普通の人も。


貧しい人も。


虫も。






何度も何度も生まれ変わり、何度も何度も死ぬ間際に自分の罪を見せつけられる。


何度も何度も生まれ変わり、何度も何度も死ぬ間際に自分の罪を見せつけられる。


何度も何度も生まれ変わり、何度も何度も死ぬ間際に自分の罪を見せつけられる。


何度も何度も生まれ変わり、何度も何度も死ぬ間際に自分の罪を見せつけられる。


何度も何度も生まれ変わり、何度も何度も死ぬ間際に自分の罪を見せつけられる。




「どうです?あなたがチートを得て殺した数々の人生は。まあ、虫もいましたけど。」




恐ろしく長い間、俺は生まれ変わり続け…久しぶりに、神に対面、している。




「俺の、罪は…ようやく、償われた…のか?」




神が、笑って、いる。




「償う?そんなのは、人間が勝手に思い込んだ贖罪システムにすぎませんよ。何かをしたから許される…、実に都合の良い考え方ですね。」




神が、笑って、いる。




「自分のした事は、した事として堂々と誇ればいいんですよ。」




神が、笑っている。




「下手にくよくよしていては…食われて、しまいますよ?」




神が、口を開けて、俺を。




「悪魔に、ね。」




ひと飲みに…。




「ああ、凝縮された、うまい魂だ。ククク、この美味さ、たまらんなあ!!!」




俺を、味わい、尽くす…悪魔。


俺の中から、いろんなものが…抜けてゆく。




「さあて、輪廻の渦に、戻ってお行き。私にまた、極上を与えるために…ね。」






―――佐々木さん!生まれましたよ!!


―――ほんとですか!!男、女、どっち?!




―――元気な男の子です!!




―――よーし、でかした!この子には…嵐という名前を付けよう!!!






―――世界に嵐を巻き起こすような、でっかい人間になれよー!!!








―――ほぎゃー・・・。

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― 新着の感想 ―
[一言] 某死神のリュークを思い出したわ。 「デ〇ノートを使用した人間が簡単に地獄に行けると思うな」
[良い点] 最初の数行はどうなんだろうと思いながら読みました。 気が付けば文字列を追っていました。行を重ねるごとに、だんだんだんだん意味深くなっています。 すごく丁寧な伏線の回収ですし、なにより読みや…
2021/02/25 11:28 退会済み
管理
[一言] 有名な方の即死チートとは全く別物の即死チートですけど、あちらに通ずる怖さがあって面白い。
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