ドラセム家私有軍再編2
「なぁサラ、龍牙兵ってもっと貰えないかな?」
「もちろんできるけどどうするの?」
「領軍の訓練なんだけど、今までより対象人数が多すぎるから、疲れを知らない龍牙兵を教師役にするのが良いかなと思って。それに服や鎧を着させると人間みたいだから、人間に対する踏み込みの遠慮のなさ等も怪我の心配なくできるかなと」
「あら良いじゃない。じゃあCランク相当の歯からだけでなく、Bランク相当の牙から作ったのも少し混ぜておこうかしら」
「そうだな。自分より上の能力の相手と訓練するのは効果がありそうだ」
魔力の補填も必要であるが、それは近衛魔術師たちが手分けして行うことで解決できる。龍牙兵が消耗しても、ドラゴン狩りの訓練ついでで素材の牙や歯は入手可能であるので、問題ない。
兵種ごとの訓練による配属見直し等を行っている合間に、ハリーは近衛騎士たちの出身国ごとの軍隊訓練方法を確認する。そしてターフルダ侯爵家時代の領軍の練習方法も確認し、改めるところと継続するところを試行錯誤しながら検討、実行することにした。
アルテーラ王国の元海軍であった者たちのこともあるので、現状では陸軍ばかりであるが、そのうち海軍の整備も考えた方が良いのかもしれない。せっかく領土が海にも面しているので。
「あら良いわね。夢が広がるわね」
「よいお考えと思いますが、現状、コルマノン王国で海軍は国軍のみですので確認し許可を頂いた方が良いでしょう。事前に根回しを始めましょう」
「そうか、さすがローデット。お願い」
ハリーの案に対してサラはそのまま同意したが、ローデットが実行面の課題を考えてくれることになった。船自体の購入は経済的に問題がないが、船の整備をするためのドックや船大工たちの準備、さらにガレー船などにするならば漕ぎ手を奴隷で調達するのか等々、思い付きだけでは済まないことがある。




