ターフルダ侯爵騒動後始末
そこでサラは理解できないと質問をする。
「そうは仰いますが、悪魔教団が領民を生贄にしていたことは認識してされていますか?」
「ある程度は認識していました。大事の前の小事として、少しの犠牲を我慢してでも、この国が他国に蹂躙されるのを回避しないとそのような被害の数で済まないと思っていたのです」
「今、この国に勝てる国は無いと思いますよ。サラの魔法の力やその配下の我々が増加したコルマノン王国に」
残念ながらそれを認識できていなかったと言う。
ドラセム卿の力は、帝国の侵略1回目のときにはある程度強力な魔法使いであることは認識できたが、神国での辺境国との闘いの話などは直に見られていないので、伝記物語のようで逆に信じられず、コルマノン王国の中枢は何か悪い魔法で騙されているのではないかとも考えていたという。本当に魔法習得の秘密があっても、帝国の皇弟派への良い土産になる程度と思っていたと。
先日の、領内の魔の森をドラゴンで焼いたという証跡を見たときに少し違ったのかもと考えだしたところに、昨夜の大悪魔との戦闘を直に見てしまい、とても領軍全てで当たっても勝てないと実感したのだと。ドラゴンの話も伝記のように思っていたのに本物がブレスを吐いており、そのSランク魔物1体でも災害レベルで領地を守れる見込みがないと。
ターフルダ侯爵一派が正しいことをしていたと認める気にはなれないが、少しだけは理解した。
今回、帝国の皇弟派で密かに潜入していた帝国軍人は既に捕縛した男爵以下であり、王都で捕縛した以外では、イジドール子爵の屋敷での2人、スラム街の家屋など。また悪魔教団員も子爵の屋敷での2人、スラム街、そして洞窟に居た10人などで全てとのこと。
いずれも犯罪奴隷への処置は済んでおり、念のため王都に連れ帰り追加の情報収集をするという。
ある程度のことは理解できたので、サラはその奴隷たちや捕縛したターフルダ侯爵以下の貴族たちを連れて王都に≪転移≫することになった。領主代行になる人物を入れ替わりで連れてくるまでは目付貴族が仮に代行するらしい。




