ターフルダ侯爵領魔物討伐準備
小領であったヴィリアン侯爵領とは違い、権力者であるターフルダ侯爵領は広大なため魔の森の領域もそれなりの大きさになる。侯爵領は南東には海岸線も含まれるぐらい広大であり、魔の森南部に沿って東西に延びる主街道も、馬車で1週間ほどかかる幅になる。
そのちょうど真ん中あたり、主街道の南側に侯爵領の最北部の街がある。ここの冒険者ギルドであるだけの魔物討伐依頼をいくつもの冒険者パーティーとして受領する。最近は領軍による魔物の間引きが少ないので助かると感謝もされる。
ちなみに、代官地に残してその周辺の魔物討伐をする者が減ってしまうので、副都とも一部で呼ばれ始めている代官地周辺の魔の森の魔物討伐についても、ドラセム家が交通費負担によるイベントの案内をターフルダ侯爵領北部においてして貰う。この付近の冒険者ギルドでは
「危険も少なく、初級から中級の冒険者たちに良い訓練になるのでありがたいです」
と感謝される。ちなみに、ターフルダ侯爵領だけでは文句を言われかねないので、念のため王都付近の王領内でも案内を実施している。
そのドラセム家の従士団は現在、騎士団として近衛騎士隊がディディエ隊長を含めて7人、第1騎士隊がルーカイ隊長を含めて20人、第2騎士隊がミリアーノ隊長を含めて26人、第3騎士隊がジルベーレ隊長を含めて26人、代官地護衛隊がアルバジル隊長を含めて78人、魔術師団がティアーヌ団長やサラの冒険パーティーでもあるミーナ、アルベール、リリアナを除いて64人。
元暗殺者ギルドのトリストフ達は継続しての情報収集業務があり、代官地護衛隊は本業があるため交代しつつとみても、百数十人が動員可能な最大数と見込める。
魔術師団のうち数十人はアルメルス神国の西南部、魔物による辺境国の人型魔物を率いて神国へ攻め入っていたダークエルフたちである。
「もし不要な混乱を避けたければ不参加でも良いのよ」
と、サラも仲間はずれにするわけでない意図でダークエルフの村長に声をかけた。
「人類と不干渉を貫き過ぎても下手な迫害などにつながる懸念がありますし、今はドラセム家の家臣として対外的に見て貰っている庇護をアピールする必要もあるかと」
「じゃあ、無理をしないでね。他の騎士団員や魔術師団員とは別行動にしておこうか?」
「お気遣いはありがたいのですが、基本的には他者と混ぜてください。もしこれで上手くいくようならば、冒険者登録もして森内ではなく代官地で暮らすなど、もっと人目につくような行動をする者が出てきてもよいかと思っています。また、地力を上げないと廃れていくので良い成長の機会でもあると思います」
「分かったわ。ありがとうね」




