ガーライト王国海賊2
いよいよガーライト王国の北部でも、島々の領海に入ることになる。ここからは帆船による海賊まがいの海軍より、ガレー船の海賊が増えるという。
私掠が許されるのは、ガーライト王国による許可証が無い、例えばアルメルス神国とレーベルク帝国との間の商船などのはずであるが、完全に沈没させられるなど証拠が残らなければ他国からの船でも厳しく罰せられることが無いという。
ガーライト王国にしてみると、自国内の流通に滞りが発生するので、許可証がある船への襲撃は厳しく取り締まりたいが、証拠が無いと難しいのと、他国への私掠は許可していることもあり悩ましい、でとどまっている模様である。
そして、恐れていたように小型ガレー船3隻が近づいてくる。矢の届く距離まで来る前に、風精霊ジョステルの力を使って、大声で警告を行う。
「こちらはガーライト王国による許可証がある商船です。無体な行為にはそれなりの対応を行います」
相手にすると、そのような行動ができる魔法使いが居る、もしくは魔道具があるということから、戦闘力もあると思ってくれたのか、それ以上近寄らず去って行った。
「流石はドラセム様。無駄な消耗をせずにすみました」
と感謝されたのも束の間、別のガレー船3隻、今度は中型1隻と小型2隻が近づいてくる。この3隻には、ジョステルによる大声での警告も効果が無く、矢が放たれてくる。さらには、≪火槍≫が中型船から飛んでくる。上級火魔法を使える者が居る自信から、襲撃を継続して来たのであろう。
サラたちは可能な限りの数の精霊たちを≪召喚≫してあり、矢に対しては≪風盾≫≪強風≫、≪火槍≫には≪氷壁≫で守りを固めた上で、逆に3隻には≪炎壁≫や≪爆炎≫など膨大な魔法攻撃を行う。
燃え上がる3隻が勢いのまま接近してくると、ガレー船でオールを漕いでいる奴隷たちの排せつと思われる臭いがしてくる。
「このままでは奴隷たちも死んでしまう?」
同じ奴隷であることからかの、ミーナの悲壮な声を聞いたサラたちは、水魔法の≪氷結≫や≪水生成≫、水精霊シルビーを使っての海水も利用しての消火活動に切り替えることにした。




