奴隷契約
魔法の知識として、契約魔法の延長でもある奴隷契約や従魔契約について興味があったサラは、アルベールとリリアナの不正な奴隷契約を解除する方法を再確認するためにも、ミケラルド商会の奴隷商のところに足を運ぶ。
奴隷契約についての調査であるので、奴隷ではない仲間としてハリーとリリーの3人で連れ立って行く。
「悪徳商人の不正な奴隷契約を解除したいのです。また、自身でも奴隷契約を習得できるならしたいです」
「奴隷契約は悪用防止の仕組みが整備されているので、ご自身の習得は難しいですよ」
「どういうことですか?」
「何でも命令できて拒否できない奴隷契約、悪用されたら大変なことになりますよね。そのため、奴隷商自身が悪用しない命令を受けた奴隷になるのです」
「へぇ、そうだったんだ。その主は国王?」
「いえ、国王や貴族も人間ですから悪用することがあり得ます。例えば、絶対に命令を聞く兵士たちの軍隊、国民などを作るなど。その国王や貴族が悪用しないための命令を受けた奴隷になるわけもあり得ないので、奴隷商同士の相互監視という仕組みにしているのです」
「つまり、奴隷契約を扱える奴隷商になるには、別の奴隷商の奴隷になって、悪用防止を命令される必要があるということですね」
「その通りです」
「でも、この前の悪徳商人のような事例があるのはどういうことだ?」
「奴隷契約の主が死んで命令が無効になったタイミングを悪用、最悪の場合はそのためにその主であった奴隷商を殺害したタイミング?」
「ドラセム様の推測が正しいかと。残念ながらそのような抜け道がありえます。ドラセム様たちですのでお話したことですので、どうかご内密に」
サラ自身が奴隷契約を習得することは諦めることにするが、アルベール、リリアナの不正な奴隷契約の解除は継続して挑戦しつつ、どうしても解除できない場合は、主の変更はできるので、双子が互いに主にすることも候補に入れることにする。
サラが習得したらこれからの奴隷追加も楽と思われていたが諦めるため、専属奴隷商を雇用するか、ミケラルド商会の奴隷商ともっと親密になるか悩ましい。前者の場合、よそに主がいる奴隷を身内に入れることになるので避けたいので、今まで通り後者のまま、アルベールたちの解除方法を継続調査して貰うしかないと結論付ける。




