アルテーラ王太子選考
タカマーノ邸に約束通りにやって来たダニエーレ王子に、エルフ村で入手した魔弓を渡して、急ぎ第1王子に渡すように言う。
ダニエーレ王子とタカマーノは言葉もなく驚いたまま、声もなく頭を下げて慌てて王城に向かって行った。
エルフ村への第1王子の連絡が無かったことが気になったこともあり、海軍閥の幹部のところへの調査をトリストフに依頼していたところ、王太子選考の日の夜に情報入手できたと報告がきた。
第1王子の使者を秘密裏に始末したはずなのにエルフの魔弓を入手して来たのは何故だ、と騒いでいたらしい。
どこまで第2王子自身が把握しているのかわからないが、海賊騒ぎのことも踏まえるとアルテーラ王国の海軍閥には仕置きが必要、と頷き合うサラたちであった。
翌々日、タカマーノ邸でダニエーレ王子と再び面会することになった。
「まず昨日の結果を伝えよう。再度選考することになった」
「ガレー船がもたらす王国へ貢献も大変素晴らしいが、エルフ村の魔弓、ドワーフ村のミスリル短剣も素晴らしい。これらはお金だけで解決できない協力があって初めて手に入るものであり、王国の平和への礎につながる物と考える。拙速に王太子を選考することはやめ、継続的な王国への貢献をみて判断することにする、というのが国王のお言葉であった」
「この度のこと、礼を言う。本当に助かった。長兄からもエルフの魔弓の礼として、手伝ってくれた者に渡すようにと預かって来た」
と貨幣の入った布袋を差し出してきた。
「継続的な貢献となると、次は我も脱落するが、長兄が有利なのは間違いない。これで安心して気楽な第3王子に戻れる」
とおどけるのであった。
宿に戻り、水精霊シルビー経由で宰相に顛末を報告すると
「よくやった。第1王子への支援として、海軍の海賊騒ぎの証拠を預けるので、これを渡して第2王子の力を削いで貰いたい」
との返事が来た。さっそく家宰ローデットに預けられていたアルテーラ王国の海軍が海賊騒ぎの後ろにいた証拠を、転移して受け取ってくる。




