女性神官回復2
翌日、再度サラたちは代官たちと一緒に女性神官アッズーラとそのお付きの男性神官の話を聞く場が作られる。
「襲われたときにはアッズーラ様はお休みでしたので、夜警当番であった私から」
と男性神官が話し出す。
「この港町ラブリニーから最寄りのアルメルス神国の港町まで約1週間の船旅の予定でしたが、その2日目の夜に襲われました。私たちの船は帆船であり、入り江などで細かい操作をするための限られた数のオールしか装備していません。それに対して敵船は、帆もありましたが多くのオールが付いているガレー船でした。その多数のオールによる勢いでぶつかって来たのでしょう。衝角が我々の船に突き刺さった衝撃があった後、たくさんの敵兵が乗り込んで来たのです。装備はマチマチでまさに海賊と思われました」
「兵士は居なかったのですか?」
「使節団以外では、船を運行する船員と護衛の兵士もおりましたが、海賊被害も報告されていない海域でしたので油断しておりました。そのため兵士も最低限でした」
「他の使節団や乗員はどうだったのですか?」
「昨日もお話しましたが、衝撃で起きてこられた使節団長ペネム・カプラーノの口調は敵兵を挑発し、かなり早期に殺されました。もう一人の副使も。船員も兵士も衝角で穴をあけられた船のこともあって浮足立っていたのもあり、それほど戦力になっていませんでした」
「お2人はどうして助かったのですか?」
「私たちは戦の神マース様の神官であり、神霊魔法だけでなく最低限の武器操作を学んでいたのと、アッズーラ様が天使シュリエル様のお力を借りて頂いたので、2人だけは救命艇に乗り込むことができました」
代官補佐官はまだ怪しんでいるが、いったん質問は終わりのため、代官が追加で聞く。
「どうして敵船がガーライト王国だと分かったのですか?名乗ったのですか?」
「いえ、名乗りは聞いていません。ガレー船であったことと、原則皆殺しで金目の物を奪うような行動でしたので。普通の海賊があの大きさのガレー船は無いかと」
「ふむ」
と質問が終わったところで、女性神官アッズーラが切り出す。
「お願いがあります」




