帰国報告
皆でそろった晩餐の中で、ハリーから、事情通のローデットとクリストンにワイバーンを飼育する土地付き建物の当てについて相談する。
「少なくとも王都の中には無理ですね。街中の敷地にワイバーンが離着陸すると騒動になります。いくら従魔の証があっても、王都上空を飛ぶのは禁止です。ロック鳥でも低空ですぐそばをという制限がありますよね。ワイバーンの大きさでハリー様の近くを歩かせたり低空飛行させたりするほどの広い道はほとんどありませんし、この屋敷の前の道でも無理です」
「王都の城壁内は無理なので、従魔屋のように外に敷地を持つのが良いのでしょうが、彼らのように商売で無く敷地を管理すること、自由にえさを取りに行かせるにも騒動になりえることを踏まえると、山や森に近いところでないと問題になりますね。となると、既に存在する屋敷を購入するという選択肢は無いですね。王都から日帰りできる範囲で、騒動になる隣家のない孤立した別荘のようなものは無いですから」
「うーん、どこかに土地を買って小屋でも建てるしかないのか」
「はい。ただ、王都から日帰りの範囲は王領で王家直轄地ですので、勝手にはできませんね」
「ヴァーヴ伯爵領にでも引っ越さないとダメなのかな・・・」
「明日に王城に行くときに誰かに相談しようか」
という結論になる。
食事の後も、屋敷内の祠それぞれにもお礼をしたり、カーラのところに溜まった呪いの魔道具の≪解呪≫をしながら、新しく増えた仲間たちへの魔道具の相談をしたり、ずっと留守番で職人作業をしたことで上級になったリリーの毛皮処理技術で、皆の革鎧の修繕を頼んだり、忙しい日になった。
翌朝は、ハリーとローデットを連れて約束の時間に登城すると、今回は謁見室ではなく、会議室に案内される。
何か秘密の話になるのかと緊張するサラ。ハリーとローデットも同席してよいとも言われ、今日は簡易的な面会になるので、と官僚に言われる。
しばらくすると、国王と宰相がそろって部屋に入ってくる。




