収納指輪
エミリーは、前回の戦争で≪収納≫の指輪が大活躍したことを認識しており、今回も用意してくれていた。
サラにはツインルーム10倍分の指輪の置き換えで20倍分の物を2つ、サラの持っていたツインルーム10倍分の2つはハリーに渡し、ハリーの持っていた5倍と3倍の2つはトリストフとカロルにそれぞれ渡す。
ミーナ、アルベール、リリアナ、ティアーヌにはツインルーム10倍分を1つずつ追加で渡す。ミーナの持っていた、ツインルームの広さの指輪は、ディディエに渡す。
これにより、前回は荷馬車60台分ほどの運送量であったが、今回90台分ほどの追加になり、150台分の運送量となった。
この運送量を活かし、自分たちが王都から運んできた物資の大部分と仕分け追加された物資をロワイヤンの街に向けて運搬することになった。
前回の帝国侵攻をしのぎ切ったロワイヤンの街の防御力に期待し、今回も帝国侵攻対抗の中心拠点とすることになっている。
もちろん国境はこのロワイヤンの街に近い街道付近だけではなく、サラの故郷の龍の爪先村やティアーヌ出身のエルフの村などのある辺境も、龍が棲むと言われている山を越えると帝国領となる。
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エミリーは、他の孤児出身たちと違い大人であるトリストフとカロルの2人には、ティアーヌと一緒に話をする。
「過去は詮索しません。今が大事です。どうか大人のお2人が皆を導くようお願いします」
とお願いするエミリーたちに対して
「恥ずかしい過去の人生を振り返り、今の平穏な幸せを守るために努力することを誓います」
というトリストフ達であった。




