停戦交渉
まず捕虜の件について交渉が終わり、本題である損害賠償請求に話が移る。
「帝国として、いくらの損害賠償をお支払いいただくおつもりなのかお聞かせいただきたい」
「先ほども申したように、卑怯なやり方で将兵を拿捕した王国に損害賠償をお支払いするつもりはないです。身代金だけで十分でしょう」
「卑怯とは具体的に何があったというのでしょうか?」
「帝国軍がまともにやって負けるはずが無いからである」
「話になりませんな。こちらからはロワイヤンの街の代官親子を呼びます」
「では、こちらも先ほど解放された司令官と副官を呼びましょう」
それぞれ証人として2人ずつ会談の場に呼び入れる。
「私たちが正規な外交交渉として訪れた帝国軍陣地において、交渉決裂した後、いきなり襲われました」
「私は悪魔教団メンバを含めた帝国軍が若い女性を生贄にしようとするのを食い止めようとして、殺されかけました」
という代官親子に対して、帝国側外交官のヘルネ伯爵が
「そのようなわけは無いであろう?王国の捏造であろう?」
と帝国の元司令官たちに話しかけるが
「交渉決裂後に兵士たちが襲撃をしたこと、悪魔教団が先導して略奪にいったことは事実です」
と副官であったトリアン子爵が答える。
「それは・・・」
と司令官であったベンタイン伯爵が言いかけるが、後ろめたく言葉を続けることができない。
ヘルネ伯爵は
「そんな真似をしたなら余計に帝国が負けるはずが無いではないか。やはり王国が何か卑怯なことをしたのではないのか?」
というが、
「交渉の使者たちを襲ったのですが、そちらにいるドラセム子爵の魔法で守られ、陣地が燃やされ、代官たちは逃げ延び、結果帝国軍は壊滅となりました・・・」
とトリアン子爵が辛そうに答える。




