伯爵領都サイユ2
翌朝、サラはヴァーヴ伯爵への挨拶にドレスを着て向かう。ハリーが馬車を借りてきて、リリーも屋敷にはついて来てくれたが伯爵への挨拶は1人だけで、となってしまった。
「陞爵のわざわざの報告、ご苦労。なかなか励んでいるようであるな。魔法の効率的な習得方法とは聞いたが、軍事機密とのこと。詳しくは聞かないことにする。今後も、引き続き魔術学校や冒険を頑張るので良い、貴族としての営みは最低限で良いからな」
と改めて魔術学校や冒険を中心で良い旨を指示される。習得方法も変に深堀して聞かれなくて助かった。
馬車を返した後は、水精霊シルビーの洞窟に皆でそろって行く。エミリーも一緒に行くと言われたが、馬も1頭余分に連れてきているので、5人で向かう。
最奥の祠は手入れがきちんとされているようであった。サラたちが居なくなった後は、エミリーがときどき来ているとのこと。
シルビーが召喚しなくても自ら出現して、この場所が初めてであるミーナに対して、友達を自宅に招待するような感じであった。
洞窟の後、広い草原でエミリーがサラに、魔法戦闘の指導をすると声をかける。
「魔法そのものはたくさん習得したようであるが、発動速度などはどこまで上達したのか、学校対抗戦に向けて確認しよう」
とのことである。唐突で驚くも、サラにはありがたい話である。
ミーナだけはエミリーの魔法をちゃんと見たことが無いため、師匠みたいなサラのさらなる師匠の業をみる良い機会と期待している。
エミリーは、戦闘会場の大きさもこのぐらいとマークをしながら
「学校対抗戦、昔と同じであれば、ポーションやスクロールは禁止であるが、魔道具は身に着けているものは許容であった。だから、今のままかかっておいで」
と言い、サラはいつものように魔剣ストラデルを右手に、≪睡眠≫短剣を左手に構える。
先手必勝とサラが≪氷壁≫を3面、エミリーにとっての後ろ以外を同時発動する。サラは対抗戦で相手を殺さないで勝つための漠然と考えていた戦術は、魔法の壁で囲ってしまい戦意を無くさせる、無くならなくても囲った中に対して殺傷力の低い≪衝撃波≫≪魔力矢≫で攻撃して勝ちにつなげる、というものであった。




