王都ワーズ
数週間の暇な馬車旅の後に、もうすぐ王都ワーズにつくと言われ外を見ると、王都の南部には広大な農耕地帯となっていた。自分たちが東方面から近づいているので、右手の北の方に魔の森が続いていて、その向こう側に丘が見えるのがダンジョンなのであろう。
城門では、さすがに伯爵家の馬車であり、軽い検査のみで通ることができたが、従魔のロック鳥への注意として、上空を飛ぶのは禁止のため、もし飛んだ時には有無を言わさずに撃墜されるとのことであった。ハリーは慌てて、ガンに馬車の屋根につかまっておくように指示する。
城内に入っても馬車はそのまま一般街、富裕街、貴族街と進み、伯爵家の邸宅に進む。4人は見たこともない豪勢な屋敷に戸惑うが、指示に従い応接室に座る。
恐らくハイオークキングの魔石と王冠と思われるきちんと包装された物も卓上に並べられている。
執事のような男性に、連れてきた騎士爵ゴーチャン・ルメジョンが手紙を2通渡すと片方を開封して中身を読みだした。
「かしこまりました。こちらの書状と品々は伯爵様のお名前で提出してまいります。お声がかかるまで来客棟でお泊まり下さい」
と、屋敷の中でも別棟の建物を案内される。3階建てで一番上がゴーチャンと従者、2階にサラたち4人がそれぞれ個室で案内される。1階に食堂などがある。さすがに伯爵家の来客棟であり、馬車止めや馬小屋の端には従魔の居場所もあり、ロック鳥ガンはそこが居場所になる。
誰からかは不明だがお呼びがかかるまでは泊って待機、と言われても暇を持て余して困るので、都の見学をしたいとお願いすると、この邸宅で働いている従士見習いに案内させると言われる。ここでも案内・護衛・見張りなのであろうが、知らない街なので素直にありがたくお願いすることにする。
従魔ガンも含めて4人は従士見習いに、冒険者ギルド、魔道具屋、武具屋、鍛冶屋などを案内して貰う。ギルド以外は当然に何軒もあるはずであるが、大通り等にある有名どころだけの案内になる。
サラの師匠エミリーの紹介のカーラの店舗については、迷惑になるかもしれないので、別の機会にすることにした。