貴族
加勢のお礼に続いて、セドリックは姿勢をあらためて
「冒険者である4人に、ダンジョン内でのフェルール様への同行の指名依頼をしたい」
という。
サラたち4人は顔を見合わせる。
この王国の貴族は、王族の親戚である公爵以外に、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士爵とあり、準男爵より下は準貴族、子爵・男爵は下級貴族、伯爵以上は上級貴族である。
全ての貴族が国王から叙爵されるのであるが、騎士爵なども含めた無数の貴族を直接国王が管理できないため、子爵以下は寄子として伯爵以上の寄親に実質的には属する二段構造になる。
領地を持たない年金だけ貰う法衣貴族の伯爵もいるし、領地を持つ騎士爵もいる。基本的に領地持ちだけが私設軍を編成でき戦争時には軍役がある。伯爵以上には寄子による騎士団も私設軍以外に存在する。
先の話では、セドリック自身が騎士爵で伯爵騎士団と言うことは、領地持ち伯爵の令嬢がフェルールであり、そのような上級貴族の令嬢に何かあったときにはただでは済まないことも分かるが、貴族の指名依頼を断ることも選択肢にないと理解しているため、顔を見合わせてしまったのである。
さらに、互いに目で通じてしまったが、特にジルベールと上手くやれる自信が無い。
物わかりの良いセドリックは
「ジルベールが迷惑をかけたことは謝る。私とランベールが責任を持って抑える」
とまで言うので、断ることもできず、次のダンジョン改変である満月までを期限に依頼受領することになった。
その上でセドリックは
「フェルール様と同じ年で魔法の能力が高いサラ殿に、フェルール様の魔法の指導もお願いしたい」
と、後から考えるとこれが本題だったのではないかと思われることを言われる。