宝箱
野営も、行き止まりになっている横道で、魔鼠と蝙蝠の骸骨を出すことなく4交代にした。サラ以外の2人は、カーヤが居るため魔法の練習は控えて武技の訓練だけにして就寝することにした。
翌日も初日と同様に進むなかで、サラの風魔法が違和感のある場所を見つけた。カーヤのピックで掘ると壁が崩れて小さな行き止まりが現れた。突き当りには宝箱が置いてある。
「宝箱だ!」
「前みたいに空箱かもしれないよ」
「ダンジョン改変後だから期待できるかも」
「罠にも気をつけようね」
と様々な話をしながらゆっくりと近づく。罠も怖いため、リリーの槍で宝箱の横から離れながら鍵を触るが、何も起こらない。ただ、前回と違って鍵はかかっているようである。
「私が見てみるね」
とカーヤが進み出る。母親の細工師の業も初級未満ではあるが少しは学んでおり、罠解除などの器用さは自信があるというので、任せてある。
結果、特に罠は無かったようであり、蓋を開ける。中身はツルハシであった。柄の木とツルのつなぎ目に小さな魔石と魔法陣があり魔道具のようであったが、サラの知見では何の魔法かは理解できなかった。
「何の効果か分からないから街に戻って鑑定して貰ってからね」
とカーヤに言って魔法の袋にしまう。
それからも引き続き地図を作成するように歩き回るなかで、ホブゴブリンやオークとも遭遇したり、他の冒険者の採掘現場や戦闘現場に出くわしたりするものの、特に大きな問題はなく、その日も夜を迎える。
13階に潜ってほぼ2日たったが、まだ地図は1割程度しか完成していない。やはり最短経路を目指す場合にはいかに地図が効果的であったかを実感する。
丁寧に地図作成していると宝箱を見つける可能性もあるが、時間がかかる。そこで未踏破方面を大雑把に進み、たくさん敵に遭遇することになった近くにボス部屋がありその近くに下層への階段もあると当たりをつけることにした。