解呪
5人の遺体は吸血の後に身元確認のための何かが無いかを探ると、魔法陣が書かれた小さなメダルを5人とも所持していることが分かった。その他は発動体の魔法の杖とお金や野営道具など一般的なものばかりであった。
残った遺体は焼却し、重い空気のまま村に帰るのであった。
村に着いたら直ぐに村長に報告し、メダルを1つ預けて何かわかれば連絡が欲しい旨と、村長から衛兵に対する報告書を作成して欲しい旨を依頼した。
皆はレオンの家に戻り、ローラの形見の衣類や革鎧を前に、結果の報告をして泣く。
しばらくして落ち着いたら、エミリーはサラが転記していた≪解呪≫の魔法陣を、砕いた魔石を混ぜたインクで描き、自身の血を垂らしながら、サラに対して≪解呪≫を何度か実施する。3度目に手ごたえを感じたがまだ残る火傷痕を見て、今度は魔法回復薬を飲ませると、火傷痕がきれいに消えた。おそらく≪呪詛≫と火魔法の複合だったのであろう。
サラは何も言えずにエミリーに抱き着いてポロポロと泣いた。
その日はもう遅い上に、色々とあった日であるので、就寝することにした。
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翌朝、レオンはサラに今後どうするのか、と問うた。
サラはじっくり考えたうえで、具体的なことは未定だが村には残らない、と答える。
エミリーからは
「12歳になれば2年間の魔術学校に行くのも候補にしたらいい。私もローラとそこで出会った。その後の選択肢が広がる。それまでの1~2年は冒険を続けるのも良いだろう」
とアドバイスを受ける。
それも良いだろう、と父兄の了承もあり、村を出ることにした。
レオン達にも教団のメダルを1つ預けておく。
ローラの残りの形見である衣類や革鎧は、サラの身体的な成長がまだ足りないため残していくことにした。