借家
ダンジョンから帰った3人は先輩たちと別れて宿に戻る。
過去に一番長い遠征であったこともあり疲労がたまっていたのであろう、一晩ずっと深い眠りについた。
朝、先輩たちの言葉を思い出す。
「俺たち、最近は宿ではなく3人で借家を借りていたんだ。荷物の扱いも楽だし、長期滞在ならば費用面も得だからな。お前たち、俺たちが出ていく後に入る気は無いか?」
という内容であった。
もうすぐ保護者達の約束の3ヶ月になり領都にいったん帰るのであるが、また各道具や素材を処分して再取得することも面倒であるし、魅力的な提案であった。その場で受諾し、宿に帰る前に一度立ち寄らせて貰っていた。
ヘルムたちは早々に実家に帰るとのことですぐにも引き払うと言っていた。借家の斡旋も冒険者ギルドとのことであり、魔導書の鑑定もあることから3人そろってギルドに向かう。
ヘルム達も魔剣の鑑定のためと、借家の引継ぎのために既にギルドに来ていた。鑑定結果は、呪いなどは無く、魔力を込めることでしばらく魔法の炎がでるという既に体験済みの内容だけであった。サラは後学のために魔法陣だけメモさせて貰っておく。
合流した6人は早速、窓口で借家の引継ぎ処理を行う。
サラはついでに魔術師委員会にて今回入手した魔導書を見て貰う。
魔術師委員会にて魔導書を見た先輩魔法使いは、
「これは珍しい。空間魔術のようだ。詳細は分からないが」
と驚いていた。
ハリーとリリーは、先の反省を踏まえて急ぎ銀の短剣をそれぞれ購入しておいた。
引継ぎの約束の日、借家に向かう。
先輩たちも既に荷物をまとめ終わっていて、午後の乗合馬車で出発するとのことであった。
「大変お世話になりました。またお会いしましょう」
とハリーたちはお礼を言って見送る。