リヴァイアサン騒動終結
リヴァイアサンはジラルドの声が聞こえていないわけではなかった。ただ、羽虫がうるさい程度の認識であり、それよりも足元の方が重要なのであった。
「母上、どうか彼女のことを見逃してやってください。母上・・・」
人間どもに捕まっていた我が子、その子が先ほど戦っていた人間の女に巻き付いて海上に浮かび、助命をしているのである。
「なぜ人間をかばう?」
「彼女は私を助け、治療をしてくれました。それに彼女のことを皆が救いに海へ飛び込んでいます。このまま死なすには惜しい人間なのでしょう」
「・・・そうかい。復讐はもう良いのかい?」
「私のために仲間が次々と倒れていくのももう結構です。不注意であった私も悪いのです。海の奥に帰りましょう」
「・・・分かったわよ」
近くまで来ていたハリーにサラを預けて、リヴァイアサンはその子供と一緒に海の中に消えていった。それに合わせて石壁に寄せて来ていた魔物達も引いていき姿が見えなくなって行った。
「おーい、ドン、ワン、助けてくれ。俺は飛べないんだから」
ハリー達を見つけたドラゴンがサラを柔らかく摘み、ワイバーンがハリーをしっかり摘んで海岸まで運ぶ。海に飛び込んだ他のティアーヌ達も状況を精霊経由で認識して海岸のサラの近くにまで集まってくる。天使マルカルロの回復魔法によりサラも意識を取り戻し、状況を把握する。
「サラ、今日は領都のベッドに寝に帰ろう。後のことは皆に任せて」
ハリーは近くにいた3人の王子達に目合図で了承をとり、ティアーヌに頼んでサラを抱えて領都に帰る。
何かを言いたそうなローデットには、後で、とハリーが合図をしてサラをベッドに運び眠りにつかせる。




