海龍リヴァイアサン2
サラ達は数だけは優位であるので、リヴァイアサンの攻撃を受けた者へ回復魔法でフォローすることで何とか戦線を維持している。特に天使マルカルロは攻撃に参加せず防衛と回復に専念させているため、戦線離脱するものはまだ発生していない。
しかし他人より多い魔力を持つサラの仲間達といえどもこれだけ上級の魔法を連発すると、いくら魔法収納に用意した魔力回復ポーションを連続摂取するとしても限りはある。
「サラ様、このままではジリ貧です!」
「大丈夫、最初からわかっていることよ。粘るだけ粘って、ポーションが無くなれば避難してね」
強力な魔法発動による轟音の中で声が届くわけはなく、風精霊ジョステルによる伝言で意思疎通をしている。
ドラゴンとワイバーンのブレスにも使用量の限界があり、牙や爪による近接攻撃に切り替えようとするも仲間達の魔法攻撃を浴びる可能性を踏まえると近づけない。
「サラ、ごめん、離脱する」
まずハリーがドラゴンとワイバーンを連れてリヴァイアサンの付近から離れる。残力による近接攻撃は、石壁の付近に残っている魔物相手に振る舞うことになった。
30分か1時間かもっと長いのか短いのか時間感覚も無くなり、氷と炎の衝突による水蒸気が立ち込めるなか、だんだんと魔力とポーション切れによる離脱者が増えていき、残るのはサラ、ティアーヌ、アルベール、リリアナだけになる。自然と各々が召喚していた悪魔や精霊の数も減り、水蒸気も減っていく。
「人間がここまで粘るとは思っていなかったぞ。だがそろそろ限界では無いのか?」
「まだやれるわよ!」
サラが王級光魔法≪透明化≫≪幻影≫でリヴァイアサンの後ろにまわって≪溶岩≫を大悪魔ファリクス、ストラデル、火精霊ヨルバと一緒に5つ同時発動させる。
「何だと!」
不意をつく神級魔法によりリヴァイアサンも流石にふらつくが、その勢いに任せたヒレの振り払いに対して、サラは避けることができない。マルカルロが気づいて発動した≪結界≫で致命傷は避けられたものの勢いは止まらず海中に叩き込まれる。
 




