Another World War I
列強諸国の覇権争いの過程で始まった第一次世界大戦。
ドイツ帝国は第二次産業革命に成功し超大国に名乗りを挙げていた。
英仏露相手に果敢に戦い、二正面作戦をものともせず、ロシア帝国を降伏させたが、米国が参戦したことによって敗れ去り、そのまま滅んだ。
後に残ったのは悲劇しかなかった。戦間期のハイパーインフレや社会不安はナチスを誕生させ、人類史上最大の第二次世界大戦を起こし、数千万人の命が絶たれたのである。
しかし、この世界では違った。
史実ではルシタニア号事件後再開された無制限潜水艦作戦をこの世界では中止。
アメリカは参戦の機会を失いモンロー主義を貫き通して大西洋を挟んで傍観。
そしてロシア内戦に独軍が介入し白軍が勝利。ロシア内戦でヒトラーは死んでいる。
そして、春期大攻勢が成功しパリが陥落。イタリアも敗退を続けそのまま仏伊両国では赤化革命が勃発、内戦が発生した。
残る英葡日とは白紙講和で同意し、第一次世界大戦は中央同盟国の勝利となったのだった。
敗戦こそしなかったものの、長い戦争で何も得られなかったイギリスにも赤化革命は飛び火した。
この世界の共産主義は「サンディカリズム」という種類に属する。日本語にすれば「労働組合主義」といったところである。英仏伊はサンディカリズムの布教とドイツへの報復、失地の回復を目標として「第三インターナショナル」を結成した。アメリカ、アルゼンチン、インド、ノルウェー、そしてロシアで活発化する共産主義国家は大抵この連合に属する。
一方、栄光を掴みかけているドイツ帝国は傀儡国を多数連れて「帝国協定」を樹立した。今や、植民地は世界各地にあり、中欧から東欧にかけて一大国家となったドイツ帝国の底力は計り知れない。
戦争に勝ったのにも関わらず、国内の民族対立が激化してしまった二重帝国は、オーストリア、ハンガリー、イリュリア、ボヘミア、ガリツィア=ロドメリアに分裂し、戦勝によって得た友好国であるイタリア共和国とともに「ドナウ=アドリア同盟」として緩く繋がることとなった。
また、戦勝により大きく領土を広げ、周りの国に恨まれたブルガリアは、反ブルガリア同盟「ベオグラード条約機構」の結成を許すこととなった。
そして、ドイツの支援により何とか生き延びたものの、国内が分裂してしまった大清帝国はこちらも軍閥と緩く繋がっている。
第一次世界大戦によって勝利した中央同盟側も、周囲の国から恨みを買い、敵が増えてしまった。
だが、唯一、弱体化していない国があった。
大日本帝国である。
第一次世界大戦は引き分けに終わったものの、彼らは大陸進出の夢を全く諦めておらず、シベリア出兵に成功したことで傀儡「トランスアムール」を建国するまでに成長した。さらに、汎アジアを掲げ「大東亜共栄圏」を樹立した。