サイコパスな昔話 ②
むかし、むかし、あるところに、おじいさんと、おばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川へ洗濯しに来ると、もの凄い激流になっていました。
ですが、おばあさんは、しり込みしませんでした。
「ふん、何だい?こんな激流、大したこと無いねぇ。見なよ、鍛え上げたこの身体。洗濯する分にはどうってことないさ。」
おばあさんが洗濯をする為に腕捲りをすると、そこから筋骨隆々の腕があらわになります。
そして、激流の中で、平然と洗濯を始めます。
「くぁーっ!!激流だから、汚れがよく落ちるねぇ!!」
しばらくすると、向こうの方から、桃が勢い良く流れて来ます。
それを見たおばあさんは、是が非でも我が物にしようとします。
「あれを持って帰れば、3日は食うに困らない!!」
そしておばあさんは、激流の中、勢い良く流れて来る桃を身体を張って、シッカと受け止めます!!
「いよぉし!!あとは、岸に運ぶだけさね!!」
しかし、桃には意志が有るかのように、おばあさんを振り払おうとします!!
ですが、おばあさんも負けません!!
「な!?なんだい!?この桃!!なめんじゃないよ!!なんとしても、お前を手にしてやるからね!!」
足腰に力を入れ、必死に踏ん張るおばあさん。ところが、徐々に桃の振り払う力に押され、遂に、足を滑らせてしまいます!!
「うぁっ!!しっしまったーー!!」
桃と一緒にどんどん激流に流されて行くおばあさん。懸命に体制を立て直そうとしますが、どうにもなりません。
そして、とうとう滝から落ちてしまったのです!!
「もはや、儂もこれまで……。すまん……、じいさんや……。先にいくぞい……。」
桃と一緒に、ゆっくりと滝を落ちて行くおばあさん。
……その時です!!
「ばあさんやーー!!」
なんと、しばかりに行っていたはずのおじいさんが滝の下にいるではありませんか!!
そして、おじいさんは、持っていた鎌をおばあさんに投げます!!
「その伝説の鎌で、桃を割るんじゃーー!!」
「……………あなた……………。」
突然、ドスのきいた声が空想から現実に引き戻す。
「何をやってるのかと思えば!!私の目を離した隙にまた変な昔話を聞かせて!!娘に変な事を吹き込まないでって言ってるでしょ!?」
妻に叱られた夫は納得がいかない様子でこう言った。
「面白いと思うんだけどなぁ?何でウケないんだろうなぁ?」
それを聞いた妻は、一言。
「あなたが思っているほど、周りは面白いとは思って無いからね……?」
ごめんなさい、
あぁ、ごめんなさい、
ごめんなさい。
この昔話の続きを読みたい方は、
『サイコパスな昔話 ② 完結篇』を投稿しておりますので、
そちらもよろしくお願いします。