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四月に入る前に□はなく・伝説が生まれた日

 フー

 吐き出した紫煙が空中で霧散していった。


 「ザッキー吸わないのに、喫煙所入ってよかったの。」

 「周りが吸ってるからね。もう慣れたし、親も吸ってるから。」

 「ああ親がドワーフだっけ。」

 「おじーちゃんもドワーフでタバコ吸ってるけど。ドワーフがみんな吸ってるわけじゃないでしょ。」


 などど冗談を言い合っていると突如、吹き出し煙とタバコの灰のみが風に乗り、頭上に出現した球体へ吸い込まれ、球体は消えていった。


 (何あれ欲しい)

 などと考えていると、ザッキーが再び話始めた。


 「他の知り合いいないね。ああ、高橋は来ないって。覚醒拒否申請したらしいよ」

 「いいよな親が天使って。生まれながらの当たりだよ」

 (無理に覚醒して、変な種族と混ざるよりいいって事かな)


 覚醒拒否は親が稀有な種族であり、子がその特性を色濃く受け継いでいれば覚醒をしなくてもいいのだ。

 その逆で親が短命の種族の場合子供もデメリットも受け継いでしまうため、その時のみ子供の時に特別に覚醒できる。だが問題として、自我が確立していないと記憶の混同やデメリットがデメリットをよび、知的生命として生活できなくなることもあるのだ。


「薫の親はエルフと人狼だっけ?いい種族の間に生まれたのに、覚醒する意味あるの?」

「あるだろ、人狼とエルフさらに、いい種族の特性を引ければ就職の選択も広くなるだろ」

「それ以上強くなったら、絶対ナンバーズに召集されちゃうよ」


(確かにこれ以上は、最前線に送られちゃうかもな)


 「もうそろ行くか。」

 薫の掛け声とともに会場に戻っていった。


 

「青のシートには男性の方が、赤いシートには女性の方が席をつめてお座りください。その他の方はすいませんが、席の関係上後ろからつめてお座りください。海水席また二階席の特別種族の方は各係り員の指示に従っていただきますようよろしくお願いします。間も無く始めたいと思います。」


アナウンスが流れ続々と二足歩行の個性的な人が席に座っていく。




 突然会場が暗くなり、ステージ上に閃光が走った。

 皆が目を瞑った瞬間ステージの上から、咆哮があがった。


 目を見開きステージ上を確認するとそこにスーツを着用した、ライオンの顔をした獣人が立っていた。


 「ようこそ、皆さん。覚醒会場へ。本日はお集まり頂きありがとうございます。これより覚醒式を始めたいと思います。司会は獣人のライオネルが務めます。今までにも何度も授業で習ったとは思いますがもう一度ご説明いたします。現在日本では二十歳を迎えた年の三月中旬に逮捕履歴や余程の事がない限り、国民は前世を覚醒させなくてはいけません。皆さんは二十歳を超え今までは様々な種族の子でありながら、成人をしていないと言う事で、種族欄の所が人間となっているはずです。ですが、覚醒した後は親の種族と自分の種族を相互に判断し種族が決まります。両親から受け継いだ種族と前世の種族が混ざることもあれば、前世の種族が色濃くでる事もありますので、そこは前世に祈ってください。」


 ライオネルの進行を耳を皆傾け聞いている。

 ふと上を見上げると、天井が無数の顔で埋め尽くされているではないか。

 まるで地獄の亡者が救いをもとめるように。



 「覚醒後にはランダムで進学先の大学が決まります。不安の方もいると思いますが、学費はこれまでと同様無償。全大学には寮がございます。また能力が高い学生には国から支援金が贈られます。また、この支援金には上限がありませんので互いに競いあってくださいね、、、、」


 薫は途中から説明を聞き流しながら、眠気と戦っていた。


 「では、今回はどなたか一名に皆さんの前で覚醒していただきましょう。えー、今回の覚醒式は『ヨーヨー』にて配信されていますが、誰か勇気のある方はいますでしょうか?」

  

 会場はざわめき始めた。

 薫は突然の大きな声に意識を叩き起こされた。

 

 覚醒式でこんな事していいのか?

 もしここで外れを引いたら、一生の笑い者。公開処刑じゃないか。

 (大丈夫かこれ)


『はい、俺がやる。』

 っと言う声が会場に響いた。最前列の金髪派手な服装のイケメンが立ち上がり、当てられてもいないのに、鋼のギラついた尻尾を揺らしステージの上に駆け上がっていった。

 そして司会のライオネルからマイクを奪い取り、 拳を突き出し


「俺は、高木拓人タカギ タクトだ。親はドラゴンだ。そんな俺の前世は、当然勇者に決まっている。俺様は覚醒し、再び新たな伝説を作るのだ!」

 

 というと司会に早くしろと指示を出している。


 親がドラゴンなら絶対に覚醒しないほうがいいのにあいつは何を考えてんだ。

 ドラゴン以上の当たりなんて他にないだろうに。

 

 俺は隣に座る山崎に


 「なぁ、ザッキー。ドラゴンの子なのに覚醒する意味ある? 爆死したら笑えないぜ。」

 「親の方針とかじゃん。それか性格の問題とか。」


 俺は同意しながらステージに再び視線を向けた。


 「で、では準備が出来次第、高木さんを部屋に転送させて頂きますので一度舞台袖に行っていただきましょう。

 皆様にはこちらに設置されています巨大モニターで見ていただきます。」


 今まで何も映していなかったモニターに真っ白な部屋が映し出された。


 「部屋には画面にありますように、テーブルと、その上に置かれている覚醒薬エクスペリエンスのみがございます。出口の方はございませんがご安心ください。覚醒薬エクスペリエンスを飲み、覚醒変化または暴走が一段落したのち検査官が転移いたします。検査官がその時いくつか質問をいたします。その後能力テストを行いまして、異常がなけれ人にはよりますが半日で長くて一週間にはお帰りになれます。

 また稀に前世がなく今世が初めての誕生、ピュアの方もいますのでその方は覚醒薬エクスペリエンスをお飲みになっても変化はございませんので、薬をお飲み後大体30分後にお申し付けください。係の者がすぐに転移してきます。」


 ライオネル司会が話していると、モニター内にパンツ一枚の高木が転移されて来た。

 

 「高木さん聞こえますか?」


 とライオネルがモニターに話しかける。


 『もう飲んでいいのか?』

 「最後にこれだけ言わせていただきます。パンツが破れた場合はこちらでモザイクを掛けさせていただきますのでご安心を!また収縮自在のパンツも500円で販売されていますので!」


 それを聞いた高木はスタスタとテーブルの上のビーカーを持ち、自らテーブルの上に登りボディービルダーのようにポーズをとり股間を強調させ一気に覚醒薬エクスペリエンスを飲み込んだ。


 約十秒程飲んだ体勢から動かなかったイケメン高橋だが、突如ビーカーから手を離し、胸に手をあてた。

 膝をつき、顔を天井に向け口から泡を出し始めた。 

 

 ブチブチ、ジュゴブチ

 

 不快な音とともに高橋の尻尾が引きちぎれ、脇から体を引き裂くように一本の黒い棒状のものが左右から突き出し、少しずつ伸びて行く。

 痛みに耐いかねた高橋はテーブルの上から転げ落ちる。

 落ちた痛みに目もくれず、高橋は手を顔に当てると疼くまり、体を小刻みに撼わす。

 突如背中から茶色い羽が現れ、叫びをあげ、地面にのたうち回る。


 会場が高木の変化に息を呑んで見守る中。


 叫びを止め、高橋がゆっくりと顔を上げる。

 先ほどの顔の面影はなくなり。

 顔の三分の一に匹敵する目、口元と思わしきところに縞模様。


 画面を見つめていた誰かが言った。

 

 「ドラゴンから蝉になった。」


 モニターの先では呆然と立ち尽くす高橋、自らに生えたてきた黒い新しい手を見つめ、その手で顔に触れる。

 

 「ミーン、ミンミンミン、ミーン、ミンミンミン」

 

 っと絶叫しているのか、喜んでいるのかわからない声のようなものをあげていた。


 突然高橋がいる部屋に円形の鏡が出現した。


 高橋は恐る恐る鏡に近ずくと鏡に四本の手をかざし、鏡に触れた瞬間


「ミーン、ミンミンミン、ミーン、ミンミンミン」

 

 再び鳴き出しながら、茶色の羽を羽ばたかせ、限界まで伸ばされたパンツから、黄色の液体が部屋に飛び散った瞬間に映像は途切れた。


 映像を見ていたものは思った。

 『伝説が生まれた』と。


 しかし会場に笑っているものはいない、次は自分かもしれないのだから。





まだ、主人公を覚醒させなくてすいません。

これからも、頑張ります。

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