トイレしか考えられない。
【あれから六七年後】
「はい、菅原薫さんですね。覚醒案内表と本人確認が完了しました。ではこの先の扉の中へお入りください。そこからは転移球が置いてありますのでそれで開場に飛んでください」
(キタキタキタぜ。今日は念願の覚醒日かー。今日のテレビ占いの運勢はそこそこだった。覚醒ガチャの大当たり確率は大体二%か。確率としてはまあまあだな、だけど昆虫系統や生活に支障がでる種族は駄目だ。神様大当たりを引かして下さい。ため息が出そうだ。せめて魚人。魚人でお願いします。海底の沈没船のお宝を引き上げをしたり、楽できそうだな。海の中を案内したり)
年甲斐もなく駆け足したい気持ちを抑え、頭の中で小学生のような妄想をしつつ俺は扉をくぐり抜けた。先では台座の上の水晶を咥えた等身大ライオンの転移球が薫を迎えた。
うわー学校で習ったまんまだな。
スモークが床に充満していて良い雰囲気出してるよ。
転移球が岩に突き刺さた剣とかだったら良かったのに。
初めての転移は気分が悪くなるってあったな
などと考えながら、俺は緊張気味にライオンの前足に触れた。
なんだ腕から電撃が腕から流れるような感覚が、次第に視界が歪み初めてきた。足にも力が入らねえ。
やばい気持ち悪い。今にも吐きそうだ。
(もうトイレ、トイレ、トイレ。もう、トイレの事しか考えられねーよ。)
い、意識がもた、、、
「おい、君大丈夫かね」
「わぁああああ!」
目を開けると、そこに巨大な蟻の顔がすぐ近くにあったのだ。
しまったと思うと同時に俺は咄嗟に吐き気を確認した。
(吐き気は、大丈夫だな)
「驚いてすいません、ええなんとか、初めてのテレポートだったもので。あははは」
恥ずかし気持ちを愛想笑いで誤魔化し、辺りを見回そうとした。
「まあ良い、いやいきなり蟻の顔が飛び込んできたのだ。驚きもするだろう。もう、慣れているよ。ここは君が触っていた転移球の対の転移球がある部屋だ。落ち着いたら扉を出て会場に向かいなさい。」
そう言って蟻人間は、またかといった風に新しく飛んできた者の方へ向かうのであった。
周囲を見渡すと転移球を中心とし俺を含めた数人がいたる所で地べたに座っていた。
結構な人数の人がいるなー 俺一人じゃなくてよかった。
蟻人間の人には悪い事しちゃったな。
「おい、薫、薫」
突然後ろの方から声をかけられた。
振り向くと、そこには小柄で天パ、垂れた耳たぶさらには濃いヒゲが特徴で同じ学校の山崎隆盛通称『ザッキー』が同じように地べたに座っていた。
「あれ、ザッキーも倒れたの?」
「そうなんだよ。てか、殆どみんな転移してきてから倒れてるよ」
「俺はもう大丈夫だけどザッキーは?」
「俺も大丈夫だぜ。じゃ、行くか」
俺たちは、部屋を出て会場を目指した。
本当はもっと書いていたのですが、作者の技量不足により投稿は難航しております。
この話は後日改投稿されます。