プロローグ2
「みなさん、こんにちは。本日のゲストは超人気女優のエステルさんです。本日は何時もと趣向を変えてゲストの方と二人でやっていきます。さて、知っていらっしゃる方も多いとは思いますが、エステルさんは当時23歳のときに海外で一般の方が前世覚醒を受けられる様に成った瞬間ドラマの撮影をバックれて、海外で前世覚醒をしてきたという逸話の持ち主の異色の経歴の持ち主であります。」
四十後半の白髪混じりのアナウンサーは、まるで野球中継の様に少々早口で熱意とそして抑えきれない興奮を乗せてカメラに向かい熱弁していた。
「あの時は覚醒して、種族特性が色濃くでていてドラマ撮影どころではなくなりましたからね。」
と冗談混じり話すのは、赤い口紅、鼻は高く目はやや釣り目、日本人離れした顔立ち。そして誰もが目を引く真紅の髪が特徴なエステルと呼ばれた女性だ。
「エステルさん、早速ですが実際エステルさんは海外で覚醒、前世を呼び起こしていらしゃいますが、今現在国会で可決されそうな前世覚醒法案、20歳を迎えたら24歳までに前世覚醒しなくてはならない法案どの様にお考えでしょうか?」
「改めましてみなさん、こんにちは。そうですね。んー前世覚醒法案、巷では前世ガチャ法や覚醒ガチャなんて呼ばれ方をしていますが、概ね賛成派ですね。私が前世を呼び起こす15年前に比べて格段に、そして安全で覚醒できる様に成ったので良いんじゃないでしょうか。二十歳過ぎであれば個人のアイデンティティーが確立されているでしょうから今の人格には影響ないのではないでしょうか? 前世で数千年単位で生きていたら別でしょうが。私のように海外で覚醒する人もいますから、前世覚醒法案の方は通り、ガチャ規制はされないと思います。さらに『あなたの前世覚醒させます。』みたいな詐欺も無くなると思いますのでいいことずくめですね。でも、一番は私が覚醒ガチャの大当たりを引けたのも大きいですね。」
エステルは答え用意しているかの如く答えた。
「そうですか。おっしゃられたガチャ、前世覚醒により我々は人類は革命的とも言える程、飛躍的に文明が進歩しました。覚醒者から齎された魔法・気。そして最たるものはやはり今現在の我々では想像もしえないほどテクノロジーが進んだ世界の技術でしょう。多くの技術は進み過ぎたためにいまでは作れないオーバーテクノロジーとも言われていますがね。私の1番の関心は肉体が若返る可能性があるということです。」
アナウンサーは続けて、
「現在までの日本では軍に所属している人と高額の寄付金をしている人だけが覚醒できましたから。海外では無差別に覚醒して戦争を仕掛けている国もありますからね。」
「そうですねー。日本では他人事のようですが海外では自国の利益や国力のため子供でも覚醒させますからね。大当たりがでれば、その他大勢が犠牲になってもいいという考えのもとやっていますからね。しかし、日本では戦争やテクノロジーという考えよりも、多くの人がアニメや小説などによく登場した魔法や気が、実際に自分も使えるかも知れないという希望がこの法案を後押ししているのかも知れませんね。進み過ぎた科学力は今で現在では再現不可能で、そこまで技術進歩があったわけではありませんが。私も魔法が使いたくてガチャってきましたから。」
エステルは前半は真面目に答えていたが、後半は夢見る乙女のような雰囲気を帯びていた。
「先程も少し話題にでましたが、一番の驚きはやはり体の変化したことでしょうか。嘗ては黒髪でしたからね。」
エステルは自らの赤い髪を撫でてどこか懐かしそうに語った。
「そうですね。魔法には夢がありますからね。そしてよく話題に上がる容姿の変化、エステルさんは覚醒前は黒髪でしたね。
海外でも高齢の資産の方が覚醒した時。顔がバッタの様になり体も緑に変色してしまいましたからね。足が像のように太く、声帯が変化したから声が出せなく成って、最終的には青色の涙流しながらピョンピョン跳ねていたのが動画で上がっていましたからね。あれを見てしまうとどうも腰が引けてしまいますね。」
アナウンサーはそう言うと不安げに笑った。
エステルは場の雰囲気を変えるため、
「覚醒者が増えてから流行りも変化しましたから。ひと昔前までは本屋やネット書籍では転生ものが流行っていましたが今は前世を題材としたものが多くなってきていますね。」
「そうですね。前世ものを題材としたものは多く出版される様になってきましたが、この番組でも何度か取り上げましたが、やはり一番大きいのは覚醒者たちが書くノンフィクションの作品のヒットが大きいのではないでしょうか?実体験の作品にはやはり力が篭っていますから。アメリカでは今嘗て勇者だっだ覚醒者さんが書いた本が話題になりましたし、イギリスでは嘗て宇宙艦隊の提督っだた覚醒者が書いているSF小説が大人気ですからね。私も自費で買っており、次巻が待ち遠しく思います。」
「世論を動かした一つの要因とと言えますね。」
哀愁を漂わせながら、
「私も早くガチャりたいで、、んん゛失礼しました。私も覚醒したいと思っています。この衰えた体がもう一度自由に動ける様になるならと。ですがそれと同時にデメリットも多くありますね。魚人に覚醒した人が、陸で生活できなくなったり。岩石のような皮膚を持つ女性もいましたね。岩のようになり体の重さが仇となり、地面を陥没させてしまうためあまり動かないように生活しているようですね。」
「多くの問題を抱えていても、それを超えるリターンが得られる。何らかの能力が手に入るという欲求には抗えないのでしょう。人の欲は自分の体重より重かったのかもしれません。」
エステルが話し終えたとき、一枚の紙が急遽アナウンサーに手渡された。
「た、只今速報が入りました。本日午後二時から続いていました国会本会議にて、前世覚醒法案が可決されました。繰り返します。本日、、、」
次話にて本編スタートします。
作品に登場した人物の名前の変更がされることがあります。
誤字脱字の訂正は随時していきます。
お手柔らかにお願いします。