襲撃は突然に
ハクとカーゴは皆の所に戻った。
戻るとイアとエリゼ姫がいる焚火の前に座る。
しばらく沈黙が続く。
ふとイアが口にする。
「姫さんよ、すこし聞いていいか?」
イアが質問する。
「はい」
「あたしは、お前らみたいな身分高い奴が嫌いなんだ」
「おい! イア」
黙っては、いられなかった。
「あんた、なんでこのことを話したんだ? もしかしたら私たちがあんたの事を殺すかもしれないぞ」
「えぇ、そうかもね」
エリゼ姫は、立つ。
「でもね、私は、元々今年中には、発表するつもりだったの。国民にね。だから今話しても変わらないわ」
「そうかい。なるほど、ハクが、良いやつと言うだけあるわけか」
「まぁ! ハクさんが」
「あぁベタぼれだっだぜ」
「やめろ、イア」
急に照れ臭くなり、表情を抑える。
なに言いやがるんだ。
その時カーゴが帰ってきた。
「明日の昼に迎えと増援がくる。それまでここで待機だ」
「了解、隊長。あたしは、見回り行ってくるよ。何かあったらすぐに戻ってくる。」
「寝なくていいのか?」
「トラックの荷台で良く寝たよ」
イアが手を振り行ってしまった。
「俺は少し上に行く、なにかあったら連絡してくれ。姫さんも眠くなったら寝てくれ」
そう言って上に上がってしまった。
「なにかお話しましょうか?」
「そうですね」
ここからは、色々な話をした。貴族の話や軍の訓練などの話をしたのだ。そのうちエリゼ姫は、寝てしまい。エリゼ姫にブレザーを被せ、一人、火を見つめていた。そして気づけば日が上がっていた。
2階にいた全員が降りてくる。
「おっはようーハッちゃん」
「あぁおはよう。リン大丈夫か?」
「はい」
イアの目の周りは真っ赤になっていた。
「皆さんおはようございます」
エリゼ姫も起きる。
「あれイっちゃんは?」
「見回りに行ってるけど」
するとちょうどイアが帰ってくる。
「えぇみんな、速報がある。伏せろぉ!」
激しい銃弾が襲う。
「全員戦闘準備! ハク、姫様を。とりあえず全員ここを出るぞ! 行け行け行け!」
エリゼの所へ行く。
「エリゼ行くぞ」
「はい!」
イアが先に出て撃つ。次にカーゴもでてイアの援護射撃を始める。その次に俺が出る。見渡す約60人程度に囲まれている。
「走れ、走れ!」
俺はエリゼ姫と一緒に走る、物から物へ走る。
「クソが数が多すぎるぞ!」
イアが叫んだ。
「マール!」
「まかせてカッちゃん。」
マールは、袋からパイプ爆弾を取り出し敵に投げつける。
敵が吹っ飛んでいく。
「お前ら、敵を減らせ、俺は聖杯を取りに行く。ドロイ!」
「あぁ分かってる。あの黒髪のお嬢ちゃんだろ」
あいつら昨日の!
「こちらハク、昨日の堅いやつと、金髪のやつを発見した。どうするカーゴ」
「とにかく今は時間がほしい、できるかぎり、時間を稼
げ。マール、とにかく派手に、吹っ飛ばせ。イアは、こ
の場を混乱させて敵から武器と弾薬奪ってこい。ハクは、
現状維持。リンは、無理せず、はみ出した敵から撃って
いけ。俺は後ろにスナイパーを確認したから裏とって奪
ってくる。行くぞ」
「了解」
とにかく撃ちまくる、マガジンを交換しては、また撃って。マガジンを交換しては、また撃って。
やべ弾きれた。それにバレルもそろそろダメだな。
「イア! 銃と弾薬くれ!」
「ふざけんな! こちとら雑魚ども成仏させるために忙しいんだよ。んなもん、自分でやれ!」
「それはこっちのセリフだ。お前が弾薬とか奪う約だろうが!」
「なら一匹、迷える子羊をやるよ!」
イアは、こちらに敵の死体を蹴り飛ばす。
「ちょ、おま」
ギリギリの所でよける。
あの田舎ヤンキーが。それより早くこいつから装備を。
急いで装備をはぎ取り、撃つ。
「おい! ハク!」
「なんだ、イア!」
「少しこの場を頼んだぞ! あたしは、奴のケツをローストしてくる」
「わかった! 逆にローストされるなよ」
イアは黙って殺気だった目で敵を睨み突撃する。
「こちらハク。イアが固いやつと戦闘を開始」
「カーゴ了解。マール、イアの援護に向かえ。こちらは、挟撃に成功した。ハク! 俺が援護するから持ちこたえろ」
「わかった、カッちゃん」
「援護、期待してるぞ!」
「あぁまかせろ」
カーゴは期待通りに、援護をはじめる。
プシュン プシュン プシュン
次々に敵がワンショット、ワンキルで殺されていく。
これは、何とかなりそうか。
イア敵陣にて
「よう! よくも昨日はやってくれたな! おっさん!」
「良く生きておったな。たいしたもんだ!」
イアが突っ込む。
「おいおい無視は、さみしいね!」
ドロイは、昨日とは違う武装を取り出す。
「MG42機関銃!」
「フハハハハハ! ハチの巣になりな!」
イアは、走る、走る! そして民家の窓に飛び込みしゃがむ。
「くっそ! あんなのありかよ。なにがヒトラーの電動のこぎりだ。うわ!」
次々と弾が撃ち込まれる。しかし突然銃撃が止む。
「今だ!」
イアはこの時MG42の弱点を知っていた。MG42は、ずばぬけて連射速度早く、一分間に1500発撃てる。そのことから、ヒトラーの電動のこぎりと呼ばれていた。しかし連射速度が速いという事は、バレルが熱を持ちやすく、すぐに交換しなければならない。そしてその交換時間は、約五秒。そこにイアは掛けたのだ。
民家から飛び出し、散弾を打ち込む。
「しまっ」
しかし、それは罠だった。ドロイは、わかっていたのだ。イアがこのタイミングで出てくることを、そしてわざと撃つのは、やめたのだ。
こちらに銃口が向いている。しかしイアは諦めてなかった。
「なに?」
後ろからマールが近づいていたのだ。
「誰だ! こいつ!」
「それ!」
マールは火を付けた瓶を投げる。
「そんな火炎瓶痛くも痒くないわ!」
瓶がドロイにあたる、そして火が噴き出す。
「熱い! なんだこれは! き、消えないだと!」
マールが淡々と説明する。
「おじさんテルミット反応って知ってる? これはね、金属アルミニウム粉と金属酸化物を混ぜて火を付けるとね、化学反応で約三千度まで延焼するんだよ」
イアがショットガンをドロイの顔に銃口を向ける。
「まぁ要は、てめぇのケツはローストされ、ゲームオーバーってことよ」
イアはショットガンの引き金を引き、ドロイの顔が吹き飛び。そして爆発した。