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小さな希望の戦士達  作者: まるけん
エリゼ姫護衛任務編
15/19

違う種類

午後7時、城内。

 調印式も無事終わり、その関係者も集まり、さらにパーティーは、盛り上がりを見せる。

「ハク何か聞こえるか?」

目を閉じ耳を澄ませるが、音楽隊のせいで何も聞こえない。

「バイオリンぐらいしか、聞こえん」

 イアは鼻を抑えている。

「おぉぉお」

「イア何かあったか?」

「香水がやばい」

 確かに普通の嗅覚でも普通に匂ってくる。

「イア、えーと……。我慢しろ」

「おおおぉぉ」

リンはまともや、踊っている。

「いち、にの、さんと」

 以外とノリノリだ。

 カーゴが尽かさず無線を入れる。

「リン、あまりはしゃぎすぎるなよ」

 こちらから、リンの顔がみるみる赤くなっていくのが、わかる。

「ハク、念のため二階の観覧廊下から看視を頼む」

「了解」

 右の扉に入って、レットカーペットがかかっている階段を上がり、廊下から下の会場を見渡す。

「ずいぶん場違いな所に来たな……」

 中央の踊り場では、貴族たちがダンスを踊り、その周りには、大きなテーブルが置いてあり、豪華な料理が並んでおり、その周りで食事と会話を楽しんだりしている。ワインやシャンパンを配るウェイター、新しい料理や空き皿を持つシェフが、絶えず厨房室から出入りをしている。そんな中に、見慣れた少女が食事をしている。

「あ、マール発見」

マールに無線を入れてみる。

「マール、上向いて」

 マールが上を向き目が合うと手を振る。マールは笑顔で手を振りかえしてくれる。

 舞台では、オーケストラが演奏している。入口には、護衛の兵隊と、受付係が仕事をしている。

 そっと目を閉じる。

貴族他愛のない会話。オーケストラによる無数の楽器による豪華な演奏。食器やワイングラス当たる音。厨房から聞こえてくる、シェフの指示声。

 肩に何か当たる感触がする。

「―――――!」

 瞬時に後ろを向き、胸ポケットに手を入れ、銃を手にしょうとする。

「すみません。驚かせましたか?」

 そこには、純白のドレスを着たエリゼ姫が立っていた。

「す、すいませんでした姫様!」

 慌てて頭を下げる。

 やってしまった。

心臓の鼓動が速くなり、変な汗をかく。

「大丈夫です、護衛さん。こちらこそ急に申し訳ありません。」

 姫は一礼する。

「あの少しお話しませんか?」

 なんとか危機を回避したと思ったが、話すとなると緊張する。なんせ相手はこの国のトップになるかもしれない存在だ。

「はい、大丈夫です。」

「あまり畏まらないでください。お名前と年齢を聞いてもいい?」

 畏まらないで、言われるがどうする?

「あ、はい。私の名前は、ハク・カイリです。17歳です」

 エリゼ姫は、手を口にあてる。

「やはり、私と同じ年齢でしたか」

 年は同じなのになぜか姫のほうが、大人っぽく見える。

「今日のパーティーはどうですか?」

 エリゼ姫は、俺の横に来て、下の会場を見渡す。

 同年だし、畏まるなと言われたんだ。いつもの感じで良いのだろうと思い、体の向き変え、下を見渡す。

「正直、あまりこうゆう場所に来たことがないから、よくわからない。だけどたまには、悪くないかな」

「そうですか。ならよかったです。ハクの仲間も皆同じ年なの?」

「あぁそうだ。一人遅生まれがいて、まだ16歳の子がいるけどな」

「それは、ぜひお友達なりたいです」

「そうか……」

……。

会場の音で話さなくても、特に気まずくなったりはしない。

 エリゼ姫は、口を開く。

「ハクは、なんで軍人になったのですが?」

 ハクは、淡々と過去の事を話した。

「苦労なさったのですね……」

 エリゼ姫はショックだったのか、下を向く。

 確かに姫から見れば、大変そうだったかもしれない。

「確かにそうかもしれない。それでも姫さんだって、苦労はしているだろう。社交辞令の挨拶に、大人たちのプレッシャー。今日だって笑顔を絶えず話していただろう」

 エリゼ姫は、少し驚く。

「この仕事おかげいろいろな人に出会えたわけですし、殺した相手を含めて……」

「やはり人を殺したことは、あるのですか?」

「それが俺らの仕事みたいなものですから」

 「そう、悲しいわね」

 すると羊らしき人物が下で慌ててるのが見える。

「私そろそろ行くね、またお話聞かせてね。ハク、あと姫じゃなくてエリゼ、エリゼ・バートリーだから!」

 手を振りながら、行ってしまった。

「何を話していたんだ?」

 カーゴから無線が入る。

「見てたら何かしてくれよ」

カーゴはこちらを見ると、少し笑顔になる。

「いや、お邪魔かなと」

イア無線から無線が入る。

「おぉ? ナンパか?」

 こいつ

「エリゼ姫の方がイアより性格は、良いとわかったよ」

「んなお前! うぉ臭」

 無線を無視する。

 貴族なんて、金持ちで人を見下しているという偏見があったが、将来、人の上に立つかもしれない人間は、俺たちよりどこか、陵駕していると思った。


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