初任務
A国上空 4時。
周りは雲に覆われ太陽がどこまで昇っているのわからない。ヘリコプターのエンジン音と揺れが、機内に充満する。
「ラペリング準備開始!」
カーゴから命令され各々準備する。
準備が終わるにつれ緊張が強くなる。
「ポイントに到着しました!」
カーゴとマールが同時に左右のドアを開ける。そこからロープが左右二本ずつ垂れ下がる。
「イア状況確認頼んだぞ!」
「任せろ隊長!」
イアはロープにカラナビを装着させ降下する。しばらくするとイアから無線機に連絡が入る。
「オッケー。大丈夫そうだ」
それを合図に指示を出す。
「ラペリング開始!」
一気に緊張が高まる。
カラナビをロープに付け、ラペリングを開始する。
うぉ! たけぇ!
心の中で叫びながら少しずつ降りていく。
地表に到着するとすぐにカラナビを取ると。ホバリングしているヘリコプター吸い込まれ、その場を離れていった。
八十九式のセーフティーを単連射に切り替える。
「全員集合」
カーゴの所へ集まる。
「作戦を確認するぞ。まず軍の空港に行き侵入。滑走路にこのビーコンをしかける。その後回収地点に行き。帰還する。これを二時間で終わらす。時間を合わせるぞ!」
全員腕時計をだし時間を合わせる。
「3・2・1」
「では出発だ」
道のりはかなり厳しくジャングルだ。そこら中からいろいろな鳴き声がする。
「あ、今お猿さん見えましたよ」
リンが目を光らせる。
「え! リっちゃんどこどこ?」
マールは、すごく楽しそうだ。
「うぇーこの虫気持ち悪いな」
イアは昆虫観察しながら進んでいる。
「もうちょっと緊張感もて、3人とも」
さすがにカーゴが注意する。
「でもカっちゃん、森だけしか見えなよ」
確かに三十分あるいて。
「イアなにか匂うか?」
「この辺の木とか、動物の匂いでわからんな」
「ハクはどうだ?」
目を閉じる。
虫の音に甲高い鳥の音が周りを囲んでいる。
「すまん、わからない」
イアが突然手を挙げ、止まれの合図を出す。
全員一斉に周りを警戒する。
「どうしたイア?」
「この先から少しオイルの匂いがする」
「全員警戒しながら進むぞ」
できるだけ足音を立てずに進む。
「森を抜けるぞ」
イアからの注意に緊張が走る。
森を抜けると、そこには、滑走路がありまわりは、フェンスに囲まれていた。
「ここが目標地点だ。間違えない。ここからわかれるぞ。俺は狙撃ポイントに移る。リンは俺のサポートに付いてきてくれ。マール、ビーコン持っているな?」
「もちろん」
マールはリュックサックから出して見せる。
「ハクとイアは、マールの援護を頼む見つかるなよ。状況開始!」
八十九式にしっかり弾が給弾されているか、排莢口を少し開き確認にし。目標へ向かう。
「リン、この辺にしよう」
「了解です。カーゴさん」
目を集中させ、味方と敵の位置を確認する。
入口は、二つありどこも警備兵が門の管理室に一人、見張り台に一人、門の前に一人立っている。
「こちらイア、入り口前まで来たが見張り台の敵が撃てない。そちらから見える?」
「あぁハッキリ見える。見張り台は俺がやろう。あと二人はそちらで頼む。合図はこっちに合わせてくれ」
「了解」
SV-98のバイボットを立て構える。
リンは隣で観測器を準備する。
「リン」
「はい。敵との距離500メートル。風は、左に3メートルです。気温25度です」
スコープをリンが教えてくれた情報と経験が積んだ感覚で調節する。
「5秒で撃つぞ、カウント頼む」
「イア、了解した。5・4・」
息を吐きできるだけ肺の空気を外へだす。そうする事により鼓動など少なくなり、狙いやすくなる。スコープ中に描かれている十字の交差する真ん中に標的の頭が重なる。
「3・2・っつ」
引き金を引く。反動が肩に圧し掛かり、思いくぐもった音がなる。息を吸い込む。
俺はすぐ撃てるように、ボルトを引く。引いたのと同時に空薬莢が飛び出し、石にあたり、カンと乾いた音が鳴る。ボルトを押し戻し、ジャキンと金属音が鳴り、次弾が装填される。
「ヒット、ヘットショット。敵無力化確認。残り2人も無力化確認しました」
リンの報告に安堵する。
「ナイスショット、カーゴ」
完璧な狙撃に、歓声を送る。
「よし、侵入するぞ。私が先行するから、マール、ハクの順番で」
「わかった」「了解」
門の前まで姿勢を低くして素早く移動する。門の管理室から中に侵入する。
3人で回りを見渡す。
「クリア」
耳を澄ませながら滑走路を目指す。
「この辺に仕掛けようか。カッちゃん良い?」
「あぁ問題ない」
「ハっちゃん、イっちゃん護衛お願い」
マールには、似合わない真剣なまなざしで設置作業を始める。
マールもこんな顔するんだな……。
「任せろ」
「了解」
30秒で設置を終わらせ、同じ通路で撤退する。
「よし合流して回収地点に向かうぞ」
作戦開始から1時間半とは思えない濃密な時間が流れる。
リンとカーゴと合流し、合流地点向かう。
「皆さん怪我等は、ありませんか?」
「大丈夫」「平気だよー」「問題なし」「なし」「皆と同じ」
合流地点に到着し、ヘリで回収された。
「皆よくやった」
カーゴが褒める
「なに言ってんの今回のMVPは、隊長だろ!」
イアが拍手をする。
「それにしてかっこよかったぜ、隊長!」
「カッちゃんは、すごいんだよ」
みな緊張が解けいつもの皆に戻る。リン一人を除いては……。