狼
……数分後
3階リビング
「ははは! 二人ともやればできるじゃないか!」
イアと俺は、リンの手当てを受けている。
何がやればできるだよ。
あの後俺たちは、暗闇の中、襲撃しようするが、あっさりボコボコにされた。
「大丈夫か、フフ、二人とも?」
カーゴが面白そうに聞いてくる。
「二人ともボコボコだねー」
マールは、容赦ないコメントを放つ。
「二人とも一生懸命やったんですから、少しは、労ってくださいよ」
リンは、手当てしながら注意をうながす。
「いやー久しぶりに楽しかった。私はこれにて帰らせてもらう。これなら問題なさそうだな!」
「ちょっと持て! 問題大ありだろ!」
イアが声を張り上げるが、手を振って帰ってしまった。
「まぁあの教官に褒められただけでもすごいぞ」
カーゴは、首を縦に振る。
「何がすごいんだ?」
イアが少々イラついた声で疑問を投げる。
「ヴェアヴォルフって知っているか?」
イアの表情が変わる。
「その反応からしてイアは、知っているみたいだな」
なんだ? 狼?
イアが口を開く。
「昔あった特殊部隊の名前だよ」
「イアの言う通りだ。それでなぜすごいかと言うとだな」
カーゴが説明を始める。
「世界平和維持統条約ができる前にナチスドイツと言う国で、あってな、そこの特殊部隊なんだが、主にゲリラ戦が得意な部隊でね。隣国の将校などの暗殺とかの実績があったらしい。まぁ昔の話だしその部隊もとっくに解体されたらしい。クレイク教官は、その部隊の戦い方を独学で学び、いまでは、ああやって教えているらしいが、昔は、一人で国を一つ滅ぼしたとか言う伝説が残っているよ」
「それは、違う」
イアが真向から否定する。
「今でも部隊は、残っている。ひっそりとどこかで……」
「イっちゃんそれは、どういう事?」
「前の実戦でな,私たちの部隊は敵の襲撃にあってな、全滅しかけた。私もその時さすがに死ぬと思ったんだけどよ。一瞬で敵が全滅して、敵戦車も吹っ飛んでよ。そしたら一人の男が急に表れて、『俺は一匹オオカミだ。すぐに立ち去れ』と言ってよ、なんどか助かった事があったんだよ」
どんな男だよ……。
「なるほど……。そんな事が……。まぁそれよりも今日は休もう! みな解散!」
みな自室に戻る。
「イア!」
「なんだ?」
「今日は足手まといですまなかった」
せっかく囮をさせたのにこんな結果になってしまって少し罪悪感があった。
「……お互い様だろそれ?でも私も悪かった……。じゃ」
イアは階段を走って行ってしまった。
少し仲が良くなったか?