出撃前の間食時間(スイートタイム)
※この作品はフィクションです。
作中に登場するものの大半は実在しない団体、人物です。
同様に事件や事故も全て架空のものです。
「失礼いたします!本日より配属された、竹上黒鵜です!」
緑っぽい灰色の服を身にまとい、勢いよく個室へと入る。
「待っていたよ。私は、九条船少尉だ。よろしく。では、君のやることを説明させてもらおう。そこに座りたまえ。」
待っているのは20代後半位の若い男だ。
「失礼します。」
試験に合格して今日は出撃前の説明だ。出撃はあと一週間後だ。できればあまり前線には行きたくないが、まあもう僕は人じゃないわけだし、でも流石に大切な戦力だし、少し派手なことができるかも。あわよくば上の地位に。
「まず、君は鳥の<animal human>で間違いないね?」
「はい。」
「OKじゃあ君には敵地の偵察として活躍してもらうから。よろしくね。」
うわぁ、前線&そこまで功績出しやすくねぇ・・・・・。まあ通りで夏帆みたいな水兵服じゃないわけだ。
「軍隊の所持は日本国憲法にて禁止されている。なのになぜこの軍は存在しているのか。ここまで来たきみならわかるよね?」
「はい。ここ、アメリカですもんね!」
そう、僕はわざわざアメリカまで来た。なぜか僕は自衛隊として戦うのではなく、米軍として戦うことになった。
夏帆いわく突然の変更らしいが、どこをどうしたらアメリカまで飛ばされるのか。おかげであの安定した世界とは永遠におさらばだ。
「その通り(That's right)!、これなら憲法に触れずに戦争できるってわけ。ちなみにこの隊の日本人は永住権ビザ、もしくはアメリカの国籍を持っているのさ!」
「ほかに何か質問はある?」
「じゃあ、僕の配属する隊には<animal human>はいますか?」
「そうだね、たしか女性が三人いたかな。」
よし、ハーレム確保。
「一応皆日本の人だけど、正直言って個性が強いっていゆうか・・・・・まあ気を付けてね。」
「じゃあ、君の実力を見させてもらうよ!演習場へLet's go!」
あんたも結構個性強いと思うけどな。
「では、よろしいですか?・・・・・では、今回の内容はあなたがどれほど優れているか見定めるものです。殺処分になったりしないのでご安心を。といっても、カメラに生物認識されずにこの道を通るだけですがね。」
22歳位の女性が示すのは50メートルほどの通路(ただし天井はない)。所々に岩などの障害物と、カメラが設置されている。
「カメラは常時撮影をし、音に反応してその方向を向きます。そこを潜り抜け、5分以内に奥においてある紙に書いてあることをこの電話機で伝達できたらA判定、見つかったりタイムオーバーしたらE判定です。」
「え⁉B~Dどこ行ったんですか?」
「カメラには数体の人形が設置されています。見つからなければ、その人形を取った時点でそのカメラは機能しなくなるのでそこを狙うのもいいでしょう。」
「申し遅れました。私、試験などで審査員を務める舞・J・カルディノと申します。試験は十分後ですので、本試験で使用する武器や装備などをこちらからお選びください。」
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「あの、流石にそれは・・・大丈夫なんですか?」
舞さんは眉をピクピクと動かしながら僕を見る。
「ええ。」
機関銃一丁!サバイバルナイフ一本!ロケラン一丁!極めつけは、この!なんかモ〇ハンとかでありそうなでけぇ剣だ!
「あの、ロケランとかぶっぱなしたら一発Eですからね。」
「ええ!何でですか⁉」
「当たり前でしょう。あなた偵察しに行くのに、何派手にぶちかまそうとしてるんですか。」
「ちぇっ!」
「じゃあ、始めますよ。」
結局銃とナイフひとつずつにさせられた。こんなの理不尽だ!好きに選んでいいって言ったのに。
「5,4,3,2,1,0!」
これでも偵察の心得くらいはある。小学のころはかくれんぼで<影のクロ>なんて呼ばれていたのだからな。
地上を歩くときは靴下だけ、足音を立てずに素早く走る。
「あの、完全に泥棒なんですが。」
うるさいなぁ、そんなのわざわざ無線で話しかけなくていいんですけど。
人形を見つけたら、このサイレンサー付きの銃で、「バスッ」と
岩陰に隠れた敵も、羽を操作してサクッと。やべぇ!俺マジで偵察向いてるかも!
「ポンポン」
「なんだよ、今試験中なんだからか叩くのとか止めてくれな・・・・・・。」
「対象を発見。排除します。」
後ろで僕の肩に手を置き見つめるマネキン、なんか排除とか言ってるんだけど。
「あ、ごめんなさい、戦闘人形のこと忘れてました。それ、周りのマネキン集めるんで早めに駆除したほうがいいですよ。」
「情報が遅すぎますよォォ!」
「くそ、致し方ない!」
銃弾二発を頭にくらわせる。そしてすぐさま羽で別の岩へ移動。
「その人形は撮影はしませんが、」
まあ、そこまで苦労するものじゃないか、集めるだけで
「対象を全力で戦闘不能にしようとするので気を付けてくださいね。」
その言葉とほぼ同時に前の岩が壊れ、三体の人形が顔を出す。
「対象を発見しました。迎撃へ移ります。」
「ああもうめんどくさい、やっぱロケラン位使わせてくれよ!」
「追尾型羽根、取りあえずで五十本発射!カメラ映らずになるべく多くの敵の気を引け!」
舞さんが行っていたように、僕は偵察役だ。殺すのが目的じゃない。だからそこらじゅうの岩に羽を突き刺して大きな音を出してカメラの方向を変える。
そしてできた道を、全速力で突っ切・・・・・なにか足に違和感が。
「捕まえたたたたたたたたたたたたたたたたた。」
さっき頭を打ちぬいた奴がさっきの三体を踏み台にして上空5mともあろう高さに飛んできた。
「人形は静かに部屋に飾られてろ!」
二回転ぐらいして下の人形達に投げつける。一体はそれを回避してこっちへ飛んでくる。
「しまった!」
「排除します。」
倒せたと思い油断してしまった。
「排除します。」
一瞬、顔のパーツのない人形が、ぐちゃぐちゃの顔にいびつな体の化け物に変わる。
「‼」
思いっきり拳をくらった。体がすくみ力を抜いたせいでロクに受け身も取らずに背後の壁に激突した。
何が起きたのか理解できない急な人形の豹変した。
ゴールまでは約20mだ。激突の音でカメラ人形が此方へ向かってきている。
上空はより見つかりやすいし、つっきるなんて論外。空と地上が駄目なら方法は一つだ。
僕の羽根は僕を中心に10m以内の範囲で自由に操作できる。といっても完璧ではないので単純な動き、もしくは追尾程度が限度だろう。
もちろんカメラを持っている人形を倒す方法もあるが人形たちは監視もしつつ常に見方を見張っている。
残り約2分の今その方法は非現実的だろう。
最大まで固くした羽根を密集させてドリルのようなものを作る。機械では不可能なスピードで超高速回転させて地中を突き進む。
「ボコッ」
「周りには、いないな・・・・。」
「文字は・・・・「終了」か。もしもし舞さん?文字は「終了」でいいんですか?」
確かに終わりだけど流石に雑過ぎないか?
「はい、正解です。お疲れさまでした。」
「じゃあこれでぼくはA判・・・」
「G判定ですね。」
「え?」
「え?」
唐突に出された言葉に「え?」と言葉が出るとなぜか同じ言葉が返ってきた。
「いや、だってあなた見つかっているのに倒さないなんて、これ以上の兵を送られてフルボッコですからね?こんなのEじゃ甘すぎます。ゴ〇ブリのGです。」
いやボロクソ過ぎるだろ!
「あの、そういえばこのロボットってどうやって動いてるんですか?とてもそんな機構は見当たらないし、動きもかなりなめらかで機敏ですよね。」
舞さんは首を傾げ、
「いえ、あれはロボットではありません。あれは人が作った人形で、その人が動かしています。」
「え?そんなことひとにできませんよ!仮にできたとして、誰が・・・」
「人じゃなくて悪いですね。」
急に背後で小さなか細い女の子の声が聞こえる。背後にいるのは。
「北国 紺です。よろしくお願いします。」
150㎝位の小柄な慎重に、銀髪のショートカット。小動物系の口にクリンとした大きな目が特徴的な女の子が僕の背後に立っている。
「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
彼女の自己紹介と僕の悲鳴はほぼ同時だった。どうやら彼女は驚かれるのには慣れているようで全く動じずに僕を見つめる。あまり見るので。
「そ、そんなに僕を見てどうしたの?」
「いえ、美味しそうな鳥さんだなと思いまして。」
「いや初対面の男いきなり食料としてみるの止めてくれない?」
「いえ、つい狐の本能が。」
唇から垂れる涎を拭いいまだに僕を見る。
「いやあなた一応人には分類されますからね。」
そこに舞さんが冷静にツッコむ。舞さんは紺の隣に立ちくるっと僕の方を向く。
「この方は北国 紺さんです。先ほど言った通り、この方は狐の<animal human>です。まだ13歳と子供ですが、あなたとは一応先輩にあたるので失礼のないように。」
舞さんが簡易的な説明をすると、紺は一歩前に出て、
「私の得意な事は妖術。隠密能力も高いんです。一応あなたと同じ部隊に所属しているので、よろしくお願いします。」
「ああ、じゃああの人形はその妖術(によく似たなにか)で動かしていると。」
「はい、とっても万能な妖術(笑)です。」
「じゃあ、これから、同じ部隊でよろしくな!先輩!」
少し顔を下げてもじもじした後、顔をあげ手を両手でつかむと。
「やっぱり我慢できません!」
と、大口を開けて僕の手にかみつく。
「ウギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼」
「なんだ、別に鳥さんの味はしないんですね。ッぺ!」
「当たり前だろ!俺は鳥だけどそれ以上に人間だぞ!」
がっかりした風にふてぶてしく唾を吐き出し、また僕を見る。
「でも・・・・・、私は、、とても影が薄くて、心臓に悪いって言って、喋り方も暗いのであまり友達のような扱いはしてもらえないんですよね。」
少し目線は下を向き、照れくさそうに話す。
「かみついたりしたのにこんなに明るく接してくれているのはあなただけですよ。あなたの名前、教えてくださりませんか?」
ニコッと笑ってぼくの名前を問う。
「竹上 黒鵜。改めて、よろしく。」
「はい。」
改めて握手をし直し、笑いあう。
「あ、あの、一ついいですか?」
また紺は照れくさそうにして僕から目をそらした。
「ん?どうした?」
「チャック・・・・空いてます。」
「あ・・・・・・。」
そして結局ハーレムの道に進んでいっている件。
そろそろ男の味方orライバルが必要だわな。