偽りの過去
「皆さん、おはようございます。6:40より朝食となりますので、7:00までに朝食を済ませてください。今日の朝食のメニューは・・・・」
施設内に放送が響き渡り、皆が一斉に活動を始めたのを感じさせる音がそこかしこで聞こえる。
「ああ・・・ねみぃ・・・・・。」
僕はあまり寝起きは悪いタイプだ。寝相も悪いので、毎朝爆発した頭の処理に困っている。
「まだ夏帆いるだろうし・・・・・、もう直接聞いてみるか。」
昨日結局何もわからなかったし、ニヤ男には悪いがもう直接聞いてみようと思う。あいつの部屋は知らないが、施設に住んでいるんだったら食堂にはいるはずだ。いつもは大体50分ぐらいに食堂に行くが、今日は朝一で食堂へ向かう。
食堂の開く5分前だが、もう10人位が並んでいる。この施設には一体何人の人が住んでいるのだろう。
「で、問題の夏帆は・・・・・・あ、いた・・・・ッ⁉」
そこにいたのは紅色に近い赤毛に、セーラー服を着て髪をツインテールに結んだ夏帆がいた。
「お前、高校言ってるのにおもいっきり髪染めてんじゃねえかよ。」
近付いていくと夏帆は「あ」とでも言いそうな顔でこちらを見る。
「何、今日は早いのね、何か用でもあるの?」
「いやだからなんで髪染めてんだよ。」
まったく、高校でもまったくチャラさを見せずに暗そうに孤独で生きてきた僕を見習ってほしいもんだ。
「いや、コレ地毛だし。」
「何言ってんだよ。前会ったとき焦げ茶色だったろ。でも今は赤いだろ。」
「・・・・・・。」
しばらく沈黙が続くが、5秒ほどたった時に夏帆は何かに気づいたようで、手を「ポンッ」と叩いて、
「まあ、立ち話もなんだし、食べながら話そっか。」
食堂が開き、朝食を持って席に着くと、
「確かにあなたと初めて会ったときは私の髪は茶色だった。でもこの赤髪は地毛よ。」
いやいやいや、言ってることが矛盾してるんだけど。
「あなた、羽出した後体になにか変化は?」
「まあ、背中に毛がもさっと生えるくらいで、」
「それは今も続いてる?」
「いや・・・・・ああ、そうゆうことか。」
「って、そうじゃねぇよ!お前なんで高校なんか行ってんだよ‼」
「高校?なによ・・・そんなのいってないわよ?」
この返答には流石に顔を歪ませる。
「いやいやいや、まずニヤ男がそう言ってたし、てゆうかお前セーラー服着てるじゃねえかよ。」
「ごめんね黒鵜くん、それ、セーラー服じゃなくて水兵服元だから仕方ないけど、よく見て。」
急にニヤニヤした男が来るんもんだからちょっとびっくりしたが、
「高校生だと言ったのはどこの二人かなぁ?」
「てゆうか水兵服って、余計なんでそんなもんを?」
「君には以前、軍事的な力になってもらうと言ったよね。」
「でも、<animal human>の力を使うほどのものなんて、あるんですか?」
「あるさ。」
即答、しかもさっきまでの笑顔が嘘のように消えた。
「これを見てくれ。」
ニヤ男はポケットから写真を一枚出した。
「歌川さん、こいつはまさか・・・・。」
「そうだ、この写真に写っている半魚人、これは<animal human>だよ。」
「前回の約束だ、色々なことについて話そう。」
そう言ってニヤ男は椅子に座り込む。
「15年前のことだ、10月の、晴れた日の事、その日、世界各地で奇妙な事件が起こった。その事件とゆうのは、10年前の君の事件と同じ、謎の生物、<animal human>と思われる生物による襲撃だった。被害者数約7000万人、被害額は170億円にも上る。場所は山の中、町の中、場所、時間を問わずに連続で起きていた。この日が、<animal human>が初めて発見された日だ。当時、世界中の警察と生物学者がこれらの事件の研究をした、そんなある日、一つの家で事件が起きたんだ。」
「待ってください、それだけの事件が起きながら、なぜ僕は一度もその事件について聞いたことがないのですか?」
「何を言っているんだい?君は聞いたことがあるはずだ、10年前、世界中で発生した集団によるテロ事件のことを。」
「<animal human>の存在については国家機密レベルの問題だ。それだけの隠蔽は仕方のない事、君のときだって、周りの人にも嘘を言ってごまかした、獣人とゆう存在自体、この世界に実在するとは思われていないからね、あまり信じないんだよ。」
「そうなんですか、有難うございます、続きを聞かせてください。」
「わかった、その事件とゆうのは、家の中に熊が出たとゆう事件だ。と言っても子熊だがね、しかも当時9歳の女の子がいなくなったとゆうのもあり、大騒ぎだった。熊は家の中にいた女性と庭にいた男性を殺害した。その後すぐに捕獲され、保健所に輸送する途中、熊がそこの子の子供とすり替わっていてね、まさかと思いDNAを調べると、案の定その子の親以外の血が混ざっていてね、議論の結果、女の子はとある施設の中で、<animal human>の研究材料として、そして一人の女の子として、そして、・・・・・・・・・・危険な生物達を倒す戦士として、保護されることになった。・・・・それが、夏帆さんだよ。」
「え?」
「その危険な生物達とゆうのは、お察しの通り、今夏帆さんが戦っている敵だよ。今では正規空母1隻、駆逐艦6隻、軽巡洋艦2隻の艦隊を編成し、日本を含めた3国で戦っている。総動員数約7000人、<animal human>70人を含んだ戦争中だ。」
「敵の数は約450人、いずれも<animal human>だよ。君にはこの戦いに参加してもらう、2週間後、君の実力試験が行われる。仮に君が実力不足とみなされた場合、これ以上は税金の無駄と判断され、君は殺処分される。悪いが、君にはもう、人権は存在しないのでね。」
そういうとニヤ男は足早にその場を去っていった。
「クロ、正直言って、さっきの言葉はあんたに死ぬか、もしくは死ぬかって聞いてるようなもの、あなたが努力をして死ぬつもりがあるなら、私はあなたに協力する。私は今日、戦況だけ聞いて帰ることになってる。次の出撃は1か月後、あなたが試験をクリアしたなら、私と一緒に出撃、クリアできなかったなら、あなたの殺処分の日よ。どっちを選ぶ?」
「・・・・・・もちろん、かっこよく死ねる、努力をしたほうを選ぶね。」
「そうこなくっちゃね!」
その次の日からは、とにかく夏帆と一対一の勝負をかけられた。
「クロ!あなたの取柄を存分に使わなきゃ意味がないよ!あなたの羽根は貴方の体の一部ってことを忘れちゃだめだよ!」
雨の日も、
「敵の動きを読みなさい!予備動作をしっかり見て、それを対処する!」
森の中でも、
「見えないところは音で感じて!視覚に頼ったら敵の奇襲にやられるよ!」
柱の上を飛び移りながらでも、
「対空時間を考えつつ敵にいかに有利な位置を取るかだよ!」
そして、
「今日の試験は夏帆さんとの戦闘、夏帆さんに一定のダメージを与えることが出来たらクリアだ。」
運命が、決まる。
艦隊って実際何人位乗れるんでしょうね。