破滅の始まり
打ちっぱなしの壁に小さな窓から夕焼けの光が差し込んでいる。
そして僕は両手足を器具で縛られ見覚えのある顔にニヤニヤしながら見つめられている。
これはいったいどうゆうプレイだ・・・・。
「やあ、久しぶりだね、竹上 黒鵜くん。」
「あの、その前にこの拘束具を取ってくれないですかね。」
まず第一ぼくは何もしていない。それどころかか弱い女の子を助けたんだぞ⁉それなのにこの仕打ちはなんなんだよ‼
「悪いがそれは出来ない、まだ僕の仲間たちが君を危険な生物とみなしているからね。」
「生物って、そんな僕が人間じゃないみたいな言い方はやめてください。」
まあ、背中から羽が生えている時点でもう僕は人間じゃないのだろうが。それでもまだ僕は誰も襲っていない。せめて動物愛護法くらい働いてもいいんじゃないだろうか。
「君も大体分かるだろうが、もう君は人間として分類されていない。今君は、ヒト科ヒト目ケモノビト、学名、<animal human>と、分類される。まあ要は人間の亜種的なところだな、すまないやっぱり人間だった。」
こいつ、ニコニコしながら人を人じゃないとか、やっぱり人だとかわけのわからん事を言いおって・・・。
男は急に真剣な顔に変わった。こいつ結構喜怒哀楽が激しそうだな。
「君は5年前、謎の生物が多くの町を襲った事件に巻き込まれた。君はその時の唯一の生き残りだ。いいね?」
「はい。」
て、ん?唯一の生き残り?いやいやいやいや、僕トイレにいただけだぞ⁉それぐらいだったらもっと生き残ってもいいはずだろ⁉
「そう、君は唯一の生き残りだ、しかし君は特別なバリケードに守られていたわけでも、強力な護衛がいたわけでもない、じゃあなぜ、君は殺されなかったのか、その理由がこれだ。」
男はポケットから折りたたまれた二枚の紙を出した。
「これは君が<animal human>である証拠だ。その証拠とは、ただ一つ、君と怪物には、とあるDNAが隠されていたんだ。」
「とゆうことは、なんだ・・・僕は・・・・元々人間じゃなかったと言いたいんですか?」
「気の毒だが、そうだ。君たちには、それぞれ人以外の何かの生物のDNAが混在していたんだ。」
いや待て、それはもう完全に人間じゃない、いやまあ人間じゃないって言ってるけどさ。
「しかし今までいたって目立った体への変化はなかった。その理由は、いまだに解明されていないんだ。あと、君がそうなった以上、これは絶対に言わなければいけいな。」
また男はニヤニヤしだした。これは僕にとって都合の悪いことを言う合図だろう。
「君は、安全と判断されるまでここに軟禁、そしてその間は、君にはその力をコントロールできるようになって、軍事的な力になってもらう。」
うん‼案の定だよコンチクショォォォォォォ‼
あれから1か月ほどたっただろうか。一応ちゃんと食事は出るし、生活は出来る環境はあるのだが、色々と変なことを毎日やることになっている。
僕のスケジュールはこうだ。
*******************************************************************************
6:30 起床
6:40 朝食
7:00 身体検査
10:45 学習
12:20 昼食
1:00 基礎運動
2:30 能力を使った運動
4:00 自由時間
6:30 夕食
7:00 学習
9:30 就寝
*******************************************************************************
なんだろう、考え直すとまるで修学旅行の日程だな・・・・。
てゆうか身体検査に毎日3時間近くって・・・・。
しかもなんだよ自由時間て、もうこれ高校の生活よりもいい。
運動はきついけどかなり優遇されている。なんとゆうかこう、これって軟禁と言えるのかって感じだわ。
僕はこの1か月でかなり成長した。
まず第一に、羽を出したりしまったりできるようになった。これは結構大きい、おかげで生活はかなり楽になった。
そして羽の固さを調節して、盾みたいにしたり30秒程飛べるようになった。
だがこの飛んでいるとき、並行して別の事をするのはめちゃくちゃ難しい。例えるなら、右手で文章を書きながら左手でプロ並みのピアノを弾くようなものだ。
でも、その代わりに剣術と銃の扱いは結構上手くなった。
それと、こいつらについて色々と考えてみたが、何かがおかしい。
まず1つ目、この場所は山の奥深く、職員以外の人は来ない。
2つ目、5年前、あのニヤニヤ男は警察官と紹介されたが、あいつは明らかに単なる研究所的なこの場所にずっといる、あいつがこの場所を出るところは基本的に見ない、警察署にも戻らないようなのだ。
「黒鵜くん、調子はどうだい?」
「悪くないですよ、待遇だけはいいんで、あと急に話しかけられるとびっくりするんで止めてもらえます?」
「いやぁごめんごめん。それよりも黒鵜君、久しぶりに外へ行かないかい?」
何を言っているんだこいつは・・・・。また羽が飛び出て大騒ぎになったらどうするんだよ。
「なぁに、外といっても、渋谷とかに行くわけじゃないんだ。」
「じゃあなんですか?ここみたいな山にでも行くんですか?」
「なんだ。当てられちゃったら面白くないじゃないか。」
なんだこいつ、だが山の中って、いったいなにをするんだ?とゆうかもういっそこのチャンスを利用して抜け出してみるか?
「今回やることは、簡単に言えば”熊退治”だよ。」
うわぁ、地味ぃぃ。
「そんな嫌な顔しないでよ。じゃあ分かった。今回のがしっかり成功したら、君のこと、そしてここのことについて話すからさ。」
ほう、なるほど、それはなかなかいいんじゃないか。麻酔銃でも使えば熊なんて楽勝だろうし。
「じゃあ、車の中で詳細を話そう。」
「さて、じゃあ今回のことについて話させてもらおうか。」
「いや、その前にこれ外してもらえませんか。」
なんでだよ、これから僕を野に解き放とうとゆうのに装甲車に拘束具、この状態で熊と戦えってか?
「さっきも言った通り、今回は熊退治だ。今回君には、麻酔銃など使わずに、自分の力だけで熊を退治してもらう、今回の熊はすでに人を数人殺している、最悪殺してしまってもいいと自治体からの申し出があってね、ちょうどいいと思ってこの一か月の君の成長度合いをみせてもらおうとおもってさ。」
こいつ、さらっと僕の拘束具のこと流しやがった。ん?てゆうか今こいつなんて言った?麻酔銃とか使わないだと?
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉」
「まあまあ落ち着いて、最悪僕たちも介入するから。」
ああ、性に合わない、どうしてこいつらなんかに捕まっちまったんだろう。
「それと、まだ僕の名前を君に教えていなかったね、僕の名前は歌川 広樹だ。」
うるせえよテメエの名前になんも興味ねえから、お前なんかニヤニヤ男略してニヤ男だ。
「あと、さっきの約束、忘れないでくださいね。」
「え?何の事?」
「て、おぉぉぉぉぉぉい‼何しらばっくれてんすか⁉」
「嘘だよ嘘、ちゃんと君が熊を退治したら教えるから。」
もうやだ、こいつの笑顔はもう見たくない。もうこいつら抹殺して逃げてしまおうか。
「さあ、場所はここだ。」
「ここだって、普通に村じゃないっすか。」
確かに木々は生い茂っているが、木造の家などはちょいちょい建っている。まだ人は住んでそうだし、あまりここでの乱闘は避けたほうがいいのではないだろうか。
「確かにこれなら熊も出そうですけど、僕がやったら周りの家や人に被害が出ますよ。」
「大丈夫だよ、人がいないからここにきているんだから。」
「ここは5年前の事件の被害にあった場所だ。人口は200人、その全てがあの日、忽然と姿を消したんだ。」
ん?それとこの熊退治は関係ないんじゃ。とゆうか5年前ってことはあの事件が関わっているってことだろ?じゃあ相手が獣人であることも警戒しなければいけない、なぜその可能性を説明しないのか、もしくは普通の熊と確定している、もしくは・・・・
「それじゃあ、頑張ってね。」
「え?」
ニヤ男たちが車で去っていく。
「おい!待てコラァァァァァァァァァァァァ!」
くそ、本当においてきやがった。恐らくどこからか僕の事を監視しているのだろう、てか僕は何でこんなに健気に待っているんだろう、そんなにあの生活を好んでしまっているのだろうか。
まあ、ここで待っていても仕方がない。夜になったら森へ出よう。
「食料良し!羽出したら破れるだもだけど防寒着良し!懐中電灯良し!暗視きょう付き望遠鏡良し!」
あいつらこうゆうところだけ無駄に親切、これもう絶対にあいつらがやったほうが速いだろ。
地上は別の生き物がいるし木の上から奇襲をかけられると困るから、木の上を飛び移って移動する、他愛地番の問題は・・・・
「武器がないな・・・。」
そうやつらこれだけ準備万端のくせに武器になりそうなものは何もない。懐中電灯や望遠鏡は頭に取り付けるようなものだ。昔、こんな話をニヤ男から聞いた。
「<animal human>の力を表に出したとき、つまり君なら羽を出したとき、君は自分の力を強制して、ヒトの数倍の力を出すことができるようになるんだよ」
みたいなことを言っていた気がする。だが一番心配なのは相手も<animal human>だった場合だ。
僕は今まで二度<animal human>と対峙した。しかし相手をたおすとなると初めてなのである。
その場合、力を強くしただけでは勝てないのではないだろうか。なるほど、車の中での「君の成長を見る」とゆう言葉はそうゆうことか。
敵は・・・・・<animal human>だ‼
ヒロインはツインテールがいいですかね。