俺の隣の席の美少女が、腐女子だった件。
これは目つきの悪いアニオタ高校生、富田琥珀のラブコメっぽいかもしれない物語である。
「人というものは。必ず何かしら隠し事がある。ん…俺?あるっちゃあるけど…べ、別に変なもの持ってないよ?…だがそーいうもんはいずれ、必ず誰かに知られるもんだ。そうなった場合の事も想定しといた方が良いだろうな。」
…今俺はバレた側じゃなくて知ってしまった側になってしまったらしい。
「と、と、と、富田くん!?!?あ、じゃなくてどちら様ででですかぁ??!」
「いやその状況でまだ他人ぶるってすげーな!!とりあえず落ち着いて夜空さん!」
分析。
頭には帽子。顔にはマスク。服は…うん、オシャレ。手にはBL本。
ついでに胸はCくら………っゴホンゴホン!!
「なるほど。理解しました。」
「あ、え、え、な、何の事かな?!?!」
彼女に近づき。俺は笑顔で言った。
「夜空さん。腐女子だったんだね」
「…っ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
また面白い事。起きました。
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俺は夜空さんと一緒にひとまずカフェに行くことになった。
いや思えば……
女の子と2人きりでカフェなんて!
行ったことがない!!
しかも超絶美少女じゃねーか!!
あぁ…ヤベぇ緊張してきた…。
となんだかんだ思ってるうちに到着。
「え…と、ね。富田くん…。えっ…と私ね。」
え、ちょっと待って。ちょっと待って。
泣き出しちゃった。これは流石に俺も焦る。
何より…
周りの視線が痛い!!
「うわぁあの人…。あんな可愛い子泣かしてるよ…。最低だな。」
「何あの人。彼氏? 目つき悪いし、パッとしないな。」
うるせぇほっとけ!
それにしてもこれはマズい。冷たい視線には慣れているがこのタイプのやつは流石にキツい。
どうにかせねば…
「泣かないで夜空さん!まず落ち着いて!あっ!そうだ!はいハンカチ!」
「あ、ありがとう…グスン」
ふぅ…。なんとかなりそうだな。
「私ね。琥珀くん。え…とその…腐女子って事、みんなに知られないようにしてたんだ…」
「あ…うん。」
なるほど。夜空さんも虎太郎と同じ感じなのか。
「バレちゃうとみんなに嫌われちゃうかな…とか思っちゃって…。ずっとこっそり本とか見たりしてて…」
そんなに嫌われたくないならそういうのをやめろよ。とか思う人もいるだろうが。
なかなかそうもいかないよな…。
「だ、大丈夫だよ。夜空さん。みんなには秘密にするからさ!」
美少女との2人だけの秘密…。
ムフフ…なんて良い響きだ…。
まぁ、これでなんとか…
「それでね…富田くん。」
「はい…?」
「私ね、決めたの。」
「?」
「これからは隠さないで堂々とBLを見るって決めた!」
ブフォォォォォォォ!!!
なぜそうなるーーーーー!!??
あ、ヤベ。コーヒー。
「え、え?? 良いのか??本当に?」
「さっき決意したの。もう明日から隠さない」
えぇ…?理解出来ないんですけど…。
「今日ね。富田くんの自己紹介聞いて…すごいと思ったの。あんなに堂々としてて…多分人の目なんか気にしてないんだろうなって。かっこいいって思った。」
「え、う…ん。」
「それで、さっき決意したの。もう隠さないって、人の目なんか気にしないって。」
いや…アニメとBLはだいぶ違う気がするけど…
でもまぁ…本人がそう言うなら…
「そうか。じゃあ頑張って!夜空さん。」
「うん!」
その時ふと目に入った。
「あれ?それってアニメキャラのBLだよね??アニメ好きなのか?」
「…ん?そうだよ!『漆黒メテオ』!キャラがかっこいいんだ!」
うぅ…わぁ…虎太郎が知ったらどう思うだろ…
あ、そうだ。
「夜空さん。実は俺達、アニメ同好会っていう部活をつくる事になったんだ。いや…まだ決まってはいないんだけど…。 良かったら夜空さん。入ってくれない?」
「面白そう!私…アニメの話とかで話し合える人いなかったから…。入ってみたい!」
「じゃあ部活の件、決まったら伝えるよ。じゃあね夜空さん。」
「あ…待って富田くん!」
「ん?」
「え…と…その…。LIME交換しよっ。」
え………。
何その上目遣い。めっちゃ可愛い。
「お、おう。そうだな。」
こんな美少女とLIMEか…。
「ありがと!富田くん!じゃあまた明日ね!」
「おう。じゃあな。」
それにしても……。
…学校楽しくなりそうだなこりゃあ。
続く。